Photo by
hnue_po
【風まかせ文芸部】遠い花火の音|エッセイ
タイトル:聞こえない景色
遠い花火の音。
夜風に乗って届くその音は、姿よりも先に夏の訪れを知らせてくれる。
窓を開けると、「ドン」という低い響きが、少し遅れて胸に届いた。
花火は見えない。
それでも、どこかで誰かが空を見上げて笑っている光景が、自然と頭に浮かぶ。
音には、不思議な力がある。
見えないものまで想像させてくれる。
子どもの頃は、花火大会といえば屋台や浴衣のことばかり楽しみにしていた。
大人になると、少し離れた場所で聞く花火の音にも心が動くようになった。
見えないからこそ、美しく感じるものがある。
届かないからこそ、大切に思える時間がある。
人生もきっと似ている。
目の前にあるものだけではなく、遠くで誰かが頑張っていることや、まだ出会っていない未来が、自分を静かに支えてくれているのかもしれない。
遠い花火の音は、夜空を彩るためだけのものではない。
忙しい毎日の中で立ち止まり、耳を澄ませる時間を思い出させてくれる。
今年もまた、姿は見えなくても、その音だけで夏はちゃんとやってきたのだと感じる。
了

*下記企画に参加させて頂きました*
☆次の作品はこちらです↓↓↓
前回の作品はこちらです↓↓↓
最後までお読み下さり、ありがとうございます😊
いいなと思ったら応援しよう!
読んで下さりありがとうございます!励みになります!