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裁量労働制の対象拡大でなくてもフレックスタイム制を活用すれば十分では?

経団連や日立製作所など企業の要望する裁量労働制の見直し(対象拡大)に対して、柔軟で自律的な働き方ということであればフレックスタイム制を活用すれば十分ではないかといった指摘も多くあります。


規制改革推進会議・働き方・人への投資WG

今年(2026年)4月14日にオンラインで開催規制改革推進会議(第8回)働き方・人への投資ワーキング・グループ(WG)で鈴木重也・一般社団法人日本経済団体連合会(経団連)労働法制本部⾧はまず「柔軟で自律的な働き方という点に関しましては、フレックスタイム制を活用すれば十分ではないかといった御指摘も頂いているところでございます」と、そのような指摘があること述べています。

そして鈴木労働法制本部長は「確かにフレックスタイム制は時間配分の柔軟性はあるものでございますけれども、仕事の進め方の裁量を労働者に与えることまで法律が求めている仕組みではございません。他方、裁量労働制は働く時間の配分が自由であることに加えまして、仕事の進め方の裁量を与 えることが法律で求められております」とフレックスタイム制と裁量労働制の違いを説明しています。

また鈴木労働法制本部長は裁量労働制には「成果に応じた処遇を徹底することが可能となり、短く働いても成果が上がれば高い評価が得られやすい。これらの点でフレ ックスタイム制では代替できない点、代替できない効果があると考えております」と発言しています。

つまり経団連の鈴木労働法制本部長は、フレックスタイム制は時間配分に柔軟性があるものの、裁量労働制は仕事の進め方にも裁量を認める点で異なり、成果に基づく適正な評価が可能なため代替できない効果があること、またフレックスタイム制では仕事の進め方の裁量まで求めない一方、裁量労働制は成果に応じた処遇を徹底し、短時間勤務でも成果次第で高い評価が得られると述べています。

質疑応答

ブイキューブ創業者(兼)代表取締役会長グループCEO・経済同友会副代表幹事の間下直晃・働き方・人への投資ワーキング・グループ(WG)座長は「経団連さんと日立さんに伺いたいのが、フレックス制との差のところで、かなりフレックス制でカバーできるところがあるのではなかろうかというところで、フレックス制ではなくて裁量労働制にした場合の労働者のメリットは何なのだろうというところを今一度教えていただけるとありがたい なと思います。裁量を与えるということは別に会社がフレックス制度でも与えようと思えば与えられるので、それを与えれば良いのかなと思うのですが、そこの観点を含めてどのように見られているかというところ、裁量労働制の幅のところとフレックス制の幅のところは大分位置付けが違うので、そこでどのようなメリットを感じていら っしゃるのか、特に従業員観点からで教えていただけるとありがたいと思いますので、 まず経団連さんからお願いいたします」と質問しています。

つまり間下座長の質問は、フレックスタイム制でも会社の方針次第で仕事の進め方に裁量を与えられる中、あえて裁量労働制にする「従業員側のメリット」は何か、経団連と日立製作所の見解を問う質問になるかと思います。

具体的には、両制度の「裁量の幅」の位置づけの違いを踏まえ、フレックスタイム制ではカバーできない、裁量労働制ならではの労働者側の利点について説明を求めているのではないでしょうか。

間下座長の質問に対し経団連の鈴木労働法制本部長は「フレックスタイム制の場合にはどうしても成果に応じた処遇の徹底が難しいというところで、それをクリアする制度が裁量労働制だと思っています」と答えています。

また間下座長が「そこはフレックス制度でも難しいということなのですか。成果に応じた報酬なども別に会社がやればやれるような気が」と述べると、鈴木労働法制本部長は「ここはフレックスの場合にはどうしても一定の時間を超えた場合には割増賃金が発生をいたしますので、会社として成果に応じて処遇をするというメッセージを発信し たとしても、短い時間で成果を出した社員の方が、結局会社は成果に応じて処遇をすると言っても長い人の方が処遇が大きいではないかということで本人の納得度も下がってしまいますし、処遇の公平性という観点からもマイナスではないかという声を企業担当者から聞いているところでございます」と。

そして間下座長が「日立製作所さんも、もしコメントがあれば」と日立製作所に発言を促すと、日立製作所の明崎雄大・トータルリワード部労務・雇用企画グループ 主任は「やはり成果に応じた処遇を実現できる という部分が裁量労働制の一番のメリットではないかなと考えてございます。今、鈴 木様からもありましたように、フレックス制ですと時間に応じて処遇せざるを得ないというところ、裁量労働制におきましては一定の手当の下、時間にかかわらず成果に 応じて処遇をしていくというところを明確に打ち出していけますので、そういった部分によって、従業員にとってもそういった部分をメリットに感じて生産性高く働いて いくという部分がメリットになると考えてございます」と。

働き方・人への投資ワーキング・グループ(第8回) 議事録(PDFファイル)

労働政策審議会・労働条件分科会

先月(2026年7月)14日に厚生労働大臣諮問機関の労働政策審議会(第210回)労働条件分科会が開催され、「裁量労働制の見直し(対象拡大)」などが約2時間、議論されました。

労働者側の菅村委員(菅村裕子・日本労働組合総連合会総合政策推進局総合政策推進局長)は「成果で評価されることについても、それは必ずしも裁量労働制自体とは関係ないのではないかと思っておりますし、『自律的に柔軟性を持って働きたい』というニーズについても、仕事の与え方、マネジメントの問題であって、裁量労働制を導入しなければできないものなのかという点には疑問があるということを改めて申し上げておきたいと思います」と発言しています。

また菅村委員は「『裁量労働制が生産性向上に資する効果については、複合的なものであって、制度適用のみを取り出して効果を評価することは難しい』との御発言もございましたけれども、そうであるならば、なぜ裁量労働制を導入しなければ生産性が上がらないとの主張をされているのか疑問があるということを申し上げておきます」とも意見を述べています。

規制改革推進会議WGでも意見していた経団連の鈴木委員(鈴木重也・日本経済団体連合会労働法制本部長)は「裁量労働制の成果に応じた処遇は裁量労働制を入れなくても可能ではないかという御指摘がこれまでもあったと思います。仕事の進め方と仕事のやり方、その双方に裁量性を与えて自律的に働くということは、フレックスタイム制にはない仕組みです。自律的に働くことと成果に応じて処遇することは大変親和的ですので、処遇を受ける側の働き手にとっても制度導入は納得性を高める面があると感じております」と労働側の菅村委員意見に反論。

また鈴木委員は「労働基準法上は、みなし労働時間制でない場合には、御案内のとおり、結果的に時間に比例した処遇を強制するような側面があるので、成果に応じた処遇ということの徹底は難しいところがございます」とも付け加えています。

以上、厚生労働省が公開された「労働政策審議会(第210回)労働条件分科会」議事録より抜粋いたしました。

*本日のnote(ノート)記事に関連する記事はマガジン『裁量労働制(対象拡大)議論まとめ』に掲載しています。

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