山の「黒い宝石」の正体
毎年、母親の実家に帰省していた。
母の実家は、山の中。
とにかく楽しかった。
…ミーンミンミンミー
縁側の下に「ありじごく」。
山の小川には天然のどじょう。
川でザリガニを釣った。
…カナカナカナカナカナ
夕方になり蝉の鳴き声が
ひぐらしになると、トンボをつかまえる。
毎日のローテーション。
____夜。
蚊帳を張った布団の部屋の奥から
音がした。
(ブーン!)
「あ、カブトムシ!」
「あみ、あみ!」
弟たちは、騒いで
あみをとりに走った。
東京出身の私たちからしたら
カブトムシは「空飛ぶ宝石」。
憧れの存在。
「カブトムシ」は元気に飛びまわる。
広い母の実家。
バタバタ走りまわる弟たち。
「つかまえたー」
嬉しそうな弟の声。
次の瞬間_______
「ぎゃーーー」
(…えっ?なに、なに?)
「ゴキブリぃぃぃ」
空飛ぶ宝石は
いつも、敵対視してるアイツだった。
そういえば。
魚のあみでトンボを捕まえると、
網目に頭がハマって取れちゃったよね…
そういう時に限って、オニヤンマ。

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