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マイク・ポートノイが語る:Dream Theater復帰後初の日本ツアーと、現在のプログ・シーン

我々がマイク・ポートノイに初めてインタビューしたのは、2021年1月。書籍PROG MUSIC Disc Guide──プログレッシヴ・ロック/メタル/オルタナティヴの現在形の巻頭インタビューのためだった。当時はコロナ禍の真っ只中。もちろん彼も Dream Theater(以下、DT)再加入前。「プログ番長」として、プログレッシヴ・ロックやメタルというジャンルがいかにして生まれ発展していったのかを語ってくれたのだった。

あれから5年。ポートノイが復帰したDTの来日が決まった瞬間から、筆者(Tate)は、彼にまた話を訊けたら…と思っていた。しかしリクエストを出すも、ツアー中は基本的に取材を受けていないとのことで、先日の来日中にインタビューすることは叶わなかった。
ただ、先日公開した↓の記事にも書いた通り、改めて彼が復帰したツアーを観て、更に訊きたいことが増えてしまった。

そんなある日、我々も 以前インタビューさせていただいた ソニーミュージックの中西氏 より、「朗報です。マイクとZoomインタビュー可能です」と突然の連絡が。(来日公演後も、粘り強く取材交渉を続けてくださった中西さん、本当にありがとうございます!)

そういえば、前回のZoomインタビューも直前に決まり、朝に実施したことを思い出した。当時は通訳の方にお願いしており、インタビューも複数人で行ったが、今回は私が単独で臨むため、入念に準備を行っていたら、興奮で眠れなくなってしまった。
インタビュー当日は、なんと私の誕生日。ようやく叶った彼とのインタビューは、まるで誕生日プレゼントのようだった。
取材開始時刻は朝7時。ほとんど眠れないまま、謎のハイテンションでマイク・ポートノイと(オンラインで)再会を果たした。


※企画・インタビュー・編集:Tate
※協力:Izumi

1⃣ 日本ツアーを終えて

Tate:日本ツアー、本当に素晴らしかったです。

ポートノイ:そうだね、本当に素晴らしい時間だったよ。特に武道館は格別だった。あらゆる感情を感じたよ。ついにバンドと共に日本に戻ってこれて最高だった。

Tate:あなたがSNSにもそう書いていた のを見て、私も興奮していましたよ。

ポートノイ:おお、ありがとう。

もはや彼のインタビュー動画では定番となりつつある、ポートノイ自室のZoom背景

🔹「日本の観客はおとなしい」発言の真意

Tate:以前のインタビューで「日本の観客はおとなしい」とおっしゃっていましたが、今回の5公演を終えて、ファンの反応はいかがでしたか?

ポートノイ:まず、日本のファンが「静かで控えめだ」と俺たちが言うことについて、悪い意味じゃないし、批判でもないんだ。世界の他の場所とは、ただエネルギーの種類が違う、ということなんだよ。俺たちはもう30年以上も日本でライブをやってきたから、日本のオーディエンスがどうやって感情を表現するかわかっているし、慣れている。たとえ他の場所より少し静かだったとしても、たくさんの愛と感情があるんだ。全公演で間違いなく、それを感じたよ。コンサートでの立ち振る舞いとして、少し礼儀正しくリスペクトに満ちた方法というか。それはまったく問題ないし、俺たちはその愛を確かに感じていたよ。

🔹大阪公演が特別なセットリストだった理由

Tate:そう言っていただけて、良かったです。ちなみに大阪公演は、今回のツアーの他のどの公演とも異なる特別なセットリスト でしたが、なぜあのような構成になったのですか?

ポートノイ:東京では2公演やったよね、武道館と、翌日は六本木だったかな。同じ都市で2日連続だからセットリストを少し変えた。2日目に来た人たちは『Parasomnia』を全曲体験できたし、あれは日本で唯一そうした夜だった。それに "A Change of Seasons" のスペシャル・アンコールもね。

でも大阪は1公演しかなかった。だから大阪のファンにも "A Change of Seasons" を体験してほしかったんだ。あの曲はとてもスペシャルな曲だからね。そうなると、『Parasomnia』も全部やりたい、"Octavarium" もやりたいとなって… じゃあ、この3曲の大曲を全部1公演にぶち込んでしまおう、というアイディアが浮かんだ。今まで一度もやったことがなかったし、東京の2公演に来られなかったファンのために、大阪で何か特別なものを届けたかったんだよ。

大阪公演でのポートノイの様子
(Photo by Wolfe Eliot)

