商工会の経営指導員⑭ 三浦との対峙【#創作大賞2025#お仕事小説部門】
翌日。
三浦は、デスクに肘をついて考え込んでいた。
「三浦さん……話があります。」
三浦は、顔を上げて悠斗をじっと見た。
「……何の用だ?」
悠斗は、スマホの画面を差し出した。
『放火はまだ始まりにすぎない。お前たちは間違ったことをしている。すぐに商店街を畳め。でなければ、次はもっと大きな事件が起こるだろう。』
三浦は、一読すると、表情を変えずにスマホを置いた。
「……なるほどな。」
三浦は、静かにため息をついた。
「……俺も最初は、お前の計画を潰すことばかり考えてたが、あの放火が起きてから、妙に引っかかって仕方なかったんだ。」
「つまり——俺の知らねぇところで、誰かが勝手に動いてるってことだ。」
悠斗の背筋が寒くなった。
「じゃあ……このメールを送ってきたのは?」
三浦は、低く呟いた。
「……商工会の“上”の人間が絡んでる可能性がある。」
悠斗は、目を見開いた。
「え!? でも、商工会がそんなことを……?」
「....普通ならな。」
三浦は、デスクの引き出しを開け、書類の束を取り出した。
「俺も最近になって知ったんだが、桜川市と商工会の一部のメンバーが“ある計画”を進めてたって話を聞いた。」
「それが……これだ。」
バサリと放られた書類の束の表紙に目を落とす。
『桜川商店街 再開発計画』
悠斗は、息をのんだ。
「これって……?」
「簡単に言えば、桜川商店街の土地を買い上げて、大手企業を誘致する計画だ。」
「つまり、お前らが商店街を復活させることで、その計画が邪魔になったってことだ。」
悠斗は、拳を握りしめた。
「そんな……!! じゃあ、この脅迫は、商店街を無理やり潰すためのものだったってことですか!?」
三浦は、苦々しく頷いた。
「おそらくな。俺もここまでは知らなかった。俺も、結局は利用されてただけかもしれねぇな。」
悠斗は、怒りに震えた。
「そんなこと、絶対にさせません!俺たちは、商店街を守るんです!!」
三浦は、いたずらをした子供を見るような顔で苦笑した。
「言うと思ったよ。……だから、俺も手を貸す。」
悠斗は、驚いた顔で三浦を見た。
「三浦さんが……!?」
「こんな卑怯なやり方、見過ごせるわけがねぇ。それに……」
三浦は、ほんのわずかに目尻に皺を寄せて、目を細めた。
「お前みたいなバカが、俺の昔にいたら、何かが変わってたかもしれねぇな。」
