見出し画像

知らないと損する、アスリートのキャリア論。「逆算×積み上げ」の最強戦略とは

競技人生とは、情熱と努力の結晶であり、揺るがない誇りと尊敬に値するものであると信じています。

しかし、競技人生がキャリアのすべてではない。引退は虚像だ。なぜなら引退後も人生は続いていくからです。引退後の壁を乗り越え、自分らしい未来を築くために、現役時代から意識的にキャリアをデザインしていく必要があります。

そのために不可欠なのが、「逆算」「積み上げ」という、一見すると相反するように思える2つの視点を統合することです。

この記事では、それぞれの視点がなぜ重要なのか、そしてどのように活用すれば、アスリートとしての強みを最大限に活かしたキャリアを築けるのかを解説したいと思います。


未来から現在をデザインする「逆算思考」

ビジネスにおいても「仕事ができる人は、逆算して仕事をしている。」ということがよく言われますし、多くの方々が、キャリアを考える際、過去の延長線上で未来を捉えがちです。しかし、プロアスリートという特殊なキャリアにおいては、それだけでは不十分であると考えています。

まず最初にやるべきは、「未来から現在をデザインする」逆算思考です。

5年後、10年後のなりたい自分を具体的に描く

キャリアの逆算とは、まず「5年後、10年後、自分はどうなっていたいか」を具体的に描くことから始まります。これは、単に「お金持ちになりたい」とか「有名になりたい」といった漠然とした目標ではありません。

例えば「引退後、スポーツに携わる仕事で、子どもたちに夢を与える活動がしたい」「ビジネスの世界で、チームマネジメントの経験を活かして組織を率いる立場になりたい」といった、具体的なビジョンを言語化することです。

未来のビジョンが明確になったら、次にやるべきは、その目標を達成するために「今、何が必要か」を分解することなのです。

もし「スポーツビジネスの分野で成功したい」という目標なら、必要なのは「ビジネススキル」「人脈」「業界知識」といった要素でしょう。

目標:スポーツビジネスの分野で成功したい 今必要な要素
ビジネススキル
:企画書作成能力、交渉力、マーケティング知識
人脈
:スポーツ界以外の異業種の人々との繋がり、メンターを見つける
業界知識
:スポーツビジネスの最新トレンド、市場規模、競合分析

これらの要素を洗い出すことで、漠然とした「頑張ろう」という気持ちから、「今週は、業界の専門家が書いた本を2冊読む」「来週は、SNSで異業種のコミュニティに参加してみる」といった、具体的な行動計画へと落とし込むことができるのです。

「Will-Can-Desired」でキャリアを再構築する

以前、このようなことを書きました。

従来のキャリア論では、「Will(やりたいこと)」「Can(できること)」「Must(やらなければならないこと)」の3つの円が重なる部分に理想のキャリアがあるとされています。

しかし、マネジメント経験からアスリートのキャリア形成においては、「Must(やらなければならないこと)」ではなく、「Desired(求められること)」の視点を持つことが大切であると感じています。

Will(やりたいこと): アスリート自身の情熱や興味の源泉。
Can(できること): 競技を通じて培ったスキル、経験、身体能力。
Desired(求められること): 社会や企業、他者がそのアスリートに何を期待しているか。

現役時代は、「Can(圧倒的な競技力)」が「Want(勝利や感動)」と直結しているため、この3つの円は自然と重なりますよね。

しかし、引退すれば「Can」の価値は変化し、これまでと同じようには「Desired」と結びつきにくくなります。だからこそ、アスリートは現役時代から自身の「Can」を多角的に捉え、社会の「Desired」と接続する努力が求められるのです。

つまり、逆算思考を持つことで、「社会は自分に何を求めているのか?」という問いを立て、現役時代から「自分のCan(できること)」を多角的に捉え、社会の「Desired」と接続する努力を始めることができるのです。

今を積み重ねて未来を切り拓く「積み上げ思考」

「逆算」が未来をデザインする思考法だとすれば、「積み上げ」は、今この瞬間の行動に焦点を当て、地道にスキルや経験を重ねていく思考法なのです。逆算思考で描いた未来のビジョンは、それだけでは絵に描いた餅に過ぎません。その絵を現実のものにするために、日々の「積み上げ」が不可欠なのdす。

