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トンネルの女〜第29夜〜




はじめに

あぁ……真夏の夜ってのはね……
なぜかこう……“あちら側”の話が、近く感じるんですよ……えぇ……

でね……今夜の話なんですが……
本来なら、メンバーシップ限定でお届けしてる内容なんですけども……
──今日は特別に、無料でお話しさせていただこうと思いまして……

……なんでかって?
それはね……
あなたに、ほんの少し……ひんやりしていただきたいからなんですよ……

しかもね……ふと気づくと……
過去に“鍵付き”だったあの記事も……この夏、ぽつりぽつりと解放されてたり……
するかもしれませんよ……えぇ……

あなたが今、見えてるページ……
それだけが“全て”じゃないかもしれない……

……それじゃあ……
今夜の話、始めましょうか……


「トンネルの女」


あぁ……夏になると……ゾッとするような話って、思い出したくなるんですよね……
でね、今日お話しするのは……私がまだ、大学に通いはじめた頃の出来事なんですがね……

──その頃って、不思議と“そういう場所”に惹かれるんですよ……
免許とりたてで、ドライブにキャンプに……みんなで集まって、ワイワイするのが楽しくてね……

でもね、夏のあるあるってやつなんですよ……
「心霊スポット行こうぜ!」なんてね……誰かが言い出すんです。
ほんと……やめときゃいいのに、って……今なら思うんですけどね……えぇ……

そんなある晩──
噂の“出るトンネル”へ行こうって話になりましてね……

クラクションを3回鳴らすと、女の霊が出る……
そんな話……あったんですよ……昔から……

私……実はちょっと“見える”体質でしてね……
でも当時は、そんなこと誰にも言えなくて……
誘われるまま、助手席に乗ってしまったんですよ……えぇ……

ポケットには、お守り代わりのパワーストーンを忍ばせて……何も起こらないことを、祈りながらね……

でね……
その“例のトンネル”についたんですよ……夜も更けた頃でした……

最初はね、トンネルの入り口でみんなで写真撮って、キャッキャしてたんですけど……
あの時から……妙に空気が冷たくなってたような気も、するんですよ……

で……いざ、車を中ほどで停めて……
……ライトを切って……
……クラクションを……1回……2回……3回……と……

………………シーン………………

何も起きないって、みんな……笑ってたんですけどね……
──私以外は……

3回目のクラクションが鳴った、その直後なんですよ……

車の外……誰もいないはずのその場所を……
ふわぁ〜っと……女が横切ったんです……
歩くっていうより……滑るようにね……
白いワンピースの裾が、ヒラァ……って……風もないのに揺れてた……

あれ……消えた……って思ったんですけどね……
──次の瞬間……バックミラーに映ったんですよ……

後ろの窓に……
両手をベタッとつけて……
中を覗き込む……女の顔が……

……目が、合っちゃったんですよ……

運転してた友達……
顔、真っ青で……震えてるのに気づいて……
目を合わせて……私が言ったんです……

「いいから、ゆっくり出して。何も見えてない、何もない。スピード出すな」って……

パニックになってアクセル踏み込んでたら……
たぶんあそこ、事故るんですよ……えぇ……
だからね、あの事故の多さって……もしかしたら……って……

やっとのことで最寄りのコンビニまでたどり着いて……
「今の……見たよな……?」って、運転手の子が震える声で言ったんです……

で、ふと……後部のガラスを見たら……
……赤黒い……手形が2つ……ベッタリと……

えぇ……拭いても、なかなか取れなかったんですよ……
その後、すぐに車をお祓いに出して……

それ以来ですね、私はもう……二度と、心霊スポットなんて行ってません……
えぇ……ほんとに、やめた方がいいんですよ……
ああいう場所に、面白半分で行くもんじゃ、ないんですよ……

──見える人にはね……
あれ、はっきり視えてたんです……

あなたも、今夜……
クラクション、鳴らさない方がいいですよ……

……えぇ……ホントに……


…そして、読後にそっと。


……いかがでしたか……
今夜の“ひんやり”、少しでも届いたでしょうか……?

もし、少しでもゾクリとしたのなら──
他の夜にも、どうか……足を運んでみてください……
“視えてしまった”話は……まだまだ、ありますから……

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……また、次の夜にお会いしましょう……
あぁ……あなたが、無事に帰れることを……祈ってますよ……えぇ……

……まだ話は続きます⬇️⬇️

後日談──消えない“痕”


あれから数日してね……
運転してた友達から、連絡が来たんですよ……えぇ……

「車、処分した」って……
……あぁ、やっぱりな……って思いましたよ。

話を聞いたらね、
洗車しても、後部ガラスに付いた“あの手形”が……
どうやっても、うっすらと……浮き出てくるんだそうでね……

業者に見てもらっても、「傷じゃないし、汚れもない」って……
でも、夜になると……
そこに……赤黒い“痕”が浮かび上がってくるって……

──そしてね……
助手席のシートの裏……
白い布みたいなものが、挟まってたらしいんですよ……

まるで……ワンピースの裾のような……
でも、持ち上げると……ヒンヤリと冷たくて、すぐに指先が痺れてきたって……

それを見た瞬間、友達は無言で車を閉めて、
すぐに廃車の手続きをしたそうです。

……その布、今どこにあるかって?
いや……もう、気にしない方がいいですよ……

えぇ……
そういう“もの”はね、
興味を持った瞬間──向こうからも、近づいてくるもんなんです……

……あなたの部屋の……
カーテンの隙間とか……

……えぇ……ほんとに……

それでは……
また会いましょう……

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