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hitomi1228
【風まかせ文芸部】線香花火|エッセイ
タイトル: 線香花火のように
線香花火を見ると、いつも少しだけ寂しくなる。
火をつけた瞬間は小さな赤い玉が静かに燃えているだけなのに、しばらくすると、細い光がいくつも枝分かれしていく。
ぱち、ぱち、と小さな音を立てながら、夜の闇に花を咲かせる。
大きな打ち上げ花火とは違う。
空いっぱいに広がることもなければ、歓声をさらうこともない。
ただ、手のひらの先で静かに輝いている。
でも、その短い時間が妙に心に残る。
人生も、線香花火に似ているのかもしれない。
大きな出来事だけが、思い出になるわけではない。
誰かと笑った何気ない時間。
帰り道に見た夕焼け。
冷たい飲み物を飲みながら、ぼんやり空を眺めた夜。
そんな小さな瞬間が、後になって大切な記憶になっている。
線香花火は、最後に小さな光を落として消える。
その瞬間を見るたびに、私は思う。
消えるから美しいのではなく、
消えるまで、ちゃんと光っていたから美しいのだと。
だから、今を急いで特別なものにしなくてもいい。
今日が何でもない一日だったとしても、その中にはきっと小さな光がある。
気づかないまま終わってしまう日もある。
それでもいい。
いつか振り返ったとき、
「あの日も、ちゃんと幸せだったな」
と思える瞬間が一つでも残っていれば、それで十分なのだと思う。
夜空に咲く大輪の花ではなくてもいい。
自分の手のひらで、静かに光る。
そんな人生も、悪くない。
了

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