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hiiro_archive153
2026.26.FEB ウミツバメ.アニメ.マッサージ|ショートショート
タイトル: ウミツバメの帰る頃
放課後の視聴覚室は、いつも少し暗い。
古いプロジェクターがカタカタ鳴って、
スクリーンには自主制作アニメのラフ映像が映っている。
「ここ、飛び方おかしくない?」
彼は画面を指さす。
白いウミツバメが、ぎこちなく空を横切る。
「だって、飛び方なんて見たことないもん」
そう言いながら、私はペンタブを置いた。
徹夜続きで肩がばきばきだ。
「ほら、貸して」
彼は私の後ろに立って、
ぎこちない手つきで肩を押す。
「マッサージ、下手くそ」
「うるさい」
でも、少しだけ力がちょうどいい。
画面の中で、ウミツバメが何度も飛び直す。
落ちて、やり直して、また飛ぶ。
「さ、もう一回描こ」
「うん」
窓の外、海の方から本物のウミツバメが一羽、
斜めに風を切っていった。
「ねえ」
彼がぼそっと言う。
「完成したらさ、一緒に観に行こうな。海」
私は返事をしないで、
ただもう一度、鳥の翼を描く。
今度は少しだけ、
風をつかんでいる。
肩の奥が、ほんのりあたたかい。
たぶん、マッサージのせいだけじゃない。
了

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