【Vol.24】なぜ、また同じ人を好きになってしまうのか——恋愛パターンと自己傷つけの心理学【仕草で読む恋愛心理】
好きになる人のタイプは、幼少期に決まっている——。
そんな研究があります。
「また同じような人を好きになってしまった」
「気づいたら、前の恋愛と同じ展開になっていた」
「ダメだとわかっているのに、離れられない」
こういった感覚を覚えたことはありませんか?
これは、意志の弱さでも、運の悪さでもありません。
あなたの中に刻まれた「恋愛パターン」が動いているだけです。
そしてこのパターンには、名前があります。
この記事では、5つのサインを通じて、
その「繰り返し」の正体と、今日から変えるための方法をお伝えします。
パターンの名前を知ったとき、
「なぜあんな人を好きになってしまったのか」という謎が、静かに解けていきます。
そして、次の恋愛が変わります。
① また同じタイプを好きになってしまう
サイン:「なぜか」惹かれる人が、毎回似ている
「なぜか」気になってしまう。
「なぜか」放っておけない。
「なぜか」この人だけは別、という感覚。
この「なぜか」に、実は答えがあります。
心理学では、人は幼少期の養育者(主に親)との関係を原型として、
無意識のうちに「愛情の感覚」を学習すると考えられています。
これを愛着スタイルと呼びます
(ジョン・ボウルビィ, 1969)。
幼い頃、親が自分に対してどう接したか——
その体験が「愛されるとはこういうことだ」という雛形になり、
大人になってからも、その雛形に合う人に引き寄せられるのです。
たとえば、幼少期に「もっと構ってほしかった」という経験を持つ人は、
感情の起伏が激しく、時に距離を置いてくる相手に強く惹かれやすい傾向があります。
不安定な関係が、「愛情の感覚」として体に染みついているからです。
見分け方:「また同じだ」と気づいたことがあるか
付き合う人がいつも「どこか似ている」
「追いかけるほど逃げる」展開を何度も経験している
安定した優しい人には物足りなさを感じる
この感覚に覚えがあるなら、あなたの中に愛着パターンが働いています。
それに気づくことが、最初の一歩です。

② 「ダメだとわかっているのに」の正体
サイン:理性では「やめよう」と思っているのに、体が動いてしまう
「この人はダメだ」とわかっている。
友達にも「やめとき」と言われる。
自分でも「また同じことをしている」と気づいている。
それでも、やめられない。
これは脳の仕組みと深く関係しています。
恋愛の興奮状態では、脳内でドーパミンが大量に分泌されます。
特に「手に入るかどうかわからない」という不確実な状況のとき、
ドーパミンの分泌量は最大化されることが研究で示されています
(ヘレン・フィッシャー, 2004)。
つまり、「安定しない恋愛」ほど、脳は強く反応します。
追いかけたり、待ったり、傷ついたり、また優しくされたり。
その不規則な報酬のリズムが、ギャンブルと同じ構造で脳を刺激し続けるのです。
これを間欠強化と呼びます。
「やめられない」のは、意志の問題ではありません。
脳が文字通り、そのパターンに依存しているのです。
見分け方:「別れたいのに、連絡してしまう」経験があるか
別れを決意したのに、相手から少し優しくされると揺れ戻る
「もう終わりにする」と決めたのに、何週間も引きずる
傷つくとわかっていても、連絡をやめられない
このサインが重なるとき、あなたは間欠強化のサイクルの中にいます。
「意志が弱い」のではなく、「脳が正直に反応している」だけです。
📖 もっと深く:
→ 『自分を傷つけながら生きるなんて、あんたどれだけドMなの?』堀ママ(ダイヤモンド社) — 「なぜやめられないのか」を愛情深く、そして本音で語りかけてくれる一冊。刺さるタイトルですが、中身はとても丁寧で温かいです。

