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【第3回】「それ、ホンモノ?」模倣品の進化が止まらない。企業が今とるべき知財対応とは?

はじめに──模倣品って、まだそんなにあるの?

「模倣品」と聞くと、いかにも昔の話に思える方もいるかもしれません。
確かに、バンコクの路上でロレックスの偽物を売っていた時代は、もうひと昔前の話かもしれません。

しかし現実は違いました。
調べてみると、模倣品の“進化”は止まるどころか、むしろ形を変え、より巧妙に、より広く浸透してきているのです。

  • 商標から技術設計へ

  • 店頭からオンラインへ

  • 偽ブランドから偽テクノロジーへ

こうした流れに、日本企業がどう対応していけばよいのか──。
本記事では、模倣品の過去と現在を俯瞰しながら、企業がとるべき知財対応をわかりやすく整理します。

出典等の記載は、現在ありませんが、後日追加していきたいと思います。

📚 過去の記事はこちら
- [第1回:タイの知財は今こうなっている!法改正と国際基準への適合とは]
- [第2回:タイの知財はここまで来ている!AIとデジタルが変える知財実務の最前線]


✅ この記事でわかること

  • タイにおける模倣品の「3つの進化ステージ」

  • 最近の具体的な模倣トレンド(EC・SNS・技術系)

  • 翻訳ミスによる“意図しない模倣”リスクとは?

  • 日本企業が取るべき3つの現実的な対策


📚 目次

  1. 模倣品はこう変わった!3つの時代ステージ

  2. 事例から見る「技術模倣」と「デジタル模倣」

  3. タイ特有の落とし穴「誤訳リスク」とは?

  4. 企業がとるべき3つの対応策

  5. まとめ:知財は「出願して終わり」ではない


1. 模倣品はこう変わった!3つの時代ステージ

タイの模倣品事情は、大きく3つの時代に分けて整理できます。

📌 ステージ1:商標模倣の時代(1990〜2000年代)

  • 有名ブランドのロゴやパッケージだけを模倣

  • 市場は観光地や露店中心(MBKセンター等)

  • 典型的な「コピー商品」

当時は主に「商標権」で対応していました。


📌 ステージ2:技術・設計模倣の時代(2010年前後〜)

  • 商品の見た目は違うが、中身の技術や構造が酷似

  • 地場企業の技術力向上により“隠れた模倣”が出現

  • 対象は農機具・電子部品・医薬品など

この時代から、「特許や意匠」での対応が不可欠になります。


📌 ステージ3:デジタル模倣の時代(2020年代〜)

  • SNS・ECを通じた無許可流通(Shopee、Lazadaなど)

  • 音楽・映像・ソフトウェアなどの著作物の無断使用

  • 食品や化粧品の模倣品が健康被害を引き起こすケースも

模倣のフィールドは、オンラインとバーチャルへと拡大しています。


2. 事例から見る「技術模倣」と「デジタル模倣」

▶ 技術模倣の具体事例:製薬企業Merck社のケース

アメリカの製薬大手Merck社は、フィナステリド(薄毛治療薬)に関する特許をタイで取得。
しかし、現地企業が類似製品を製造・販売していたため訴訟に発展。

結果は──最高裁で侵害不成立
理由は、「製造方法の相違」と、「特許文の解釈の違い」でした。

これは、特許の“書き方”ひとつで、権利の有効性が左右されることを意味します。


▶ デジタル模倣の拡大:ECとSNSが主戦場に

2023年、Shopee・Lazadaなどの大手ECプラットフォームと政府が連携し、月間1万件以上の模倣品出品を削除。
また、海賊版映画サイトに対して、米国との合同摘発も実施されました。

もはや模倣品は「タイの問題」ではなく、グローバル課題として扱われています。


3. タイ特有の落とし穴「誤訳リスク」とは?

タイ特許制度には、一度誤訳すると訂正できないという大きな特徴があります。

❌ 例:「液体を防止するためのシール部材」

これは「流体の漏れを防ぐ部材」と訳すべきところを、“液体そのものを防ぐ”という意味に誤解される危険性があります。

専門用語や法的表現のミスが、意図しない特許侵害のトリガーになることも。
これは「模倣された」ではなく、「誤って模倣してしまった」リスクです。


4. 企業がとるべき3つの対応策

✅ ① 模倣の“質の変化”を知り、特許・意匠で備える

商品設計や技術が模倣対象になる今、商標だけでは不十分。
設計・製造プロセスに関わる特許・意匠の取得が不可欠です。


✅ ② ECやSNSも監視対象に含める

模倣はもはや「物理空間」だけの問題ではありません。
デジタル著作物・商品画像・商品説明文なども含めて、自社ブランドを見張る仕組みが必要です。


✅ ③ 翻訳・特許文書の「品質管理」を徹底する

  • 専門知識のある翻訳者を使う

  • 機械翻訳に依存しすぎない

  • 弁理士・法務とのダブルチェック体制を敷く

誤訳による損失は、想像以上に大きいのです。


5. まとめ:知財は「出願して終わり」ではない

模倣品は、消えたわけではありません。形を変えて、生き残っているのです。

「模倣品=商標だけの話」と考えていたら、対応が遅れます。
今の模倣は、技術・デジタル・翻訳の世界にまで浸透しています。

企業としての知財戦略も、もはや“防御の一環”ではありません。
攻めと守りを兼ね備えた「情報戦」の一部と捉えて、しっかりアップデートしていきましょう。


▶ 次回予告

第4回は、「タイ知財の変化に対応するための3つのポイント」について。
最新トレンドを踏まえた具体的な実務アクションを解説していきます。


プロフィール
神戸市生まれ。国立大学大学院工学研究科修了後、化粧品メーカーに就職。製剤開発者として、キャリアをスタート。多くの特許を発明者として出願し、知財の世界に興味を持ち弁理士資格を取得。5年間のアメリカでのビジネス経験を活かし、現在は、ブランドマネージャー、子会社取締役、弁理士事務所(個人事業主)として、技術とビジネスを融合して、売れる商品づくりの挑戦中。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

急変するタイの知的財産戦略」シリーズは、これからもタイの現状を、できるだけわかりやすく発信していきたいと思っています。

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