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ご当地カレーは社会科だ。|地理編② 海は流れてる

土地をかたちにするメディア
— ご当地レトルトカレー —

学生の頃、地理は得意でしたか?

わたしはめっちゃ苦手でした。
暗記ばかりの記憶しかなくて。

「ホタテの漁獲量が多い順に並べよ」
「◯◯の水揚げ量日本一の港はどこか」

その港がどんな海に面し、
なぜその魚が獲れるのか。
どんな味がするのか。

それらを想像することなく、
数字や地名、港の名前だけを
必死に覚えてきた気がします。

けれど今、
あの頃暗記した“水産物”の地図は、
静かに書き換えられています。

イカやサバ、サンマ、イワシ。
食卓の定番だった大衆魚も、
いまは“安くて当たり前”の
存在ではなくなっています。

大衆魚以外でも、
伊勢海老の漁場は北上し、
かつての産地での
水揚げが減少したとの
ニュースもありました。

天然物だけでなく、
安定的に水産物を供給してくれる
養殖物も例外ではありません。
広島の牡蠣も、
2025年に大きな打撃を受けました。

海流の蛇行。
海水温の上昇。
環境の変化。

かつて暗記した
「水揚げ量日本一」は、
いまも同じでしょうか。

そもそも、
水揚げはあるのでしょうか。

海は、変化しています。

そしてその変化は、
スーパーの鮮魚売り場だけでなく、
ご当地レトルトカレーの棚にも
確かに現れています。

シーフードカレーの値上げ。
販売終了。
原材料の変更。

「ご当地レトルトカレー」は、
たくさん獲れるご当地の名産品を、
ご当地以外でも
消費してもらえる道具です。

そして、
本来はその土地でしか食べられない魚を、
全国に広めることができる
ツールでもあります。

ゆえに、
名産品の量と価格が安定しなければ、
作られなくなるのも当然のことです。

だから、
ただの加工食品ではなく、
その土地の“いま”を記録する
メディアだと思うのです。

今回は、
ご当地カレーから知る“動く地理”。

地理編①「大地のめぐみ」に続く、
地理編②
“海は流れている”という話です。

■全国の食卓を支える魚

―大衆魚という存在

イカ、サバ、サンマ、イワシ。
いわゆる“大衆魚”と呼ばれる魚たち。

かつては安くて当たり前の存在でしたが、
近年は漁獲量の減少や
海洋環境の変化により、
価格の上昇が続いています。

シーフードカレーの
具材としてもおなじみの魚たち。
けれど、その「当たり前」は
少しずつ変わり始めています。

だからこそ、
いろいろな魚介類を味わえる
シーフードカレーは貴重な存在です。
その一つが
五島軒海鮮カレー」です。

■地域の日常魚

―ある土地では当たり前

魚の“日常”は、
地域によって大きく違います。

例えばメカジキ。
東北地方ではごく身近な魚で、
特に 気仙沼 では
古くから食卓に並ぶ
日常魚のひとつです。

しかし西日本では、
それほど馴染みのある魚ではありません。

同じ日本でも、
食卓に並ぶ魚は土地ごとに違う。
それもまた、地理の面白さです。

ただ、“日常”は当たり前ではありません。
15年前の震災で、
気仙沼市も大きな被害を受けた地域のひとつ。

それでも、
日常を取り戻すべく復興を進め、
再びご当地カレーを
世に送り出してくれています。

その土地の日常をカレーにしたのが、
気仙沼メカジキカレー」なのです。

■島の魚、島の味

―もっと地域に根ざした海

さらに範囲を狭めると、
島ごとに特徴的な魚もあります。

その一つがトビウオ。

鹿児島県の 屋久島 は、
リゾート観光地のイメージが強いですが、
実は、トビウオの水揚げ量日本一です。

とはいえ、多くの人にとっては
生で食べる魚という印象は、
あまりないかもしれません。

トビウオという名前より、
「あご出汁」として
馴染みがあるのではないでしょうか。

同じ魚でも、
土地が変われば呼び名も食べ方も変わる。

それを食べる魚に変えたのが
ご当地レトルトカレーであり、
屋久島フィッシュカレー」なのです。

■天然という資源

―海の恵みは安定しない

北海道の 猿払村 は、
天然ホタテの水揚げ量日本一として
知られる地域です。

しかし天然資源である以上、
漁期は限られ、
年によっては
ほとんど獲れないこともあるそう。

「日本一」という数字の裏には、
自然条件に大きく左右される
海の現実があります。

当たり前ではない
天然ものを味わえるのが、
猿払産天然ほたてカレー」なのです。

■養殖という工夫

―安定を生む海の技術

天然の不安定さを補うために
発展してきたのが、
養殖という技術です。

さきほどのホタテも、
天然は北海道が水揚げ量日本一ですが、
養殖の生産量日本一は青森県です。

昔から養殖といえば牡蠣。
なんと約500年以上前から
始まった記録があるそうです。

その牡蠣の養殖で有名なのが
広島県。

全国に流通する牡蠣の多くが
ここで育てられています。

しかし海水温の上昇などの影響で、
昨年は養殖にも
大きな打撃が出ています。

海は、人の努力だけでは
完全にはコントロールできません。

先人たちの工夫によって
当たり前に安定して買えたものが、
当たり前ではなくなってくる。

しかし、技術も進化していくはずです。

来年も食べられることを願って、
ご当地に想いを馳せながら
じっくり味わいたいのが
広島県産牡蠣カレー」なのです。

■そして、消えていく魚

―変わる海、変わる産業

青森県の 八戸 は、
かつてサバの水揚げで知られた港でした。

脂の乗ったとろサバを使った
ご当地の鯖カレーも存在しましたが、
海流の変化などの影響で水揚げは減少。

そのカレーを作っていた会社も、
残念ながらすでに姿を消しています。

かつて存在した
八戸の鯖カレー

いまはもう、
作られていません。

海は、変わります。
そしてその変化は、
食卓にも、産業にも現れます。

■ご当地カレーは社会科だ。

日本一の数字。
海流がつくる漁場。
地域ごとに違う魚の食べ方。
そして、静かに変わり続ける海。

ご当地レトルトカレーは、
私たちに“地理”を教えてくれます。

暗記ではなく、味わう地理。

海の流れが変われば、
食卓も、
産業も、
少しずつ変わっていく。

その変化までも、
ご当地カレーは静かに記録しています。

素材と物語を組み合わせ、
土地の価値を“編集する”ツール。
それが「ご当地レトルトカレー」。

だからわたしは、
ご当地カレーは社会科だ、
と思うのです。

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今回はいつもの実食レビューではなく、
特別記事でお届けしました。

ご当地カレーは社会科だ。
▶︎シリーズはこちら
地理編①大地のめぐみ
地理編②海は流れている
地理編③牛にも土地の味がある
地理編④豚と鶏は土地の日常

▶︎各商品の詳細レビューもぜひどうぞ。
五島軒海鮮カレー
気仙沼メカジキカレー
屋久島フィッシュカレー
猿払産天然ほたてカレー
広島県産牡蠣カレー
青森鯖カレー【製造終了】

【次回はコチラ】

山形牛ほぐし肉のビーフカレー(辛口)
山形牛の旨みがほどける贅沢ビーフカレー
023でご紹介した甘口と、
同じようで同じじゃないのです。

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