③ 自分を傷つけることが「愛情」に見えてしまうとき
サイン:苦しい関係なのに、それが「本物の愛」だと感じてしまう
私自身の話をさせてください。
医学博士として長年、人の体と心を研究してきた私が、
40代のある時期、強い不安と恐怖の中で完全に自分を見失いました。
「死への恐怖」から5日間眠れず、
誰にも言えず、ただひとりで抱えていました。
あとになってわかったのですが、
そのとき私は「苦しいことに耐えることが、まっとうな生き方だ」
という思い込みを、長い時間をかけて自分にインストールしていたのです。
これは恋愛でも起きます。
苦しい関係を「本物だから辛いんだ」と解釈してしまう。
傷つけられることを「それだけ真剣だから」と受け入れてしまう。
楽な関係には「ぬるい」「物足りない」と感じてしまう。
堀ママはこの状態を、「自分を傷つけながら生きること」と呼び、
その根っこには”「自分には痛みを受け取る価値しかない」という無意識の信念がある”と指摘しています
(堀ママ, 2019)。
見分け方:「苦しいほど本物」と感じていないか
相手に振り回されるほど「この人は特別だ」と感じる
楽に進む恋愛に「なにか裏がある」と疑ってしまう
傷ついた後でも「私が悪かった」と自分を責める
このパターンに気づいたとき、
あなたはすでに変わる入口に立っています。

④ パターンに気づいた瞬間、何かが変わる
サイン:「また同じだ」という気づきが、以前より早くなってきた
恋愛パターンを変えるのに、特別な才能はいりません。
必要なのは、たった一つのことです。
「気づく」こと。
アドラー心理学では、人間の行動の多くは「目的」によって動いていると考えます。
繰り返す恋愛パターンにも、無意識の目的があります。
「傷つくことで、自分はやっぱりダメだという確認をしている」
「うまくいかないことで、変わらなくていい言い訳をつくっている」
「苦しい関係に入ることで、孤独よりマシな状態を保っている」
これらは責めるべきことではありません。
人間の心が、生き延びるために作り出した知恵です。
しかし気づいた瞬間、その自動操縦は少しだけ止まります
(アルフレッド・アドラー, 1927)。
見分け方:「なんとなく嫌な感じ」が以前より早く来るようになった
付き合いはじめて間もないのに「また同じかも」と気づく
相手の言動に違和感を感じたとき、流さずに立ち止まれる
「なぜ私はこの人に惹かれているのか」を考えられるようになった
この変化は、小さいようで大きな転換点です。
気づきが早くなるほど、選択の余地が生まれます。

⑤ 恋愛パターンは、今日から変えられる
サイン:「次こそは」ではなく、「今の自分に向き合おう」と思えている
パターンを変えるのに、過去に戻る必要はありません。
必要なのは、今日の自分に正直になること、それだけです。
堀ママは言います。
自分を傷つけながら生きることをやめるのは、
「もっと自分を大切にしよう」と決意することではない。
「今の自分が、どれだけ自分を傷つけているか」に気づくことだ、と。
気づきは、優しさです。
「またやってしまった」と自分を責めるのではなく、
「あ、またパターンが動いていたんだな」と、
少し距離を置いて見られるようになること。
それだけで、次の選択が変わります。
見分け方:「自分を責める」から「自分を観察する」への移行
「なんでまたこんな人を好きになったんだろう」→「どんなパターンが動いていたんだろう」
「私がダメだから」→「私の中の何が、これを選ばせたのか」
「次こそうまくやろう」→「まず今の自分を知ろう」
言葉が変わると、見え方が変わります。
見え方が変わると、選択が変わります。
選択が変わると、恋愛が変わります。
今日が、そのスタートです。

「また同じだ」と気づけたあなたは、
もうすでに、昨日とは違う場所に立っています。
まとめ
① また同じタイプに惹かれるのは、愛着スタイルが働いているから → 幼少期の養育者との関係が「愛情の雛形」となり、無意識にそれに合う人に引き寄せられる(ボウルビィ, 1969)
② 「やめられない」のは意志の問題ではなく、脳の間欠強化 → 不確実な報酬リズムがドーパミンを最大化させ、ギャンブルと同じ構造で依存が生まれる(フィッシャー, 2004)
③ 苦しい関係を「本物」と感じてしまうのは、無意識の自己傷つけパターン → 「自分には痛みを受け取る価値しかない」という信念が、傷つく恋愛を引き寄せる(堀ママ, 2019)
④ パターンに「気づく」ことが、変化の始まり → アドラー心理学では、行動の目的に気づいた瞬間、自動操縦が止まると考える(アドラー, 1927)
⑤ 「自分を責める」から「自分を観察する」への移行が、次の恋愛を変える → 気づき→観察→選択の変化というプロセスで、恋愛パターンは書き換えられる

