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時差式信号とは

交差点に設置されている交通信号機に「時差式」もしくは「時差式信号」という標示版が設置されているものがある。この意味について掘り下げてみよう。


概要

時差式信号 (じさしきしんごう) とは、交差点で対向する交通の流れに対し、いずれか一方向の信号の青信号表示時間を延長させることで、右折車両などをスムーズに流し、渋滞緩和や右直事故の防止を図る信号機である。

標準形の時差式信号では、対向車が赤信号になっても、右折車が多い方向の青信号が延長される。これにより交通の偏りが解消される。

ただし、時差式には複数の方式が存在する。また、事故が起こらないように警察庁がガイドラインを出している。

時差式信号の標準形の現示は以下の通りである。

図: (上)片方に右折禁止が設定された十字路の交差点で下⇒上方向の青信号が延長される。
(下)丁字路の交差点で下⇒上方向の青信号が延長される。

ちなみに、事故を防ぐために、時差式信号は原則として丁字路か片方向が右折禁止になっている交差点にのみ設定される。

右折車分離方式との違い

右折車分離方式 (赤+右矢印灯器)は、道路の両方向の交通とも交差点における右折車が多い場合にも対応できる、時差式信号機の上位互換のような存在だ。ただし、設置には右折レーンが必須となるため、狭い道路や交差点には設置ができないという欠点もある。

詳しくは以下の記事を参照されたい。

標示板の都道府県別特色

時差式信号であることを示す標示板は、都道府県ごとに特色がある。大きく分けて「時差式」「時差信号」「時差式信号」「時差式信号機」と4通りの書き方がある。標示板の形は横型が普通だが、縦型や、市松模様が付いている標示板もある。

以下にいくつかの例を示す。

写真: 北海道の時差式信号の標示板
(信号機のアームに縦型の「時差式信号機」)
写真: 新潟県の時差式信号の標示板
(信号機のアームに縦型の「時差式」)
写真: 東京都の時差式信号の標示板
(信号機のアームに市松模様の四角い「時差式」)
写真:神奈川県の時差式信号の標示板
(信号機の下側に「時差式信号機」)
写真: 山梨県の時差式信号の標示板
(信号機の下側に「時差式」)
写真: 静岡県の時差式信号の標示板
(信号機の上側に「時差式」)
写真: 石川県の時差式信号の標示板
(信号機のアームに市松模様の四角い「時差式」)
写真: 愛知県の時差式信号の標示板
(信号機の下側に「時差式」)
写真: 大阪府の時差式信号の標示板
(信号機の上側に「時差信号」)
写真: 兵庫県の時差式信号の標示板
(信号機の下側に「時差式信号」)

警察庁のガイドライン

警察庁では、2008年 (平成20) に改定された時差式信号機運用に関するガイドライン「時差式信号現示による制御に関する運用指針の制定について(通達)」にて、時差式信号の運用方針を示している。

このガイドラインに書かれていることの要点をまとめると以下の通り。

● 時差式信号機を設置する場合、右折先の横断歩道に歩行者用信号機の設置が必須。青信号を延長する時間帯はこの信号を赤にすること。
● 時差式信号であることを示す標示板を併設すること。(デザインは下図)
● 十字路交差点に時差式信号を設置する場合は、青信号を短縮する方向の流入交通に対して右折禁止規制を終日実施すること。
● 右折禁止措置が実施できない場合は、別出し方式による制御を行うこと。
● 標準的な十字路交差点での先発式は、右折車と遅出し方向からの対向直進車との衝突事故や、遅出し方向の車両の思い込み発進の危険があるため行わないこと。
● 表示時間を延長する側の全方向矢印信号は青信号と同じ意味なので、運転者の混乱を招きやすいので行わないこと。

図: 時差式標示板

特殊な現示方式

時差式信号の現示方式は、警察庁のガイドラインに従ったものが多く設置されているが、地域や交差点によっては特殊な現示方式も存在する。いくつか代表的なものを紹介する。

先発式 (早出し方式)

両方向が青信号になる前に、まず片方向だけを進行可能にする方式を先発式 (早出し方式)と呼ぶ。先発式の場合は、標示板に明示的に「先発」と表示されていることが多い。

写真: 先発側の信号機の全方向矢印が点灯している現示
(東京都三鷹市)

良くみられる先発式の現示方式は以下のとおりである。先発式の場合は、両方向が青になるタイミングを明示的に示すために全方向矢印灯器が使われることが多い。

図: (上)十字路の交差点で下⇒上方向の全方向矢印信号で先出し、次に両方向が青信号になる。
(下)丁字路の交差点で下⇒上方向の全方向矢印信号で先出し、次に両方向が青信号になる。
写真: 先発側の反対方向は「後発」の文字が入った標示板が設置される
(東京都墨田区両国)

先に出てきた警察庁のガイドラインでは、標準的な十字路交差点での先発式の設置は推奨されていない。

先発式時差式信号については、以下の記事を参照されたい。

新潟式

青信号を延長している時間帯に、青色の灯火に加えて右矢印灯器も点灯する方式が新潟県に存在する。標準の時差式信号と比べて、青信号の延長時に矢印灯器がたされるために分かりやすいが、警察庁のガイドラインからは外れるため、近年数を減らしており、2026年頭に公道から絶滅した。

図: 新潟式時差式信号

新潟式時差式信号の詳細は以下の記事を参照されたい。

大阪型矢印方式

大阪府、岐阜県、栃木県などの一部の交差点では、青信号の延長の現示を全方向矢印灯器で表現している。標準の時差式信号と比べて青信号の延長側が進行できる方向の矢印灯器で置き換わるため分かりやすいが、警察庁のガイドラインからは外れている。

場所: 大阪府大阪市淀川区新高 新高1交差点の北行
いわゆる「大阪型矢印方式時差式信号」と呼ばれる方式。

別出し方式

上り方向、下り方向それぞれに独立した "延長" の現示を設ける方式。先発式と通常の時差式信号を組み合わせたようなもの。

写真: 先発式時差式信号機の変形 (東京都港区新橋)

別出し方式の一つの例は以下の通り。1φと5φがそれぞれ上り、下り方向の青信号延長にあたる。

場所: 東京都港区新橋 第一京浜・昭和通り起点となる交差点の北行
上り方向、下り方向それぞれに独立した現示を設ける別出し方式

詳しくは以下の記事を参照されたい。

補助信号: 右折車専用信号

東京都などでは時差式信号が設置されている大きな交差点では、右折車専用信号を設置してわかりにくさを補完している。


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