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【旅日記#2-3】思い立ったら行くが吉!1泊2日札幌紀行(後編)

これまでの回はこちら↓

繁華街の濃密な一夜を過ごし、早くも旅は最終日を迎えた。1日目だけでもかなりの充実感を覚えているが、今日も最後まで余さず札幌を満喫していきたい。


2025年4月13日(日)

8:15 起床

昨日は朝5時から深夜1時まで、実に20時間も起きていたにも関わらず、割と一般的な時間に目が覚めた。母も8時半には起きてきて、これは普段の休日よりも早い。広いベッドでぐっすり眠れたおかげで、2人ともすっかり疲れが取れたようで何よりだ。

広々としたツインベッドの写真
この部屋を提供して下さったホテルの方に、
改めてお礼申し上げる(昨晩、チェックイン直後に撮影)

のんびり身支度を済ませて、今日はどこに行こうかと地図を開く。『ツーリングマップル』(昭文社)は見やすい地図に加え豊富なスポットや注釈が載っており、また本の大きさもコンパクトであることから、ツーリングに限らず旅全般のお供として非常に重宝する。

中心街はある程度見て回ったので少し離れた場所を眺めていたところ、豊平とよひら区は南平岸みなみひらぎしに気になる文言を見つけた。帰りのバスまではまだ時間があるし、足を伸ばして行ってみることにしようか。
現地を歩く時間はもちろん、こうして行きたい場所を考える時間もまた、旅の楽しみのひとつである。


9:45 出発

そうこう話しているうちにチェックアウトの時刻が迫ってきたため、フロントにカードキーを返却してホテルに別れを告げる。外に出るとたちまち強風が吹きつけてきて、穏やかだった昨日とはうって変わり日中でも上着が手放せない。

遠い西の空からは真っ黒な雲が迫る中、まずは地下鉄南北線のすすきの駅へ(すぐ近くに似た名前の豊水ほうすいすすきの駅があるが、そちらは東豊とうほう線なので間違えないよう注意が必要だ)。この空模様ゆえか、地下街・ポールタウンの人通りは地上に比べ格段に多かった。

昨日よりもスムーズに改札を通過できた喜びを噛みしめながら列車に揺られていると、黒一色の車窓に突如ピンク色の物体が現れた。初めは目を疑ったが、あれはイオンで間違いあるまい。平岸駅より南はなんと高架化されており、地下鉄でありながら外の景色を見ることができるのだ。

南平岸駅ホームの写真
南平岸駅ホームにて。
全線にわたり備えられたシェルターが、
秘密基地みたいで格好いい

後に調べてみたところ土地は定山渓じょうざんけい鉄道の廃線跡を転用しているらしく、確かに地下を通すよりも建設費は抑えられるのだろうが、それにしても型破りな設計だ。ゴムタイヤといい、札幌の地下鉄には独特な点が多くて面白い。


10:25 南平岸を散策

進むこと5駅。地下鉄のホームから地上に向かって階段を下るという何とも不思議な道のりを経て、ついに我々は豊平区に降り立った。風は依然強いものの、天候は意外にも回復の兆しを見せ、新天地にやって来たことも相まって気分は高まる一方だ。

駅を出て坂道を進んでいくと、左手の住宅街の中に地図で見つけた場所が見えてきた。
ここ「平岸高台公園」はかつてHTBの人気番組「水曜どうでしょう」の撮影が盛んに行われた場所であり、同番組の聖地として密かな人気を集めている。

設備は簡素な遊具とトイレくらいで、HTBが寄贈した園名碑がある以外は本当にただの公園といった感じだが、そんな飾らない雰囲気がいかにも「どうでしょう」らしい。久しぶりに見る広々とした原っぱが、都会に疲れを感じ始めた我々にささやかな安らぎを与えてくれた。

平岸高台公園の写真
できる限り番組の画角に近づけて一枚。
実際に立ってみると結構勾配がきつい

今にも大泉さんや鈴井さんが現れて寸劇を始めそうな気がしてくるほど、放送当時からほとんど変わらない景色がそこにはあった。この場所から生まれた数々の名シーンに思いを馳せつつ、再び路地を歩き出す。

辺りは喧騒とは全く無縁で、聞こえてくるのはキャッチボールに興じる少年たちの声くらい。さも当然のように車道を遊び場にしているあたり、普段からよほど交通量が少ないことがうかがえる。まさか日曜の札幌市内でこんなのどかな日常に出会えるとは思っていなかったので、ちょっと嬉しかった。

