『自分らしさに向かって(仮)』#4
◀︎『自分らしさに向かって(仮)』#3
課題一覧から分かることは、明らかに猫探しの依頼件数が群を抜いていることだった。
「多すぎる」
「なぜ、猫ばかりなのか?」
「猫は方向音痴で、犬は迷わないのか?」
「……」
まずは28件の猫探しを課題として選び、先生に伝えた。
「ビリー。どれから行く?」
「私たちの最初の2匹もすぐに見つかったし、28匹もすぐ終わるんじゃないかな?」
ルナは、いつも楽観的だ。
胸の奥に、小さな引っかかりが残っていた。
でも、依頼主から話を聞かないことには、何も始まらない。
ロスがないように訪問順序を決め、ルナと共有した。
1件目の情報を聞く。
その特徴に近い猫が《気配察知》に引っかかれば、ルナに探しに行ってもらう。
僕は、そういう手順を考えていた。
1件目の依頼者の家を、ルナと一緒に訪れた。
探している猫の特徴を聞き、手掛かりになりそうなものも見せてもらう。
家を出てから、僕は頭の中で《脳内マップ》を開いた。
少し離れた場所に、条件に近い気配がある。
紙の地図を広げ、ルナにその場所を指し示した。
「たぶん、このあたりにいる」
すでに見つけた2匹も、僕が伝えた場所の近くにいたからだろう。ルナは、僕の《勘》をかなり信じてくれているようだった。
「わかった。行ってくる!」
そう言うと、ルナはすぐに走り出した。
僕はそのまま、2件目、3件目の依頼者の家を回った。探している猫の特徴を、ひとつずつ丁寧に聞き取っていく。
4件目に向かう途中で、1件目の猫を抱えたルナと出会った。
「ビリー、この猫で良さそうかな?」
「早いね。たぶん間違いないよ。僕は4件目に向かうから、ルナはその猫を学院に届けて、先生に報告しておいてくれるかな?」
「了解!届けたら、4件目のお宅に向かうね」
ルナの姿は、すぐに通りの向こうへ消えた。
僕は、彼女の背中が見えなくなってから、もう一度《脳内マップ》を確認した。
2件目と3件目。
そのどちらの猫らしき気配も、同じ場所にあった。
でも、僕はそのことをルナには伝えなかった。
まだ、確かめたいことがあった。
『自分らしさに向かって(仮)』#5▶︎

※ featuring シンフォニム「原因を追いかける」
「違和感、推理、検証」
※ このオリジナル創作小説の世界観から、Sunoで生成した楽曲です。
それぞれのことばが、
迷いながら創るあなたの、小さな創作のヒントでありますように。
#創作のヒント
#思考のヒント
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Photo: Unsplash
(c) s.f.出版
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