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女子大生、入国カードで大パニック

「これさー、空欄でも行けるんじゃない?」
答えはNo!だった。



まだ手荷物の液体の制限が
今ほど厳しくなかったころ。

英語がほぼできない、私と友人。
大学の単位のため、
短期留学で選んだ先はアメリカ。


飛行機に、辞書を持ち込んだ。
ただ、2人とも「和英」辞書だった。



外国の客室乗務員に、ドキドキ。
ヘラヘラと愛想笑いをして
なんとかその場を、やり過ごしていた。


食事の時間がやってきた。

『Meat or Fish?』


この程度をやっと聞き取れるレベルで
留学を決めたのだから、若いってすごい。

ここまでは良かった。




『coffee or tea?』


それぞれ、かろうじて答えた。

「こーひー」・「てぃー」


その頃、ミルクティーにハマっていた私。
一緒にミルクも欲しいと言えず、あきらめた。

友人のところに来た飲み物は?


友人に来た飲み物は「コーラ」だった。


「‥‥‥。」
2人で顔を見合わせた。


「ちょ、ちょっと、コーラ来た…」
「コーヒーって言ったよね?」
「違うって、なんて言いうの?」


もう大パニック。



持ち込んだ辞書の存在は
慌てすぎて忘れてしまった。


諦めて友人は、普段飲まないコーラで我慢した。


次の難関

次の難関は入国カード。
名まえ・住所・目的などを書いたと思う。


2人とも「ある項目」だけ、空欄だった。


お互いのカードをのぞき込んだ。
1個だし、空欄でも行けるんじゃない?
笑いながら放置して、アメリカに降り立った。


いよいよ、入国!


カードを出したら案の定、止められた。
しかも英語で、何かいろいろ言ってる。


(やばい!何言ってるか、さっぱりわからない)


「英和」はトランクの中。
入国前は受け取れない。


何かを言ったのち、スタッフがいなくなった。
「もうさ。そのまま、行っちゃう?」

話しているうちに、アジア系のスタッフが来た。

『Are you Japanese?』

(……!!)私たちでも、わかる!

「Yes!」と答えた。


日本人と答えた私たちに、
そのスタッフは曇った顔をした。



相手は中国人スタッフ。
やはり英語でやり取りするしかない。


あまりにも英語がわからない私たちに
向こうも困り果てている。


空欄を指さしている。
何を書けばいいのか、意味が分からない私たち。



「ねぇ、これYesかNoでいいんじゃない?」
「いや、回数じゃない?」



日本語で相談していると、そのスタッフは言った。

『Men or Woman?』

「うーまんっ!」と答えた私たち。

スタッフは笑顔になった。
書くジェスチャーをしている。


あー、それを書けばいいのか!


「ね、『うーまん』ってスペル分かる?」
「わかんない…」
「もう、girlでいいんじゃない?」


girlと書いた瞬間、
『No!、Woman!』

……怒られた。


全く想像もつかずに、空欄にしていたのは

英語表記の「性別」。



混乱した挙句、出た答えは

経験あり?回数?

だったのだ。


こんな調子でよく、留学を決意したな。
いま思えば笑い話だが、当時は真剣。

帰りの飛行機はちゃんと
「英和」も「和英」も入れた私たちだった。

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