2⃣ 会場で流すBGMへのこだわり

🔹BGMも雰囲気作りの一部

Tate:今回、私は各公演の開演前・休憩中に流れていたBGMを Shazamを使って記録し、プレイリストを作って YouTubeやSpotifyで公開したところ、かなり反響があったんです。ファンは、あなたのプレイリストを通じて新しい曲を発見するのが嬉しいんですよ。

ポートノイ:ありがとう!そうだね、それは俺がずっとやってきたことの1つだ。DTでも、俺の関わるすべてのバンドでもね。開演前・休憩中・退場時の音楽——すべて俺にとってはショウの一部なんだよ。ステージに立っていない時間も含めて、全部がプレゼンテーションであり、雰囲気作りなんだ。

選ぶ曲は、ファンがすでに知っていて好きであろうバンドのものか、あるいはまだ知らないだろうけど、これをきっかけに知ってほしいバンドのものか、どちらかだね。

楽屋でも同じBGMが流れているんだけど、日本ツアー中、面白いことに、ジョーダン(・ルーデス)も Shazamしていた曲があったんだ。俺がプレイリストに入れていたクリス・コーネルの曲で、「わあ、これは何だい? 素晴らしい曲じゃないか」って言って Shazamしていたよ。彼でさえプレイリストから新しいアーティストや曲を学んでいたんだ。

※私は Shazamし損ねてしまったので、上記のプレイリストには入っていないが、Classic Rock 誌の記事 から察するに、おそらくこの曲↓ではないかと思われる。

Tate:はい、私もまさに毎晩、同じことをして、プレイリストを作ってシェアしたんです。皆、会場で何の曲が流れていたか知りたかったんですよ。

ポートノイ:それは素晴らしいね!休憩中のBGMは、すべて俺のお気に入りの映画サントラで構成しているんだ。デヴィッド・リンチの『ツイン・ピークス』、クエンティン・タランティーノの『キル・ビル』、マーティン・スコセッシの『タクシー・ドライバー』、スタンリー・キューブリックの(『時計じかけのオレンジ』の劇中曲である)"どろぼうかささぎ序曲"——休憩中の音楽を通じて、俺の趣味を少しだけ味わってもらえるようにしているんだよ。

Tate:もちろん知っていますよ!それで言うと、休憩後のセットリストによって、休憩中の映像や曲がまったく違っていましたよね。

ポートノイ: そう、その通りだ。東京2日目の夜に『Parasomnia』を全曲演奏した日は、いろんなホラー映画の曲を流していたよ。アルバムに合わせて、暗くて、怖くて、不気味な夜の雰囲気を作るためにね。とても鋭いね。君みたいに、ディテールを気づいてくれる人がいて嬉しいよ!

Tate:私は、あなたのそういう演出が大好きなんです。ショウをより魅力的にするための、あなたならではの強みだと思います。

ポートノイ:まさにそうだよ。気づいてくれてありがとう!

🔹"Rooster" 選曲の意図

Tate:ちなみに Alice In Chains の "Rooster" についてですが、ベトナム戦争の帰還兵についての曲ですよね。"A Broken Man" も戦争のトラウマを扱っていますし、映画『地獄の黙示録』を彷彿とさせる映像が使われていたので… この繋がりは意図的ですか、それとも偶然でしょうか?

ポートノイ: "Rooster" との繋がりは、90年代にまで遡るんだ。当時、俺たちがショウをやるときはいつも "Rooster" がプレイリストの最後の曲だった。"Psycho" でショウが始まるまで、あと7分だとわかる合図みたいなものでね。今回の40周年記念ツアーで、90年代にDTを観ていたファンへのノスタルジーとして復活させたんだ。

こういう伝統を持つバンドはたくさんいるよね。Twisted Sister はいつも AC/DC の "It's a Long Way to the Top"、Metallica は "The Good, The Bad and The Ugly(続・夕陽のガンマン)"、Iron Maiden は(UFOの)"Doctor Doctor" といった感じで。俺たちの場合は、特に理由はなかったんだけど。

そんなわけで、当時を覚えているファンのためであって、戦争のテーマとの関係はないんだ。ただ、DTの過去曲には戦争帰還兵をテーマにした曲が3曲ある。『Six Degrees of Inner Turbulence』の "War Inside My Head"、次に "The Enemy Inside"、そして "A Broken Man" が3曲目だ。

ちなみに『Parasomnia』を全曲演奏するときは、プレイリストの最後の曲は "Rooster" ではなく映画)『シャイニング』のテーマ曲だよ。

3⃣ プログ・シーンの現在とDT以外の活動

🔹「Dream Theater の次に何を聴くか」問題

Tate:実は、あなたが20年前ぐらいに開演前にかけていたBGMのおかげで、私は Porcupine TreeOpeth を知ったんです。そうして今は日本で現在進行形のプログ・バンドを広める活動をしています。ただ、日本では Dream Theater の存在があまりにも大きくて、Steven Wilson や Leprous のようなアーティストでさえ、日本ツアーの実現に苦労しています。DT以外はあまり聴かないというファンに、あなたなら何と言いたいですか?

