20年越しに見つけた最後の1曲
短期留学中。
ホストファミリーの家ではMTVが流れていた。
Alanis Morissetteの「Ironic」。
The Smashing Pumpkinsの「1979」。
他にも、たくさんある。
流れていた曲を必死にメモした。
メモしきれなかった曲も多かった。
今のように、携帯1つで
曲を探せなかった時代。
探す場合は、CDを
レンタルするか買うしかない。
しかも、それでもわからない場合は
店員さんの知識。
最悪は、鼻歌を歌っての説明。
これだけは避けたい。
_____帰国後。
オアシス。
レッチリ。
フージーズ。
だいたいの曲は見つかった。
聞いていると、アメリカでの朝食を思い出す。
MTVを見ていたのが、朝食の時間だったからだ。
ガロンの牛乳に、
アップルシナモンのシリアル。
1つ1つ探していた曲が見つかるたびに
アメリカで過ごしていた時間がよみがえる。
慣れないベッドで腰が痛くなった。
サンフランシスコのビルの大きな古着屋。
頭の中には景色が見えるようだった。
それでも、数曲は見つけることができなかった。
ミュージックビデオから探そうにも
サングラスの男の人が歩いている。
バイクで転んだ。
広い道をバイクで走っている…
あまりにも抽象的過ぎて、ダメだった。
______数年が経過した。
インターネットがだいぶ普及し
分からなかった曲を、もう一度探したくなった。
探しても、どうしても見つからなかった曲。
1つは見つかった。
ここでも難航したのは、メモしきれなかった曲。
断片的なメモのワードを入れても、
たどり着くことができなかった。
時代は、CDやMDから配信がメインとなり
気軽に検索ができるようになった。
(あ、あれ分かるかな‥‥)
また、あの曲を思い出した。
見つからなかったあの曲だ。
(今なら見つかるかもしれない)
アップルミュージックで調べ始めた。
年代別のプレイリストが並んでいた。
前回探したとき。
インターネットで年代とシーズンで
検索しても、見つからなかった。
年間ヒットチャートもUSだけでなく、
UKや他のチャートも探したが、
それでもわからなかったのだ。
あまり期待をしないで、年代別を探していく。
いくつか再生をしたときだった。
「あ‥‥!」
十数年、見つからなかった曲だった。
やっと見つかった。
一気に朝食を食べていた、あのリビングに戻った。
テレビから流れるMTV。
ちょっと興奮しながら、メモをしていた自分。
あの時、未完成のままだった思い出のプレイリスト。
この最後の1曲でやっと完成した。
今でも、このプレイリストは手元にある。
自宅で音楽を流すと、たまに子どもたちが
「それ知ってるーー」と、いう。
「えー?本当?だって、だいぶ昔の曲だよ」
と、答えると
授業でやった、ダンスで使ったと返ってくる。
そして、必ず言われる。
「ねぇ、それ送っといて」
私は、携帯の共有ボタンを押した。
便利な時代になったな、と思う。
アナログな方法で、何年も曲を探していた自分。
でも、世界をめぐる宝探しのように
CDを探し、インターネットでも曲を探したり
ジャケット買いをしたり。
そうすることによって
新しく出会えた音楽もたくさんあった。
何年も曲を探すなんてことは、もうないと思う。
でも、見つかったときのあの感動は、
今でも体に刻まれている。
最後まで見つからなかった曲
「Stone Temple Pilots - Interstate Love Song」
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