私は普通|人間一度目のたぬきがファンタジー小説を書いてます。
私は普通。
昔のあだ名は、たぬき。
たぬきに似ているから?
よくわからないけれど、たぬきっぽいらしい。
だから、たぬきを見ると少し安心する。
「うん。頑張ってるね」
「次の人生では、きっと人間になれるよ」
「私と入れ替わりで……」
人間をやるのは一度目だから、なかなか上手くいかない。
いろいろ頑張って、やっと真ん中くらい。
それも、全部をまとめて見たときの話だ。
良い部分と悪い部分を足して割ったら、だいたい真ん中。
これも、少し色眼鏡かもしれない。
でも、そこそこ幸せで、そこそこ健康だ。
それだけでも、ありがたい。
ないものねだりをする自分がいて、
あるものを忘れてしまう自分がいる。
だから、たぬきを見ると安心する。
ふふふ。
先輩たぬきとして、忠告しておこう。
尻尾がなくなっても、あまりいいことはないよ。
人間より、たぬきのほうがよかったと思うかもしれない。
ふふふ。
まあ、頑張りたまえ。
次はきっと、私と交代だから。
私は普通。
でも、たぬきの中ではエリートだった。
そう思うと、ちょっと元気になる。