ポートノイ:本当に多くの素晴らしい音楽を見逃しているなんて、もったいないことだよ!
例えば俺は ニール・モースと、彼のソロ・アルバム、Transatlantic、Flying Colors、The Neal Morse Band を合わせて30枚ぐらいのスタジオ・アルバムを一緒に作ってきた。ライブ・アルバムを含めたら50枚以上 になる。それなのに、ニールとは、まだ一度も日本でライブをやったことがないんだ!DTのファンの多くが、俺が関わってきた他の音楽をあまり知らないんだと思う。

俺以外にも、君が言ったように、Steven Wilson や Opeth、他にも素晴らしいプログ・バンドがヨーロッパ、アメリカ、南米で大きなキャリアを築いている。君が言った Leprous や Haken もそうだ。毎年Cruise to the Edge」フェスのラインナップを見れば、DT以外にも、プログには膨大な世界が広がっていることがわかる。日本のファンにも、もっとそれを知ってほしいよ。

筆者がこれまでに一番魅力的だと感じた「Cruise to the Edge」2025年のラインナップ

雑誌やWeb、ポッドキャスト等、君みたいに音楽や情報を広めることが大事なんだ。Dream Theater の外にも広大な世界がある
俺たちがDTでやっていることは、プログレッシヴ・メタルの世界では、ある意味、最大級かもしれないけど、他にも、本当に質の高い音楽がたくさんある。だから、俺の開演前プレイリストを見るか、「Cruise to the Edge」のラインナップを見るか、DT以外で俺が関わってきたアルバムを聴いてみて、視野を広げて、素晴らしいプログレッシヴ・ミュージックを探求してみてほしいね。

Tate:その言葉を聞けて嬉しいです。実は今日、Transatlantic のTシャツを着ています。2022年にロンドンで観ました。

ポートノイ: それは完璧だ!本当に、ニールとの、どのバンドでも、日本でライブをやったことがないなんて不思議だよ。プログレッシヴ・ロックに根ざしているし、俺が今まで関わってきた中で、お気に入りのアルバムもいくつもあるんだ。The Neal Morse Band の『The Similitude of a Dream』や『The Great Adventure』、Transatlantic の『The Whirlwind』や『The Absolute Universe…。俺のキャリアにおいて重要なアルバムで、ファンにもぜひ親しんでもらいたいと思っているよ。

🔹「プログレッシヴ」という言葉が意味するもの

Tate:実は最近、あなたの友人でもある Opeth のミカエル・オーカーフェルトにインタビュー する機会がありました。5年前、あなたにインタビューしたときは、プログレッシヴ・メタルというジャンルがどのように生まれたかを話してくれましたが、ミカエルはインタビューで「"プログレッシヴ(progressive: 進歩的)" という言葉は、今やアティテュードよりも、変拍子や速いギターソロ等を表すジャンルの定義になってしまっていて、それはむしろ "regressive: 退行的" なのではないか」と言っていました。彼はまだ古いレコードに執着していると自分でも言っていましたが、あなたは今の若手世代をしっかりフォローしていますよね。彼の意見に同意しますか?

ポートノイ: バンドによって「プログレッシヴ・ミュージック」という言葉の使い方はまったく違うと思うよ。The Moody Blues、King Crimson、Yes、Genesis といった60〜70年代の古いサウンドやスタイル、メロトロンのような楽器を用いるバンドもいる一方で、プログレッシヴ・ミュージックをまったく新しい方法で探求しているバンドもいる

プログレッシヴ・メタルのバンドは、プログレッシヴ・ロックのバンドとは大きく異なるよね。7弦・8弦ギター、Periphery、TesseracT、Animals as Leaders のようなバンドが使うDjentのスタイル——ああいうバンドは、クレイジーな演奏や、楽器の非常に高度なテクニックといった点において、本当に先を見据えていると言える。

一方で The Flower Kings のように、60〜70年代のサウンドに根ざして、よりレトロなアプローチをとるバンドもいる。

フランスの Igorrr なんて、デスメタルをベースにしながらフランスの室内楽をミックスしたような、すごくぶっ飛んだことをやっている。

Blood Incantation は、Opeth のようなデスメタルのスタイルをメロトロンや『Pink Floyd at Pompeii』のような影響と組み合わせている。

だから2026年において、「プログ」や「プログレッシヴ」という言葉は、かつてのように簡単に説明したり、型にはめたりできるものじゃなくなっているんだよ。でも、俺は良いことだと思う。ジャンルがそれだけ広がっているということだからね。

🔹ミカエル・オーカーフェルトとの共演について

Tate:(あなたの意見が)聞けて良かったです。挙げてくれたバンド、どれも私のお気に入りばかりです。
ちなみに、ミカエルとの待望のコラボレーションは、実現に近づきそうですか?

