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「ビリーフシステム」と言うあなたの中の見えないルール




ビリーフシステムとは何か

一言で言うと、あなたの「現在」を作り、「未来」にまで続く、心と身体の中にあるシステムのことです。

「ビリーフ(Belief)」は英語で「信念・信条・思い込み」を意味します。あなたがこれまでの人生で経験してきたこと、親や学校や社会から受け取ってきた言葉や常識、そういったものが積み重なって作られた「無意識のルール集」——それがビリーフシステムです。

そして、ここが大事なポイントなのですが、ビリーフシステムは「いまこの瞬間」だけを作っているのではありません。現在を作っているシステムは、そのまま維持され、未来にも続いていきます。

つまり、ビリーフシステムが変わらない限り、あなたの未来はずっと「現状」のまま繰り返されるということです。

「なんでいつも同じことが起きるんだろう」と感じたことはありませんか。それは、あなたのビリーフシステムが、同じ現実を再創造し続けているからかもしれません。



ビリーフはどのように作られるのか——「削除・歪曲・一般化」の罠


ビリーフシステムは、生まれながらに持っているものではありません。子どもの頃からさまざまな形で刷り込まれてきた経験や言葉によって、少しずつ作られていきます。

ここで興味深いのが、ビリーフの「形成プロセス」です。

たとえばこんな例を考えてみてください。
ある人が「昨朝、仕事の資料で計算間違いをした」という体験をしたとします。
さらに「1ヶ月前にも同じようなミスをした」という体験があったとします。たった2つの事実です。

でも、この2つの事実が積み重なると——

「私はいつも間違える」

というビリーフになっていきます。

「昨朝1回」と「1ヶ月前に1回」が、いつの間にか「いつも」になっている。これが、ビリーフの形成に必ず起きる「削除・歪曲・一般化」というプロセスです。

  • 削除:都合のいい情報(「間違えなかった100回」)が省かれる

  • 歪曲:「2回」が「いつも」にすり替えられる

  • 一般化:「仕事の資料で」が「何でも間違える」にまで広がっていく

そしてこうして形成されたビリーフは、今度はそれを証明するための証拠を無意識に集め始めます(これを「自己実証性」と言います)。

「私はいつも間違える」と思い込んでいる人は、小さなミスをするたびに「やっぱりそうだ」と確信を深め、間違えなかった事実は目に入らなくなっていく。

そして次第に、そのビリーフが「疑いようのない現実」になっていきます。



ビリーフシステムは「メガネ」である——スコトーマという盲点

ビリーフシステムを一番わかりやすく表すたとえが、色付きのメガネです。

黒いレンズをかければ世界は暗く見える。赤いレンズなら赤く見える。透明なレンズなら、ありのままが見える。

同じ出来事が起きても、どんなビリーフを持っているかによって、見え方がまったく変わります。これがビリーフシステムの本質です。

そして、このメガネには「見えなくなるもの」があります。それがスコトーマ(心理的盲点)です。

目の前にあるのに、見えていない。

チャンスが目の前に来ても、「自分には無理」というビリーフのメガネがかかっていると、それをチャンスとして認識できない。

「弱音を吐いてはいけない」というビリーフを持っていると、彼が「疲れた」と言った瞬間、その言葉の奥にある「つながりたい」「わかってほしい」というメッセージが見えなくなる。




ABCモデルで整理すると、見えてくるもの


哲学者アルバート・エリスが提唱した「ABCモデル」というものがあります。これが、ビリーフシステムを理解するのにとても役立ちます。

A(出来事):外側で起きた事実
B(ビリーフ):その出来事に対するあなたの信念・受け取り方
C(結果):感情や行動として現れるもの

ABCモデル


多くの人は「AがCを引き起こした」と思っています。「彼が『疲れた』と言ったから(A)、イライラした(C)」と。でも、本当は違う。AがCを生むのではなく、BがCを生むのです。


実際に以前の整理してみると、こうなります。
(※以前の記事参考)


