中平健治氏からの批判(2024年12月15日)に対する回答
ご本人が終了をさせたはずの議論でしたが、中平氏が再び批判のnote記事を出ましたので、他の読者の方のために、この批判に対する回答を書いておこうと思います。
このnote記事でも、下記記事にまとめた実験的に実証可能な条件だけから量子力学の法則を満たす「量子系」の体系が「演繹」できないと、中平氏は繰り返し主張をされています。
私の教科書では、標準的な量子力学の公理系を満たすものという意味で「量子系」としています。多くの他の教科書にもある、その標準的な公理系とは、下記になります。
・量子状態は密度行列ρで表現される。
・物理量はエルミート行列に対応する。
・エルミートの固有値が実験で観測される物理量の値である。
・物理量の値が観測される確率は、ボルン則で与えられる。
・密度行列の時間発展はシュレディンガー方程式で記述される。
私の上の回答のnote記事でも述べたとおり、これらの公理は2準位系でも多準位系でも、私の方法によって実験からきちんと演繹されます。この点は間違いのない事実ですし、中平氏が言うような「致命的な誤り」では決してありません。
中平氏は私が使った条件を満たしつつ、3準位の量子力学ではない「非量子論」が作れると主張をし、私の教科書は間違っているとされています。しかし下記のnote記事でも述べたように、それは全くの的外れだと思われます。
彼がΘと呼んでいるその「非量子論」では、一般確率論の意味で識別可能な状態が3つではあるが、それは3準位系の量子力学とは異なる理論として扱われ、かつ私の条件を全て満たしています。しかしΘ理論は、6準位の量子力学の体系に自然に埋め込めます。
(訂正と補足:前の記述では、全ての一般確率論が非負行列の密度行列をもつ高準位系の量子力学に埋め込めるととれる部分がありました。しかし実際に私の教科書の第15章にあるPR箱理論などは、そのような埋め込みはできません。それで上記の部分の文章を修正しました。(2024/12/17)
実際中平氏自身が示しているように、Θ理論は6準位系の量子力学において測定を人為的に制限をして、3準位系だけが観測できるようにしています。

しかしこのΘ理論でも、私の教科書の量子状態トモグラフィ法で3準位系の密度行列ρ(Θ)が定義できます。先の私のnote記事で回答したように、そのρ(Θ)も上に挙げた標準的な量子力学の公理を全てきちんと満たすため、3準位系の量子力学は「演繹」できているというのが、私の教科書の立場です。
ただし中平氏のΘ理論には余計なPOVM測定が含まれており、そのため隠れている2準位の状態の効果を、その測定で確かに見れます。しかしそれを理由にして、「Θ理論が非量子論」であるとは言えません。ここに読者の方は注意が必要です。
(1)式のΘ理論の密度行列は、量子力学の3準位系の密度行列、及び+とーで区別される2準位状態とで

