〜第96夜〜「開かなかった襖」
🕯️ 百物語 完結まで
残り──4話。
……ここから先はね、
昔から、
「開けてはいけないものが開く」
そう言われているところなんですよ……。
百物語には、
最後の数話になると、
なぜか“閉じていたもの”が動き始める。
開かなかった窓。
閉まっていた扉。
そして……
ずっと閉じていたはずの襖。
えぇ……。
人が集まって、
話を重ねて、
最後の一話に近づくほど……
“向こう側”も、
こちらへ近づいてくるんです……。
……では、第96夜。
お話ししましょうか……🕯️
📌 視えてしまう世界の話
〜第96夜〜
「開かなかった襖」
🕯️ はじめに
古い家ってね……
なぜか、
「開けちゃダメ」
って言われる部屋があるんですよ……。
理由は、分からない。
ただ……
昔からそう言われている。
でもね……
人っていうのは、
ダメと言われると、
気になってしまうんですよねぇ……。
これはね……
ある地方の古い旅館で、
百物語をした人たちの話なんですが……。
その旅館……
もう営業していないんですよ。
持ち主の親戚が管理していて、
たまに人を泊めるだけ。
でね……
その大広間で、
百物語をすることになった。
部屋は広い。
でも……
奥にひとつだけ、
古い襖があった。
かなり古くてね……
シミだらけ。
でも……
不思議と、その襖だけ、
誰も近づこうとしない。
旅館の持ち主が、
こう言ったそうなんです。
「そこだけは、開けないでください。」
理由を聞いても、
何も答えない。
ただ……
「絶対に。」
そう言っただけ。
だからね……
みんなも気味が悪くて、
そのまま百物語を始めた。
最初は普通。
でも……
96話目を語り終えた頃。
カタ……。
音がした。
全員、振り向く。
……襖なんですよ。
少しだけ……
開いていた。
誰も触っていない。
みんな、固まった。
すると……
また。
カタ……。
ほんの少しだけ、
さらに開く。
部屋の空気が、
急に冷たくなった。
その時……
ひとりの男性が、
小さな声で言った。
「……中に、誰かいる。」
えぇ……。
暗くて、
よく見えない。
でも……
確かに、
人の形が見える。
座っている。
こちらを向いて。
誰も動けなかった。
そして……
また、
カタ……。
襖が開く。
するとね……
中の人影が、
今度は、
立っていたそうなんですよ……。
📝 あとがき
昔の家っていうのはね……
境界が多いんです。
襖も、
障子も、
戸も……
全部、
「こちら」と「あちら」を分けるもの。
だから……
勝手に開くということは、
向こうも、
開けているのかもしれませんね……。
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この話の核心――
なぜ襖は開き始めたのか。
なぜ中の人影は動いたのか。
そして……
その部屋は、
最初から本当に閉じられていたのか……。
ここでしか読めない解釈をお話しします……。
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