おわりに
「また同じ失敗をした」と思ったとき、
あなたは自分を責めたかもしれません。
でもそれは、失敗ではありません。
あなたの心が、長い時間をかけて作り上げた「生き延びるための知恵」が、
少しだけ時代遅れになっているだけです。
パターンは変えられます。
ただし、「強い意志」でねじ伏せようとしても変わりません。
変わるのは、気づいたあとの、小さな選択の積み重ねによってです。
「なぜ私はこの人に惹かれたのか」
「このパターンの中に、どんな目的があったのか」
その問いをひとつ持つだけで、
次の恋愛は今日より少しだけ、自由になります。
気づいたときが、スタートです。
自分の恋愛パターンをもっと深く知りたい、変えたい、と思ったなら。
アドラー心理学は、そのための強力な地図になります。
オンライン完結・日常や恋愛・人間関係にそのまま活かせる資格として残ります。
📚 この記事に関連する本
『自分を傷つけながら生きるなんて、あんたどれだけドMなの?』堀ママ 著(ダイヤモンド社)
「なぜやめられないのか」を、理論ではなく愛情で語りかけてくれる一冊です。タイトルは強烈ですが、中身は驚くほど温かく、繰り返す恋愛パターンに疲れたすべての人に読んでほしい本です。
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引用・参考文献
・愛着理論と愛着スタイル
John Bowlby(1969)"Attachment and Loss, Vol. 1: Attachment"
・恋愛とドーパミン・間欠強化
Helen Fisher(2004)"Why We Love: The Nature and Chemistry of Romantic Love"
・自己傷つけパターンと恋愛
堀ママ(2019)「自分を傷つけながら生きるなんて、あんたどれだけドMなの?」(ダイヤモンド社)
・アドラー心理学と行動の目的
Alfred Adler(1927)"Understanding Human Nature"
※本記事は上記の研究・理論を参考に、執筆者の考察を加えてまとめたものです。学術論文の完全な引用形式ではなく、一般読者の方が「気になったら調べてみる」ための入口として掲載しています。
「仕草で読む恋愛心理」シリーズ
← Vol.1:彼の仕草が教えてくれる、恋愛で大切な5つのこと
← Vol.2:別れのサインを早めに察知する方法
← Vol.3:「好きだから、黙る」——言葉にしない感情を仕草で読む
← Vol.4:「俺だけを見て」——嫉妬・独占欲が仕草に出るとき
← Vol.5:「なんとなく、感じてた」——雰囲気・予感・嗅覚が教えてくれる恋愛のサイン
← Vol.6:嫉妬心との付き合い方——最も厄介な感情と正直に向き合うための心理学
← Vol.7:恋愛は「仕事力」を上げる——活力・生きがい・昇進に恋愛が効く科学的理由
← Vol.8:「既読」がついた。でも、返信は来ない。
← Vol.9:女性の「なんか違う」は正しい——直感と脳科学の意外な関係
← Vol.10:また思い出してしまった——忘れられない人が頭から離れない、本当の理由
← Vol.11:その笑顔、本物ですか。——「作り笑い」と「本音」を見分ける表情心理学
← Vol.12:好きになるほど、不安になる。——自己肯定感と恋愛の深い関係
← Vol.13:近すぎると、息が詰まる。——「距離感」が恋愛を壊すとき、救うとき
← Vol.14:愛しているのに、なぜ裏切るのか——浮気・不倫の心理構造を読み解く
← Vol.15:「占いが当たった」はなぜ起きるのか——直感・予感・潜在意識の心理学
← Vol.16:「この人でいいのか」——結婚を決める心理学
← Vol.17:体が整うと、恋愛が変わる——食事・睡眠・運動と自己肯定感の心理学
← Vol.18:好きなものが同じだと、なぜ惹かれ合うのか——共通点・価値観一致の恋愛心理学
← Vol.19:「愛することが、こんなに難しいとは思わなかった」——30代からの恋愛と、成熟した愛の心理学
← Vol.20:すれ違いと「許す」の恋愛心理学
← Vol.21:「お金の不安」が恋愛を遠ざけている
← Vol.22:なぜ彼は、大切なときに黙ってしまうのか——男性の感情表現と恋愛心理学
← Vol.23:感情が読めると、恋愛が変わる——EQ(感情知性)と恋愛心理学
Vol.24:なぜ、また同じ人を好きになってしまうのか(この記事)
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