と書かれます。つまり中平氏自身も行っているように、Θ理論は極自然に6準位系の量子力学の体系に埋め込まれているのです。私の方法で定義されたρ(Θ)の3準系を注目系の自由度とし、+とーで区別される2準位系はまだ実験で検証できていない隠れた自由度とした2つの量子系の合成系理論に、Θ理論は埋まっています。この2準位系の測定に何も制限を与えなければ、この系は6準位系として記述されることが実験で検証できます。繰り返して強調をしますが、Θ理論では敢えて3つの状態しか同時識別可能にならないように、この測定に人為的に制限を与えています。物理学の意味では、この測定の制限を6準位系において+状態と-状態を観測するエネルギーが足らないなどの測定技術の問題だと解釈することも可能なわけです。この辺りのことは最初から下記の補足で説明をしております。
私の立場では、Θ理論には私の教科書の第3章の量子状態トモグラフィ法で定義される「量子3準位系」と相互作用をする「隠れた量子2準位系」があるだけです。その意味では、Θ理論も「非量子論」なんかではなく、極普通の量子論だと言えます。特にΘ理論を持ち出して、私の教科書に「致命的な誤り」があると主張することはナンセンスだと思っています。
追記:下記コメントを出されたようですが、これについても、この私の記事で対応ができていると考えております。
追記2:下記の回答のnoteが目に入りましたので、私の読者のために回答を付けておきます。
堀田先生:実際中平氏自身が示しているように、Θ理論は6準位系の量子力学において測定を人為的に制限をして、3準位系だけが観測できるようにしています。
(中略)
先の私のnote記事で回答したように、そのρ(Θ)も上に挙げた標準的な量子力学の公理を全てきちんと満たすため、3準位系の量子力学は「演繹」できているというのが、私の教科書の立場です。
(中略)
しかしそれを理由にして、「Θ理論が非量子論」であるとは言えません。ここに読者の方は注意が必要です。中平の回答:堀田先生の上の文言は,私が挙げた量子系ではない(つまり
StX≅Den3StX≅Den3
を満たさない)3準位系Xも,上で挙げた公理をすべてきちんと満たすため3準位系の量子力学が「演繹」できている,つまり「系Xは量子系である」と主張されているように読めます。また,私が挙げた理論Θは非量子論であるとはいえないとのことです。しかし,標準的な量子論では,私が挙げた系Xを量子系とよぶことはなく,理論Θを量子論とよぶことはないでしょう。中心的な議題が「与えられたN準位系YがStY≅DenNStY≅DenNを満たすことを演繹的に導けるか否か?」であることは,22年8月15日公開の私のnote記事(やそれ以前に行った堀田先生とのやり取り)から変わっていません。堀田先生も,少なくとも22年8月14日には,このことが議題であることを認識されています。議題をすり替えて,私が挙げた系Xを量子系とみなすといった主張をされているように読めますが,さすがにこの主張には無理があるでしょう。なお,私自身は「量子論」や「量子系」という用語を『中平記事』内で定めた意味で用いていますが,これらのよび方に違和感を感じる場合はほかのよび方に変えても構いません。もちろん,その場合でも議論の内容は変わりません。
この部分については用語の混乱があると思われます。私は物理学の観点から、「2準位系の量子力学」、「3準位系の量子力学」、「6準位系の量子力学」などをそれぞれ区別します。例えば私の教科書の付録Gにある隠れた変数理論としての棒磁石モデルは、J.S.ベルの隠れた変数モデルと同様に、「2準位系の量子力学」の公理系を満たします。具体的には量子状態トモグラフィを通じて、この隠れた変数理論でも2準位系の密度行列ρが定義され、それからボルン則や状態重ね合わせが導かれます。この意味で、付録Gの棒磁石は量子力学の公理系を満たす「2準位量子系」であると、物理的に定義をしています。しかしシュテルン=ゲルラッハ実験で測られる物理量以外にも、ミクロ(プランク長さスケール?)な物理量を棒磁石は持っているため、プランクエネルギー程度の超高エネルギー領域で、この棒磁石は2準位系量子系とは異なる振る舞いをするでしょう。しかしシュテルン=ゲルラッハ実験の低エネルギー領域ではそれを観測できる測定はないため、ベルと同じ文脈で、「2準位系の量子力学」の結果を再現しているとみなすのです。つまり棒磁石はこの意味での「2準位量子系」なのです。中平氏のΘ理論にも隠れた2準位の自由度がありますが、棒磁石モデルのミクロな自由度と同じ状況と私は捉えます。3準位系の量子状態トモグラフィで定義される密度行列ρ(Θ)によって、Θ理論は3準系の量子力学の公理系を確かに満たす「3準位量子系」になっているのです。また付録Gの棒磁石モデルは「2準位量子系」とみなせたわけですが、一方で2つの棒磁石から成る4準位系ではベル不等式を破ることができず、結果として「4準位量子系」にはなれません。しかし飽くまでも公理系を満たす「2準位量子系」としてはみなせるというのが重要な点なのです。同様にΘ理論で3準位系量子力学の測定とは異なる測定をして隠れた2準位の効果が見えれば、その段階から「3準位量子系」とは呼ばず、「測定が制限をされた6準位量子系」と私の用語ではみなすのです。つまり言葉の問題に過ぎません。