地下鉄の高架沿いの路地の写真
見知らぬ街で、あえて名もなき通りを歩く。
それもまた一興である

高架をくぐり、今度は駅の西側を見て回る。やはりというべきか線路を境に街は一気に表情を変え、まず目に入ったラーメン屋には開店を待つ人が長蛇の列を成していた。
そのため駅前のイオンもさぞ楽しい場所なのだろうと入ってみたが、想像とは異なり2階までしかなく、品揃えもスーパーのようであった。イオンといえば大型施設というイメージが根強いけれども、都市部においてはそうとも限らないらしい。

ところで、我々は朝からまだ何も口にしていない。良さげなカフェなどあれば休憩がてら寄っていきたいと思いながら歩き回るも、目の付け所が悪いのか全然見つけられなかった⋯。
空腹の中あまり無理をしても仕方ないので、残念ではあるがここは切り上げた方が良さそうだ。まだまだ探索のしがいがあるであろう南平岸、ぜひコンディションの良い時に再訪したい。

南平岸の国道沿いの街並みの写真
非常にどうでもいい話だが、駅に戻る道中に
国道453号と道道453号が交わる点を見つけた

11:30 中心街でのんびりお昼

というわけで地下鉄に乗り、再びすすきの駅にやって来た。ポールタウンに差しかかって間もなく、朝通った時から気になっていた「CAFE工房MISUZU」が開店していたので、ここらで休んでいこう。

CAFE工房 MISUZUの外観写真
創業はなんと1932(昭和7)年という。
歴史の重みを感じる渋い雰囲気に惹かれる

かなりの人通りがある中に店を構えていながら、店内はそれを感じさせないほど静か。食事メニューは見当たらず、純粋にコーヒーを愉しむための空間という印象が強かった。

アイスカフェラテとパウンドショコラの写真
アイスカフェラテとパウンドショコラ。
いずれもほろ苦く大人の味わいであった

こだわりのコーヒーは挽き方・淹れ方を含め種類が豊富で、幅広い人々の趣味嗜好にもきっと合うものがあることだろう。私はコーヒーには明るくないのでよく分からなかったが、これからの人生でその審美眼を身につけていきたいところである。

落ち着いて休んで元気を取り戻したら、お次はどこで昼食を食べるかを考えながら大通へ。ずいぶん地上への階段が混んでいると思ったら、カナモトホールでアンパンマンの催しが行われているようだ。
外は先ほど以上の暴風が吹き荒れ、まっすぐ歩くことすら困難な瞬間もあったものの、そんな状況下でも我が子の笑顔のために行列に臨む親御さん方の心意気は本当にすごいと思う。思えば私も幼い頃はヒーローショーなど連れて行ってもらったものだ。大人になった今この光景を見て、より一層親孝行に励もうと心に誓った。

そして12時25分、この旅最後の食事処を「鉄板スパゲッティーズ108イチマルハチに決定。すぐ近くの「札幌市民交流プラザ」内にも魅力的な所はあったが、こちらの看板に写る、見るからにスタミナのつきそうな料理の写真が決め手となった。

鉄板スパゲッティーズ108の入口の写真
これだけでお腹が膨れてくる気さえしてくる、
大迫力の看板が目印

店はビルの地下1階。階段は国道沿いとは思えないほど雰囲気があったものの、降りてみるとそこはどこか懐かしい感じがする洋食レストランそのものであった。鉄板が奏でる美味しい音と香ばしい匂いが、食欲を加速させてくる。

鉄板スパゲッティーズ108のメニュー表の写真
ご飯ものも鉄板で提供される。おこげが好きな人はぜひ

目玉は札幌カツスパというが、私には6月に釧路方面でスパカツを食べる予定があるので、ここはカツの乗っていないカレースパにした。濃厚なカレーソースと食感のしっかりした麺の組み合わせは食べ応え満点で、量自体も多いため本当にレギュラーサイズか疑いたくなるくらいボリュームがある。

本来であれば喜ぶべきだけれども、いくらなんでも想定外の多さだったので面食らってしまった。やけにサイズが細分化されていたのは、そのためだったのか⋯。もし読者の皆様方がここを訪れる機会があれば、量の選択は慎重にしていただきたい。

