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【第5回】タイの模倣品対策はここまで来た!現場で進む取り締まり強化と企業の実践対応とは?

📘 はじめに──「売られている」だけじゃなく、「取り締まられている」現場がある

「タイは模倣品天国だ」──そんなイメージはもう過去のものかもしれません。
たしかに、観光地の露店やオンラインマーケットでは今も模倣品が目に入ります。
でも、その裏では、行政・警察・企業が連携した“実務的な取り締まり”が急速に強化されているのをご存じでしょうか?
この記事では、取り締まりの現場で何が起きているのかを紹介しつつ、企業側が“対岸の火事”とせずにできる具体的な対応策をお伝えします。

こうした動きを、これまでの連載でも詳しく取り上げてきました。
もしまだご覧になっていない方は、あわせてご一読いただくと理解が一層深まります。

📚 過去の記事はこちら
- [第1回:タイの知財は今こうなっている!法改正と国際基準への適合とは]
- [第2回:タイの知財はここまで来ている!AIとデジタルが変える知財実務の最前線]
- [第3回:「それ、ホンモノ?」模倣品の進化が止まらない。企業が今とるべき知財対応とは?]
- [第4回:変化するだけじゃダメ。タイ知財の進化に企業が「対応」するための3つのポイント]



✅ この記事でわかること

  • タイで進む模倣品対策の実態(取り締まり強化の背景)

  • 警察・関係機関・企業による連携事例

  • 日本企業が現地で取るべき具体的アクション

  • タイ進出前/後でやっておくべき“模倣品リスク管理”


📚 目次

  1. なぜ今、タイで模倣品の取り締まりが強化されているのか?

  2. 実例①:ECサイトとの連携削除対応

  3. 実例②:企業主導の現地摘発の動き

  4. 実例③:税関での「模倣品止める仕組み」が有効に

  5. 企業がとるべき現場レベルの5つの対策

  6. まとめ:放置せず、連携して動く


1. なぜ今、タイで模倣品の取り締まりが強化されているのか?

背景にはいくつかの要因があります。

  • 🇺🇸 アメリカのスペシャル301リストで改善要求を受けた過去の反省

  • 📜 FTA/RCEPによる知財保護義務の強化

  • 💰 偽造品による健康被害・税収損失への懸念(医薬品・食品・化粧品)

  • 🌐 EC市場の拡大による「取り締まりのデジタル化」の必要性

その結果、現在のタイでは「官民協働」での模倣対策が進んでいます。


2. 実例①:ECサイトとの連携削除対応

Shopee・Lazadaといった大手ECプラットフォームでは、出品者の監視と削除システムが整備され始めています。

  • 出品監視チームが社内に常設

  • 商標登録情報と照合し、月1万件以上の削除実績(2023年)

  • AIによる画像認識で「模倣の疑い」を自動検出

企業が商標を登録しておくことで、自動保護システムに乗る=削除されやすくなるという実務的な効果があるのです。


3. 実例②:企業主導の現地摘発の動き

日本企業が現地弁護士・警察と連携し、模倣品の販売現場を突き止め、摘発を主導するケースも増えています。

  • 商標・意匠を登録しておくことで刑事告訴の根拠が明確に

  • 通報窓口を設け、SNS経由で密売情報を取得

  • 摘発後、EC停止・在庫差押・賠償請求の流れへ

**「黙って見ている」より「動いて抑える」**姿勢が企業ブランディングにも直結します。


4. 実例③:税関での「模倣品止める仕組み」が有効に

タイでは、商標権者が税関に情報登録することで、**輸出入時に模倣品を差し止める制度(Customs Recordation)**があります。

  • 2022年からオンライン登録が可能に

  • ブランドロゴ・製品写真・本物との違いなどを提出

  • 税関職員が輸入品をチェックし、模倣の疑いがあれば通知→差止

特に越境ECやOEM製品において、ブランド保護の最前線となる手続きです。


5. 企業がとるべき現場レベルの5つの対策

✅ ① 商標・意匠・著作権を現地で取得しておく

未登録では何も動けない

✅ ② ECプラットフォームに登録情報を提供しておく

AI監視の対象にする

✅ ③ 現地弁護士と警察・税関とのつながりを築く

摘発・通報・証拠整理の支援

✅ ④ 模倣品通報を受ける社内の窓口体制を整備

SNSや従業員からの情報収集を活かす

✅ ⑤ タイ語を含むオンライン巡回ツールの導入

EC内監視を自動化する


6. まとめ:放置せず、連携して動く

「動かないことが、最大のリスクになる時代です。」
模倣品対策は「見て見ぬふり」で済む時代ではありません。
法制度は整い、現場の仕組みも機能しはじめています。
あとは、企業側がそこに「どう乗るか」。
登録すること、監視すること、現地とつながること。
それが、タイ市場でのブランドと信頼を守る唯一の方法です。


▶ 次回予告

第6回では、「スタートアップと知財戦略」──
タイで加速するイノベーション支援と、知財との関係を詳しく解説します。

プロフィール
神戸市生まれ。国立大学大学院工学研究科修了後、化粧品メーカーに就職。製剤開発者として、キャリアをスタート。多くの特許を発明者として出願し、知財の世界に興味を持ち弁理士資格を取得。5年間のアメリカでのビジネス経験を活かし、現在は、ブランドマネージャー、子会社取締役、弁理士事務所(個人事業主)として、技術とビジネスを融合して、売れる商品づくりの挑戦中。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

急変するタイの知的財産戦略」シリーズは、これからもタイの現状を、できるだけわかりやすく発信していきたいと思っています。

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