堀田先生:彼がΘと呼んでいるその「非量子論」では、一般確率論の意味で識別可能な状態が3つではあるが、それは3準位系の量子力学とは異なる理論として扱われ、かつ私の条件を全て満たしています。しかし一般確率論ではよく知られているように、Θ理論を含むそれらの理論は、より多準位の量子力学の体系に自然に埋め込めます。実際中平氏自身が示しているように、Θ理論は6準位系の量子力学において測定を人為的に制限をして、3準位系だけが観測できるようにしています。
(中略)
繰り返して強調をしますが、Θ理論では敢えて3つの状態しか同時識別可能にならないように、この測定に人為的に制限を与えています。物理学の意味では、この測定の制限を6準位系において+状態と-状態を観測するエネルギーが足らないなどの測定技術の問題だと解釈することも可能なわけです。
中平の回答:私は,「実際には量子6準位系なのだけれど,測定技術の問題により系Xのようにみえるだけ」という状況のことは話していません。ある系が,上の系Xと真に同じ数学的構造をもつような状況について話しています。「人為的」にみえるか否かは,今回の議題である「『前提』を満たす非量子論が存在するか否か?」とはほぼ無関係の問題です。「量子論の常識」から考えれば,系Xは測定に対して人為的に制限を与えているようにみえるかもしれません。同様に,すべての非量子論は人為的に何らかの加工をしているようにみえることでしょう。逆に,仮にこの世界が量子6準位系をもたないような理論Θにしたがっていたとして,かつ私たちが理論Θに慣れ親しんでいたとすると,きっと量子6準位系のほうが人為的にみえることでしょう。なお,今回の議題においては,「量子論の常識」は一般に通じないことは『中平記事』でも指摘したとおりです。
補足:仮に,ある系の測定として,系 Xの測定に相当するもののみが実験で確かめられたとしましょう。このとき,「測定技術の問題だと解釈することも可能なわけです」という堀田先生の主張は間違っていないと思います。しかし,同様に「系 Xと真に同じ数学的構造をもつ3準位系がある」と解釈することも可能です。前者の解釈ができるからといって,『前提』を満たす非量子論が存在しないと結論付けることはできません。『前提』を満たす非量子論が存在しないことを示すためには,前者の解釈しかあり得ないことを証明する必要があるでしょう。
自然であるかどうかは、実証可能性が重要です。この中平氏の補足にあります「系 Xと真に同じ数学的構造をもつ3準位系がある」は実証可能ではありません。実験で実証するには、実現できるあらゆる測定がΘ理論のPOVMで書かれること、Θ理論のPOVM以外の測定は存在しないことを実証しなくてはいけません。これには宇宙全体のあらゆる物体を測定器系として利用をして調べる必要があるわけですが、この実現は不可能です。実証科学の物理学としては「測定技術の問題」として捉えることしかできません。その意味で、中平さんのΘ理論は不自然、というより実証科学の遡上自体に載っていないのです。
堀田先生:私の教科書では、標準的な量子力学の公理系を満たすものという意味で「量子系」としています。多くの他の教科書にもある、その標準的な公理系とは、下記になります。
・量子状態は密度行列ρで表現される。
・物理量はエルミート行列に対応する。
・エルミートの固有値が実験で観測される物理量の値である。
・物理量の値が観測される確率は、ボルン則で与えられる。
・密度行列の時間発展はシュレディンガー方程式で記述される。
私の上の回答のnote記事でも述べたとおり、これらの公理は2準位系でも多準位系でも、私の方法によって実験からきちんと演繹されます。この点は間違いのない事実ですし、中平氏が言うような「致命的な誤り」では決してありません。
中平の回答:定義があいまいな用語がいくつかあるため,「実験からきちんと演繹されます」といわれても信憑性に欠けると思います。たとえば『前提』を満たす非量子論が存在する場合には,その非量子論のボルン則とは何を意味しているのかが不明瞭です。また,上でも述べましたが,もしStX≅Den3StX≅Den3を満たさない3準位系Xも量子系とよぶのでしたら,それは標準的な量子論とは異なる話をしていると思います。
既に私のnoteの論理に沿って、公理系を満たすことを理解されている方も居ます。きちんと1つ1つ消化しながら辿って頂ければ、実験からきちんと演繹されていることが読者の方にはお分かりになると思います。中平氏が理解される/されないことが、正しい/間違っているという基準ではないことを蛇足ながら加えておきます。また『前提』を満たす非量子論が存在する場合のボルン則については、私ではなく、提案者の中平氏側が答えるべきものだと思っています「StX≅Den3StX≅Den3を満たさない3準位系Xも量子系」については、上で述べた用語の問題に過ぎません。