  • A:彼が「和太鼓で疲れた」と言った

  • B(ビリーフ):「弱音を吐くのは甘えだ」「疲れたと言うのは強さのある人間がすることではない」

  • C:イライラ・「この人とは合わない」という感覚


Aは変わっていません。彼の発言は変わっていない。でも、Bが変われば、Cは変わります。「疲れたと言える人は、素直でいいな」というビリーフを持っていたなら、同じ発言を聞いても、「この人は正直だな」という感想になっていたかもしれない。

イライラは彼が「原因」ではなかった。わたしの中のBが、その感情を作り出していたのです。



ビリーフには「表層」と「深層」がある

ビリーフには、階層があります。表面に現れる「自動思考」と、その奥にある「中核信念(コアビリーフ)」です。

自動思考とは、ある場面でとっさに頭に浮かんでくる言葉やイメージのことです。「また失敗した」「この人は苦手だ」「どうせ無理だ」——こういったものは、特定の状況で自動的に浮かんでくる表層の思考です。

その奥にあるのが中核信念(コアビリーフ)です。
これはあまりにも深い層にあるため、ほとんどの人は自分のコアビリーフを言語化したことがありません。
でも、行動や感情のパターンとして、人生のあちこちに現れています。

ちなみに「ザ・メンタルモデル」という書籍では、コアビリーフのパターンが4つに分類されています。


どれかひとつがすべてというわけではなく、複数が混在していることも多い。
大切なのは、これを「自分はこのタイプだからダメだ」と責めるためではなく、「ああ、わたしはこういうメガネをかけていたのか」と知るために使うことです。



ビリーフは変えられるのか


ここが一番大切なところです。ビリーフシステムは変えられます。

ただし、誰かに「考え方を変えなさい」と言われても変わらない。
アドバイスを受けても変わらない。他人の言葉でコントロールしようとしても、ビリーフシステムはびくともしません。

学術論文でも指摘されているように、ビリーフを変えるのは自分の内省言語(自分が自分に語りかける言葉)だけです。

ビリーフを変容させるためのプロセスはこうです。

①自分のビリーフ(思い込み)に気づく。

②そのビリーフの「根拠」を書き出す。


③そして「例外」を探す。
※「私はいつも間違える」というビリーフを持っていたとして、「間違えなかったことは本当に一度もなかったか?」と問いかける。すると、たくさんの例外が見つかります。

④新しいビリーフが生まれてきます。
「私はいつも間違える」から「私は間違えながら、成長している」へ。


この変容は、誰かに言ってもらっても起きません。
自分の内側から言葉が出てきたとき、初めてビリーフは書き換わり始めます。

人は1日に3万〜5万回、無意識に自分自身に話しかけていると言われています。
「どうせ無理」「また失敗した」「わたしはダメだ」——こういったセルフトークが、ビリーフシステムを強化し続けている。
逆に、「わたしにはできる」「これは成長のチャンスだ」というセルフトークが、ビリーフシステムを少しずつ書き換えていきます。




ビリーフに気づくための、最初の問い

「自分のビリーフって何なんだろう」と思ったとき、まず試してほしいことがあります。

イライラしたとき、モヤッとしたとき——その感情の直前に、何を「当たり前」だと思っていたかを書き出してみること。


わたしは「疲れたと言うのは甘えだ」を当たり前だと思っていた。その当たり前が、彼の言葉とぶつかって、イライラという形で出てきた。

そして次に、「その当たり前は、どこから来たんだろう?」と問いかけてみること。
仕事での経験か。親の言葉か。学生時代の体験か。
ビリーフは必ず、何らかの原体験から来ています。

その原体験を見つけたとき、「ああ、あそこから来てたのか」と腑に落ちる瞬間があります。
その瞬間から、メガネの色が少し変わり始めます。


おわりに

ビリーフシステムを知るということは、自分を責めることでも、過去を掘り起こして傷つくことでもありません。

ただ、「わたしはそういうメガネをかけていたのか」と気づくこと。
それだけで、世界の見え方が少しずつ変わっていきます。

あなたのイライラやモヤモヤも、もしかしたら同じかもしれません。
感情の下に、どんなビリーフが眠っているか。少しだけ、自分の内側を覗いてみてください。

その問いが、「このままでいいの?」を「やってみよう」に変える、最初の一歩になるかもしれません。


ここまで読んでいただいて、ありがとうございました♪


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