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〜第98夜〜「空席が消えた夜」

🕯️ 百物語 完結まで
残り──2話。

……いよいよ、ここまで来ましたねぇ。

昔からね……

九十八話目になると、

誰かが必ず言うんです。

「……あれ?」

「ひとり、いない。」

でもね……

最初に誰がいたのか。

誰が途中で帰ったのか。

誰ひとり思い出せない。

えぇ……。

百物語というのは、

百話を語り終える儀式じゃない。

“最後の席”を埋める儀式なんです。

そして……

残り二話。

空いていた席は、

もう空席じゃなくなる。

……では、第98夜。

お話ししましょうか……🕯️


📌 視えてしまう世界の話

〜第98夜〜

「空席が消えた夜」



🕯️ はじめに

人ってね……

空いている席があると、

なんとなく気になりますよね。

「誰か来るのかな。」

そんな程度なんです。

でも……

その席が、

いつの間にか埋まっていたら……

どうでしょう。

しかも……

誰も座った瞬間を見ていない。

えぇ……。

それがね、

百物語では起こることがあるんですよ……。





これはね……

ある古民家で百物語をしていた人たちの話なんですが……。

参加者は九人。

丸く座って、

蝋燭を囲んでいたそうです。

でも……

最初から、

ひとつだけ空席があった。

「荷物置きにしよう。」

誰かがそう言って、

誰も気にしなかった。

怪談は静かに進みます。

一本。

また一本。

蝋燭が消えるたびに、

部屋は少しずつ暗くなる。

九十八話目。

その時でした。

誰かが、

ぽつりと呟いた。

「……荷物、どこ?」

全員が空席を見る。

荷物はなくなっていた。

代わりに……

湯飲みがひとつ。

湯気まで立っている。

誰も置いていない。

誰も触っていない。

なのに……

まるで、

誰かが今そこへ座って、

お茶を飲んでいるようだった。

気味が悪くなって、

誰かが写真を撮ろうとした。

シャッターが切れない。

もう一度。

切れない。

その時……

カタン……

畳が鳴った。

空席の前。

誰もいないはずの場所で、

畳が沈んだ。

ゆっくり……

人が腰を下ろすように。

そして……

誰もいないはずの空間から、

小さく声がした。

「……ようやく、座れた。」

その瞬間……

全員の目に、

“人影”が映った。

はっきりとは見えない。

でも……

確かに、

誰かが笑っていたそうなんですよ……。



📝 あとがき

席っていうのはね……

座る人がいて、

初めて意味を持つんです。

でも……

座っている人が見えない席ほど、

怖いものはありません。

もしかすると……

見えていないだけで、

ずっと誰かが座っているのかもしれませんね……。



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この話の核心――

なぜ空席だけが残されていたのか。

なぜ荷物は消え、

湯飲みだけが置かれていたのか。

そして……

「ようやく座れた」と呟いた存在は、

誰を待っていたのか。

ここでしか読めない解釈をお話しします……。

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