堀田先生:彼がΘと呼んでいるその「非量子論」では、一般確率論の意味で識別可能な状態が3つではあるが、それは3準位系の量子力学とは異なる理論として扱われ、かつ私の条件を全て満たしています。しかし一般確率論ではよく知られているように、Θ理論を含むそれらの理論は、より多準位の量子力学の体系に自然に埋め込めます。
中平の回答:一般確率論がより多準位の量子力学の体型に自然に埋め込めるか否かという点には,(とくに「自然」とは何かという意味において)議論の余地があると考えます。また,私自身はこの点について否定的な意見をもっています。たとえば,一般確率論の中には,各成分が四元数であるような正方行列(のうちある条件を満たすもの)を状態とするような理論も考えられますし,そもそも正方行列で表すことが自然とは思えないような理論も考えられます。
議論の余地があるならば、Θ理論ではなく、量子力学に埋め込めないそのような理論を実際に作って見せる義務が、中平氏側にあると私は思います。
実証科学の観点をきちんと持った読者の皆さんにとって、今回の中平氏のコメントは有用にならないだろうと思っています。
追記(2024/12/21)
私が下記noteを公開したところ、
中平氏は下記noteで、「堀田先生がこれまでの主張を変えられる」「堀田先生の主張が間違っていることを彼は認めたようす」と書かれています。読者の方はこれまでの議論と教科書を読まれれば、私は彼が理解しやすいようにと、手を変え品を変えて説明方法を工夫しているだけで、主張は全く変わっていないことを確認できるかと思います。中平氏はそれに対して我田引水的にそのような主張をされているのに過ぎません。
また「量子論」「非量子論」の用語を中平氏の定義に沿って使われているだけ、私は丁寧にその用語を実際の物理に即した形で、そして中平氏とは異なる形で使っているだけです。用語は本質ではないと私は思うので、本書の中身、主張を誤解をせずに、しっかりと理解をして頂ければと、今も願っています。
繰り返しになりますが、再度書いておきます。
物理理論では、どんな対象でも、それを測るどんな測定でも、エネルギーやその時点での技術などで決まる適用範囲があります。例えばスピン二準位系とみなされる銀原子や中性子のSG実験でも、それらの粒子の内部励起が無視できる低エネルギーの実験です。その実験領域では二準位ですが、もし粒子を測定するときに、高いエネルギーを粒子の内部構造に注入してしまう装置で物理操作を行うと、スピンの組み換えが内部で起こってしまいます。その励起状態のまま粒子をSG装置に通せば、多準位スピン状態が観測されます。低エネルギーの操作とSG実験だけならば二準位だったものが、例えば三準位などで記述される必要があります。もしエネルギーがそれほど高くなく、SG装置を通過するころには増えた準位はもう見えなくなって、SG装置からは2つの粒子ビームしか出てこない場合もあり得ます。測定結果として2つの状態ですが、SG装置に入る前の中間エネルギー領域で、光子を出したり、別な測定器と接触をしていれば、その測定結果も使って、Θ理論などのなんらかの一般確率論の二準位版でその励起効果を解析できることも、もちろんあり得ます。これは最初の私の補足ノートの頃から本質的に何回も言っていることです。第2章と第3章では「理論の適用範囲を考えなさい」ということに過ぎず、これも当初から何回も中平氏に言っていることですが、Θ理論のような話は第15章でのテーマであり、彼が批判を続けている第2章と第3章での内容とは全く無関係なのです。
付録Gの隠れた変数理論の棒磁石モデルでも、SG実験のエネルギー領域では二準位で記述され、その実験データから第2章のように2次元密度行列が定義可能です。そしてボルン則や状態重ね合わせが出てきます。しかし棒磁石モデルに必要な謎の揺らぎをミクロに観察できる高エネルギー領域にいけば、二準位どころか、もっと多数の自由度、そしてそれを測定する装置や対応する測定のPOVMなども作れるでしょう。ですから物理理論はエネルギーなどの領域を指定して、実験やその実験の結果を記述する物理理論を作るべきなのです。その意味で、付録Gの棒磁石モデルは低エネルギーでは二準位系量子力学の公理を満たす「量子系」として振る舞うと判断して問題ありません。下記記事にもあるように、棒磁石モデルの密度行列表示では、ボルン則も状態重ね合わせも出てきます。本書の付録Gでも強調しましたように、もちろん2つの棒磁石ではベル不等式が破れるので、それは四準位系の量子力学の公理を満たさず、その時点では理論として区別できるようになります。しかし1つの棒磁石に関しては、SG実験においてそれは公理系を満たす振る舞いをするため、それを量子力学的な対象、つまり限定された意味で「量子系」と呼んでも問題は生じないのです。
また中平氏が提唱をするΘ理論では、「ボルン則」が成り立たないから、本書は間違っていると今回主張を加えられましたが、それも本書の主張を正しく理解されていないだけです。
読者の方は、私の一環した基本主張を、本書や当初からの補足ノートからだけでなく、上記の2024年12月21日のnote(堀田量子第2.5章)からも辿れるかと思います。
なお念のため彼のΘ理論(もしくは今回少し拡張された理論)の枠組みで、本書での主張を正しく書くと次のようになります。
まず次の3つの3次元行列を定義します。

