「プリーズ」が行方不明~アメリカ留学編~
留学中に1回は、日本に
電話をかけてみようと思っていた。
それには、電話をかけて交換手と一度話す
「コレクトコール」を使う必要があった。
携帯が普及した今は
あまり使われないのかもしれない。
なんにせよ、最大の難関は「話す」こと。
アメリカに来て2週間は、とてもじゃないけれど
交換手と話せる気がしなかった。
3週間目。
多少の英語会話ができるようになった‥‥と思う。
(コレクトコール、試してみるか…)
日本を出て、2週間ちょっと。
家族にこちらの様子も伝えたい。
(でもなぁ…)
私の不安。
英会話が通じない時は
ジェスチャーで乗り切ってきた。
顔が見えない電話は恐怖でしかない。
(不安すぎる…)
(ま、また今度にしようかな)
____数日後。
私は意を決して電話の前にいた。
だって、もうすぐ帰る。
今しないと、もうしないまま日本に帰る気がする。
アメリカの公衆電話。
日本でみる公衆電話とは大違い。
鈍い光を放つシルバーの電話に黒いボタン。
大きいうえに、なんか角ばっている。
なんか強そうな電話の受話器を持った。
『…〇△〇×‥‥』
(うわっ、やばい、早っ!)
何を言っているか聞き取れない。
とりあえず、
「コレクトコール」と「ジャパン」
って言えば何とかなるだろ。
「これくとこーる、ぷりーず」
「じゃぱん」
『OK!…〇△〇×』
‥‥‥‥RRRRR
(おぉぉ!!かかった!)
ガチャ
「はい、ろくねこ家です」
この時、母はパニックになったそうだ。
いつもと同じように電話に出たら
外国人が英語で話し始める。
もちろん母も英語は話せない。
私が「アメリカから電話をかけるね」
と、言っていたものの3週間近く経過。
完全に油断していた模様。
途中で、国際電話とわかっても
(なんて言うんだっけ?なんだっけ??)
ろくねこ母は大パニック。
交換手『…〇△〇×、please』
母「ぷりーず!ぷりーず」
交換手の人は繋げてくれない。
おそらく、お互いの思っている
「Please」が行方不明になっている。
母は必死に「ぷりーず」を繰り返す。
(…あ!)「いえす!」
そう母が言うとやっと繋げてくれた。
久しぶりの親子の会話。
アメリカ生活の話よりも
「Pleaseって言っているのに繋げてくれなかった」
という話の方が長いコレクトコールだった。
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