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【風まかせ文芸部】半透明の海|エッセイ


タイトル:半透明の海

半透明の海を見たことがある。

波は青というより、水色でもなく、光そのものが揺れているようだった。

海底の砂紋まで見えるほど澄んでいて、小さな魚たちが自由に泳ぐ姿も隠れることなく映し出されていた。

その景色を眺めていると、不思議と心まで透き通っていく気がした。

人は、ときどき自分の心を隠したくなる。

強がったり、笑ってごまかしたり、本当は平気じゃないのに「大丈夫」と言ってしまったり。

それも、自分を守るためには必要なことなのだと思う。

でも、半透明の海は教えてくれる。

すべてを隠さなくても、美しさは失われないということを。

澄んでいるからこそ、光が届く。

見えるからこそ、安心できる。

人の心も、少しだけ素直になれた日は、いつもより優しい景色が見えるのかもしれない。

海は何も語らない。

ただ、寄せては返す波で、「そのままでいい」と静かに伝えてくれている気がした。

だからまた、心が少し曇った日には、半透明の海を思い出そう。

きっとあの景色は、今も変わらず、誰かの心へ光を届け続けている。



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