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〜第97夜〜「消えない蝋燭」

🕯️ 百物語 完結まで
残り──3話。

……ここまで読んできたあなた。

もう、お気づきかもしれませんね……。

最初は怪談を「読んでいた」はずなのに、

いつの間にか、

この百物語の中に、

自分も座っているような気がしてきませんか……?

えぇ……。

昔から言われるんですよ。

九十七話目になると、

誰かが、こう言い出す。

「……蝋燭、一本多くない?」

でもね……

数え直しても、

ちゃんと合っている。

なのに……

火だけが、一本多い。

その火には、

決して息を吹きかけてはいけない。

なぜなら……

その火は、

最初から人間が灯したものではないからです……。

……では、第97夜。

お話ししましょうか……🕯️

〜第97夜〜

「消えない蝋燭」




🕯️ はじめに

蝋燭ってね……

火を吹けば消えます。

誰でも知っていることです。

でも……

世の中には、

何をしても消えない火があるんですよ……。

えぇ……

その火は、

誰かを照らしているんじゃない。

誰かを、

待っているんです……。



これはね……

古い寺で百物語を行った人たちの話なんですが……。

住職の許可を得て、

本堂で夜通し怪談を語ることになった。

参加者は10人。

住職はね……

始まる前に、

こう言ったそうなんです。

「蝋燭は、絶対に数えないでください。」

みんな笑いました。

でも……

住職だけは、

最後まで笑わなかった。

百物語が始まる。

一本語る。

一本消す。

静かに進んでいく。

九十七話目。

ふと、

ひとりの男性が言った。

「……一本、多くない?」

全員が、

蝋燭を見る。

確かに……

一本だけ、

少し離れた場所で燃えている。

誰も置いていない。

誰も火をつけていない。

なのに、

静かに燃えている。

気味が悪くなって、

ひとりが近づいた。

息を吹きかける。

ふっ……

消えない。

もう一度。

ふっ……

火は揺れる。

でも、

消えない。

その時です。

住職が、

大きな声を上げた。

「触るな!」

全員、驚いた。

住職は走ってきて、

男性を引き戻す。

その瞬間……

蝋燭の火が、

ゆっくりと……

男性の方へ、

傾いた。

風なんてない。

なのに……

火だけが、

彼を見ているように。

住職は震える声で言った。

「その火は……

あなたのじゃありません。」

えぇ……。

その夜、

誰もそれ以上、

蝋燭には近づかなかった。

そして……

朝になって、

片づけをしていると、

一本だけ、

蝋燭が残っていた。

まだ燃えている。

蝋も減っていない。

火も消えていない。

住職はね……

黙って、その蝋燭を箱へ戻した。

箱の中を見た参加者が、

息を呑んだそうです。

箱の中には……

同じ蝋燭が、

何本も入っていた。

全部……

火がついたままで。




📝 あとがき

火っていうのはね……

灯すものでもあり、

迎えるものでもあるんです。

だから……

消えない火というのは、

まだ、

役目が終わっていないのかもしれませんね……。



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この話の核心――

なぜ住職は蝋燭を数えさせなかったのか。

なぜ火は消えなかったのか。

そして……

箱の中で燃え続けていた蝋燭は、

誰を待っていたのか……。

ここでしか読めない解釈をお話しします……。

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