SideStory⑬ :本編六章後-2月14日、本日の工事予定は「足場解体」(後編)【構造の断罪】学園小説relationship
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Act.1:清涼な風に潜む、心の「業火」
翌日、始業前。亮哉と西谷の属する特別進学科教室。
登校して自分の座席の前に着いた西谷は机の上に紙袋一杯に入ったチョコレートの山を見て唖然とした表情をした。
それは、亮哉が昨日あちこちで受け取ったチョコレートを紙袋に詰め、西谷が来る前に無造作に置いたものだった。
「とても食べきれる量ではない。武ちゃん、……確か弟妹が居ると聞いていた。全てもらってくれ」
亮哉は予習のノートに走らせるシャープペンシルを止めることもなく西谷に告げた。
「……おいおい。あからさまだね……」西谷は半ば諦めの表情で小さくため息をつき、紙袋の口を丁寧に折って、静かに自分の座席の下に置いた。
「好意に応えることは出来なくても、受け止め方というものがあるのではないのかい?」西谷にしては珍しく皮肉めいた呟きを漏らす。
その時、この地域特有の突風が窓の外で吹き荒れ、教室の窓枠を叩きつけるように大きく揺らした。その瞬間、西谷は亮哉の心の中の声が刃のように切り付けてきた。
『その女達が、俺の地獄へと一緒に来てくれるとでも言うのか』
思わず、瞳を見開いて西谷は亮哉の方へ振り返った。
振り返るといつもの不遜な笑みを浮かべる亮哉と目が合った。亮哉は西谷の驚きの表情に介さず
「武ちゃん。水瀬さんからの『チョコカプセル』の中におまけが一つ混じっていたぞ。渡しといてくれ」指先で摘まんでいた小さな玩具を西谷の掌へと渡した。

西谷に玩具を渡す
彩賀亮哉
(……さっきの声は一体……?)
亮哉から玩具を受け取った西谷は握りしめながら、先ほど響いた声を心の中で反芻した。
Act.2:『観測者』西谷。疑惑の確信へ。
放課後。写真部部室。陽は既に落ち、部室の外は闇に包まれていた。綾香達を始め他の部員は既に下校しており部室に居るのは西谷一人だった。
西谷は机の前に座り、部の経費精算をノートパソコンに打ち込んでいた。
いつも皆に見せる温厚な表情は潜め、眉根を寄せて険しい顔で入力作業を進めていく。
今朝の亮哉の声らしき幻聴のせいか、以前から感じていた不穏な気配が確実に形を成して西谷の心の中に広がっていった。
(……やはり、体育館のアンカーの件以来、彩賀の様子がおかしい……)
ふと、西谷は机の端に置いてあった先日行われた来年度の校内設備撮影の打合せ時に渡された資料へと視線を向けた。
手に取った西谷はカーテンウォールの完成予想図のページを開いた。一目で豪奢な造りであることが伺われた。
(……随分と豪華なデザインだけど、相場ってどの位の値段なんだろう……?)
部活動予算折衝総会でシビアな部費予算の実態を知る西谷は、反射的にカーテンウォールのメーカーのホームページを検索してカタログを表示させ、資料に印刷されていた品番のページへと画面をスクロールした。そこには完成予定のカーテンウォールの㎡単価が記載されていた。
そして西谷は三角スケールを引き出しから取り出し資料のカーテンウォールのおおよその面積を測り、㎡単価と掛け合わせた。
(……おかしい、何度計算しても2,000万程度にしかならないぞ……?)事務局長は確か工事費は4,500万円と言っていたはずだ。
(……倍以上も金額が高いなんて、絶対変だぞ……?)
西谷が感じた違和感は確信へと変わっていった。

メーカー金額を見て
事務局長のあげた
金額との乖離に驚く西谷武久
SideStory ⑬後編 終わり
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