そして6次元行列のΘ理論での3つの状態に対する密度行列を下記で定義します。

この3つの状態は次のPOVM測定で同時識別可能です。

このPOVMはΘ理論のPOVM制限を満たし、そして3準位系の基準測定を成します。ここでΘ理論で許される他のPOVMとしては、上のPOVMを下記のように局所ユニタリ変換をしたものがあります。

これもΘ理論のPOVM制限を満たしています。この局所ユニタリー変換で生成されたPOVMの集合を、本書で扱われるSG実験のような「低エネルギー領域での測定」と、本書の文脈では定義をするのです。またこの実験を記述する理論での純粋状態は、E_1と任意の3次元ユニタリ行列を使って下記のように書ける密度行列ψとします。これもΘ理論で許されています。

そして混合状態も含めた状態空間は、この純粋状態の確率混合で生成される下記の6次元密度行列全体と定義するのです。

本書で扱われる内容の理論は、これできちんと構築されたので、次に3次元エルミート行列である「ゲルマン行列」に対応する物理量の測定を考えます。その各ゲルマン行列のスペクトル分解を、固有値と規格化された固有ベクトルとを使って、下記のように書きます。

ここで、この固有ベクトルと元の3次元基底ベクトルとの内積から作られる下記の3次元ユニタリ行列は、ゲルマン行列を対角化します。

その対角化により、固有値を対角成分にもつ対角行列が出てきます。

したがって元のゲルマン行列は、このユニタリ行列と対角行列で以下で与えられます。

次にΘ理論でのこのゲルマン行列に対応する物理量の測定を、下記の6次元POVMで定義します。

これもΘ理論のPOVM制限を満たしています。そしてこの測定では、下記の確率分布が得られます。

そしてこの確率分布を使えば、ゲルマン行列に対応する物理量の期待値が、下記で計算可能となります。

そしてこの期待値から、今度はこの低エネルギー領域の実験を記述する3次元密度行列が、下記のように改めて定義可能となるのです。

この3次元密度行列はもちろん非負ですし、定義に使用した期待値も下記の式で復元できています。

後は上で紹介した「堀田量子第2.5章」や過去のnoteや補足記事や本書と同様に、普通にボルン則が導出され、また3.11節の議論から状態重ね合わせも出てきます。つまり私の主張は、「Θ理論は上で述べた私の教科書の主張に対する反例に成っていない」というものです。特に今回の中平氏の記事は、本書の主張の矛盾や間違いを指摘できるものにはなっておりません。
いいなと思ったら応援しよう!
サポートありがとうございます。