『未来を想い描いて(仮)』#10
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森で記憶のないまま目覚めてから、慌ただしかった1日が、ようやく終わろうとしていた。
岩場に《穴掘り》で少し大きめの浴槽をつくり、《異次元収納》から水を取り出した。
《ファイアボール》の火力を調節しながら水中へ沈め、ちょうどよい温度になるまで湯を温める。
服を脱ぎ、ゆっくりと浴槽へ入った。
頭上では、14個の《ウィンドカッター》が自動警戒を続けている。
半径50m以内に敵の気配が入るたびに、数個の《ウィンドカッター》が自動的に飛び出していった。
1発で倒せることもあったが、木々に進路を遮られるため、4、5発かかる場合が多かった。
そのたびに、経験値を獲得したことを知らせる表示が現れる。
「風呂に入りながら経験値が入るなんて、《ウィンドカッター》防衛システム、めっちゃ使えるね!」
《ウィンドカッター》自動防衛システムは、《ウィンドカッター》を消費すると、《気配察知》連続駆動の合間を縫って補充される。
《気配察知》が続く10秒の間に、MPは約3秒ごとに回復する。だが、《気配察知》の維持にもMPを使うため、その間に補充できる《ウィンドカッター》は2個までだった。
「10秒で2個補充。貯金を使い切っても、完全に丸腰にはならないね」
湯の中でうたた寝している間も、防衛システムは問題なく稼働していた。
浴槽から上がると、今度は本格的な寝床をつくり始めた。
《ウィンドカッター》で丸太を角材へ加工し、地面の上に並べる。その上へ木の葉を重ね、少しでも柔らかくなるようにした。
さらに別の角材を1mmぐらいの厚さに薄く削り、細長い木のシートを何枚もつくる。
それらを縦横に組み、市松模様のシートへ仕上げ、木の葉の上に載せた。
そのままではずれてしまうため、周囲を角材で囲み、シートを押さえる。
角材の移動にも、《穴掘り》を利用した。
《穴掘り》は土だけでなく、木材も対象として動かせる。
「もう《穴掘り》っていうより、《物体移動》だよね……」
スキル名はともかく、使えば使うほど便利だった。
「とりあえず、簡易ベッドの完成!」
これから熟睡することを考え、防衛範囲を《気配察知》の最大半径である111.0mまで広げた。
警戒範囲の面積が一気に4倍以上へ拡大した直後、14個の《ウィンドカッター》が四方八方へ飛び出していった。
森のあちこちから、枝が折れる音や、何かが倒れる音が続く。
しばらくすると攻撃も収まり、周囲は再び静かになった。
そして、簡易ベッドの上に横になった。
「やっぱり、硬くて寝づらい……」
明日は、街へ向かう方法を探さなければならない。
そんなことを考えているうちに眠りについていた。
――どれほど眠っていたのだろう。
近くから聞こえてくる、何かを激しく削るような音で目を覚ました。
体を起こし、音のする方向へ目を向けた。
《ウィンドカッター》が、補充されてはすぐに同じ場所へ飛び込んでいた。
だが、そこには魔物の姿も、獣の姿もない。
《ウィンドカッター》はただ、地面だけを執拗に切り裂き続けていた。

※ featuring シンフォニム「工夫が進める」
「機能、工夫、予想外」
※ このオリジナル創作小説をイメージしてSunoにつくってもらった曲です。
それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント
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Photo: Unsplash
(c) s.f.出版
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