カレースパ(レギュラーサイズ)の写真
世間一般では大盛りと呼ぶ量だが、これが標準。
950円というお手頃価格も手伝って、
見事に騙された(褒め言葉)

13:15 狸小路でひとり見た夢

十二分にお腹を満たしたところで、道路の向かいにあった中央バスターミナルの待合室に腰を下ろす。母はさすがにお疲れモードのためバスが出るまでずっとここで待つつもりのようだが、その時刻は1時間以上も先である。まだ歩きたい気分だった私は、食後の散歩と称して単身出かけることにした。

中央バスターミナルから札幌市民交流プラザを望む写真
これまでも私が舵を取って歩いてきたが、
いざ一人になるとまた違ったドキドキ感がある

日曜の昼下がりの人出は、昨夜に勝るとも劣らないほど多かった。深夜の閑散ぶりを見ているだけに、一体どこから毎日のようにこれだけの人々が集うのか気になって仕方ない。

そんなこんなで狸小路を歩いていると、街頭にいた女性からチラシを貰った。田舎ではまず見ることのないその出で立ち、メイドカフェか。
夢の国を謳うその空間は私にとってまるで不似合いなように思えるが、日頃と異なる文化に触れることこそ旅の大きな醍醐味である。短時間の滞在でも問題ないというので、色眼鏡を捨ててどんなものかこの目で見てみよう。

というわけで意を決して、「めいどりーみん 札幌狸小路店」に入国。エレベーターが開いた瞬間からそこはもう異世界であり、やっぱりついていけるか気が気でなかったものの、システムや独自の用語などは最初にしっかり説明してくれるので初めてでも全然大丈夫。
また、友人からはこの手の声掛けについて行ったらぼったくり店だったなんて話もよく聞くが、ここは安心の明朗会計であった。

めいどりーみん札幌狸小路店の店内の写真
私の堅苦しい語彙では伝えきれないほど、
目に映るもの全てが”かわいい“で満たされている

ドリンクが運ばれてきたら、「おいしくな〜れ♡」でお馴染みのおまじないをかけていく。ご主人様も一緒にと言われた時は動揺を隠せなかったが、郷に入っては郷に従うべし。メイドさんが全力で盛り上げてくれるので、多少ぎこちなくてもやってみると案外清々しい気分になる。

めいどりーみんの新人戦応援ドリンクの写真
この日はイベントが行われていたため、
ドリンクもおまじないも特別仕様。
とても萌え萌えで甘々なお味でした

続いてメイドさんと一緒にチェキを撮ってもらい、それと同時に初入国の証である夢の国パスポート(会員証のようなものだろうか)が発行された。時間の都合上だいぶ取り急ぎとなってしまったが、これで私も夢の国の住人だ。
それにしても、初めはあれだけ懐疑的だったにも関わらず、たった30分でここまで場に馴染めるとは思わなかった。どんな人でもこの世界観を楽しませてみせようという彼女らの確固たるプロ意識には、社会人としても学ぶところがある。


14:30 札幌よ、さらば

出国の際は後ろ髪を引かれる思いであったが、帰れなくなったら洒落にならないのでそうも言っていられない。余韻に浸るのは後回しにして早足で帰り道を駆け抜け、定刻の10分前にバスターミナルにたどり着いた。こういう時、方向音痴でなくてよかったと心から思う。

中央バスターミナルの待合室の写真
道内各地を走るバスが次々に発着するため、
人々の入れ替わりが激しい

すると間もなく、昨日もお世話になった赤い車体が乗り場に姿を現した。これに乗ったらあとは網走まで一直線、少しばかり名残惜しさはあるけれども、それよりも無事に全行程を終えられたという安堵感の方が大きい。

比布大雪PAからバスと大雪山を望む写真
帰りも比布大雪PAで休憩。
久しぶりに吸う自然の空気は格別だ

ドリーミントオホーツク号は今日も快調の一言で、降車客のいない女満別めまんべつを通過したこともあり、往路以上に早く網走に着いた。
ついさっきまで大都会にいたからこそ、故郷の心地良さが身に沁みる。ナトリウム灯がしっとりと照らす街並みに帰ってきたなあとしみじみ思いを馳せつつ、迎えに来てくれた父も交えてさっそく思い出話に花を咲かせるのであった。


今回は以上になります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
北海道を拠点に旅や温泉の記録などを書いておりますので、よろしければこちらもご覧いただけると幸いです。

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