自分にとっては当たり前にできる「得意なこと」を徹底的に磨く

積み上げ思考の最初のステップは、「得意なこと」を見つけ、それを徹底的に磨くことです。ここでいう「得意なこと」とは、自分にとって当たり前のようにできてしまうけれど、他人から感謝されたり、重宝されたりするスキルのことです。

「仕事は選ぶものではなく、選ばれるもの」という視点を持つ
多くの人は「好きなことを仕事にしたい」と考えますよね。しかし、キャリアは「選ぶもの」ではなく「選ばれるもの」という視点を持つことが、積み上げ思考の本質なのです。

これは「好きなことを諦めろ」ということではありません。むしろ、得意なことを徹底的に磨き、社会や他者から「この人にお願いしたい」と求められる存在になることが、結果的に「やりたいこと」を仕事にする最も確実な道だということです。

無駄なことなどない。小さな積み重ねが「事業シナジー」を生み出す

地道な積み上げは、やがて予期せぬ「事業シナジー」を生み出します。私の場合、プロアスリートマネジメントを本業としているが、ここ数年で経営者や起業家を目指す方々からの相談に乗る機会が増えたのです。

そこで培った「創業支援」や「事業推進」のノウハウは、経営者や起業家を目指す方々にも応用できるようなことが多く、一見無関係に思える経験が、後になって互いの価値を高め合う状況が生まれるのです。

これは、逆算思考で立てた目標だけを追い求めていたのでは得られない、積み上げ思考ならではの恩恵です。目の前の小さな積み重ねが、やがて大きなキャリアの資産となり、新たな可能性を切り拓いてくれます。

逆算×積み上げ実践の3つのステップ

逆算と積み上げは、どちらか一方だけでは不十分です。

逆算だけでは、目標が壮大すぎて現実味がなく、行動に移せないし、積み上げだけでは、目の前に追われ、未来のビジョンが見えなくなります。

この2つを統合し、互いにフィードバックし合うことが、アスリートにとってのキャリア戦略の解像度を高めてくれます。

逆算で「目的地」を設定する

まず、引退後どうなりたいか、どのような貢献をしたいかという大きなビジョン(目的地)を、逆算思考で設定します。これにより、日々の行動に意味が生まれるのです。

積み上げで「現在地」を強化する

次に、目的地に向かうために、今できること、得意なことを地道に積み上げていきます。これは、自分という存在の価値を高める作業なのです。

定期的に「現在地」と「目的地」を照らし合わせる

そして、定期的に立ち止まり、積み上げたものが、設定した目的地に合っているかを検証します。もしズレを感じたら、目的地を修正したり、積み上げるスキルを変えたりと、柔軟に戦略を調整しましょう。

このプロセスを1〜2年の短期的なスパンではなく、5〜10年の中長期的なスパンで繰り返すことで、変化の激しい時代を生き抜く「キャリアオーナーシップ」を身につけることができるでしょう。それは、誰かにキャリアを選んでもらうのではなく、自分自身がキャリアの経営者として、未来をデザインし、創り上げていくということなのです。

とはいえ、いくら優秀な方々であったとしても、自分自身のみでキャリアを考えることには限界がありますし、私自身も信頼する事業パートナーやメンターの方々との対話を通して、キャリアを常に更新し続けてきました。

スタンフォード大学のジョン・D・クランボルツ教授が提唱したキャリア形成理論にプランド・ハップンスタンス(計画的偶発性)理論というキャリア形成理論があることをご存知でしょうか?

彼は、「キャリアの約8割は予期せぬ偶然の出来事によって決まる」とし、その偶然をチャンスに変えるための5つのスキル(好奇心、持続性、楽観性、柔軟性、リスクテイキング)の重要性を説いています。

学生時代に私自身が出会ったこの理論は、今でも大切に活用している理論の一つですので、キャリアに関するご相談がある場合、この記事に予期せず出会ったということで、お気軽にご連絡くださいね。

ご連絡は、お問い合わせフォームまたはX(旧Twitter)のダイレクトメッセージからお待ちしております。

いいなと思ったら応援しよう!