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『未来を想い描いて(仮)』#10

◀︎『未来を想い描いて(仮)』#9

森で記憶のないまま目覚めてから、慌ただしかった1日が、ようやく終わろうとしていた。

岩場に《穴掘り》で少し大きめの浴槽をつくり、《異次元収納》から水を取り出した。

《ファイアボール》の火力を調節しながら水中へ沈め、ちょうどよい温度になるまで湯を温める。

服を脱ぎ、ゆっくりと浴槽へ入った。

頭上では、14個の《ウィンドカッター》が自動警戒を続けている。

半径50m以内に敵の気配が入るたびに、数個の《ウィンドカッター》が自動的に飛び出していった。

1発で倒せることもあったが、木々に進路を遮られるため、4、5発かかる場合が多かった。

そのたびに、経験値を獲得したことを知らせる表示が現れる。

「風呂に入りながら経験値が入るなんて、《ウィンドカッター》防衛システム、めっちゃ使えるね!」

《ウィンドカッター》自動防衛システムは、《ウィンドカッター》を消費すると、《気配察知》連続駆動の合間を縫って補充される。

《気配察知》が続く10秒の間に、MPは約3秒ごとに回復する。だが、《気配察知》の維持にもMPを使うため、その間に補充できる《ウィンドカッター》は2個までだった。

「10秒で2個補充。貯金を使い切っても、完全に丸腰にはならないね」

湯の中でうたた寝している間も、防衛システムは問題なく稼働していた。

浴槽から上がると、今度は本格的な寝床をつくり始めた。

《ウィンドカッター》で丸太を角材へ加工し、地面の上に並べる。その上へ木の葉を重ね、少しでも柔らかくなるようにした。

さらに別の角材を1mmぐらいの厚さに薄く削り、細長い木のシートを何枚もつくる。

それらを縦横に組み、市松模様のシートへ仕上げ、木の葉の上に載せた。

そのままではずれてしまうため、周囲を角材で囲み、シートを押さえる。

角材の移動にも、《穴掘り》を利用した。
《穴掘り》は土だけでなく、木材も対象として動かせる。

「もう《穴掘り》っていうより、《物体移動》だよね……」

スキル名はともかく、使えば使うほど便利だった。

「とりあえず、簡易ベッドの完成!」

これから熟睡することを考え、防衛範囲を《気配察知》の最大半径である111.0mまで広げた。

警戒範囲の面積が一気に4倍以上へ拡大した直後、14個の《ウィンドカッター》が四方八方へ飛び出していった。

森のあちこちから、枝が折れる音や、何かが倒れる音が続く。

しばらくすると攻撃も収まり、周囲は再び静かになった。

そして、簡易ベッドの上に横になった。

「やっぱり、硬くて寝づらい……」

明日は、街へ向かう方法を探さなければならない。

そんなことを考えているうちに眠りについていた。

――どれほど眠っていたのだろう。

近くから聞こえてくる、何かを激しく削るような音で目を覚ました。

体を起こし、音のする方向へ目を向けた。

《ウィンドカッター》が、補充されてはすぐに同じ場所へ飛び込んでいた。

だが、そこには魔物の姿も、獣の姿もない。

《ウィンドカッター》はただ、地面だけを執拗に切り裂き続けていた。

『未来を想い描いて(仮)』#11▶︎

※ featuring  シンフォニム「工夫が進める」
「機能、工夫、予想外」

※ このオリジナル創作小説をイメージしてSunoにつくってもらった曲です。




 

それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント


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Photo: Unsplash
(c) s.f.出版

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