ポートノイ:正直に言うと、Dream Theater に戻った今、以前よりも可能性は低くなったかもしれない。DTを離れていた13年間、いろんなバンドやプロジェクトをやってきたから、あの時期にミカエルと何かやるのが自然な流れだったと思うけど、結局、実現しなかった。いつかやってみたいとは今でも思っているよ。でも、DTに戻って、これほど忙しくなった今、離れていた頃よりも実現の可能性は低いだろうね、正直なところ。でも、ウェルカムだよ、もちろん。

Tate:なるほどです、(引き続き)楽しみにしています。

ポートノイ:どうなるかわからないけどね。

🔹映画やドラマのサントラ等、他プロジェクトへの興味

Tate:ミカエルは、Netflixのドラマシリーズのサウンドトラックを手がけたことで、今後も、そういった仕事をしたい と言っていました。あなたも映画やドラマが本当に大好きですよね。将来、サウンドトラックの作曲をしてみたいという気持ちはありますか?

ポートノイ:正直に言うと、今は1つのバンド、Dream Theater に集中できていることが本当に幸せなんだ。DTを離れていた13年間、自分が想像し得る限り、あらゆるプロジェクトやラインナップを組んできた。コロナ禍のロックダウン中でさえ、いろんな人たちとコラボレーションしていたよ。正直、もうやれることは全部やり尽くしたんじゃないかというぐらいにね。だから今は、外の仕事を新たに追いかけたいという欲求や興味はないんだ。もちろん、ニール・モースと新しいアルバムや、アメリカとヨーロッパ、イギリスでのショウ は今後もあるけど、今は家に帰ってきて腰を落ち着けていることが幸せなんだよ。

4⃣ ライブ演出における哲学

Tate:私はDTのライブを30年近く観てきましたが、今回はこれまでで最大規模のプロダクションですよね。しかもセットリストを変えている来日ツアー中に(照明・演出デザインを手掛ける)スティーヴ・ベアード(Steve Baird)氏と話すことができた のですが、タイムコードなしで、あなたの演奏をリアルタイムで追いながら、すべて手動で操作しているとのことでした。あなたと彼の間には、もはや暗黙の了解のようなものがあるんでしょうか?

ポートノイ: その通りだね。スティーヴはドラマーだから、理解できるんだと思う。照明とビデオのトリガーを担当するスティーヴだけじゃなく、レーザーを担当するメーガン、彼女も一緒に合わせてくれている。サウンドチームも同じだ。彼ら全員がプロダクションにとって非常に重要な存在なんだよ。

俺はバンドに戻るにあたって、クリックトラックや事前にプログラムされたパートとは、いっさい仕事をしたくなかった。そういうやり方が好きじゃないんだ。すべてがリアルで、オーガニックであってほしいし、俺自身をクリックトラックにしてほしいんだ。それが俺のドラマーとしての役割の1つだからね。バンドの5人を指揮するだけじゃなく、テンポを管理し、曲の始まりと終わりを決めて、リタルダンド(テンポを次第に落としていく)の合図を出し…。

照明チームも、ビデオチームも、サウンドチームも全員、俺たちが耳にしているものを自分のイヤーモニターで聴いていて、俺が小さな電子パッドを使って全員にキューを出している。皆が俺を指揮官として動く感じだね。Dream Theater では、最初の頃から2010年に脱退するまで、ずっとそうしてきた。クリックトラックは決して使ったことがないし、照明やビデオチームが俺の流れを追いかけてくれていた。皆、セットリストの変更に合わせてプログラムするのが、とてもうまくなったよね。

でも、セットリストを毎回変えたいと思っても、それは簡単なことじゃないんだ。ただ会場に行って演奏するだけではないんだよ。照明も、レーザーも、事前にプログラムしておく必要がある。だからこのワールドツアーでは複数のセットリストを用意してある。俺は地図を見ながら、どの組み合わせが最も多く、異なる曲を演奏できて、ファンにとっても、最もユニークな体験になるかを見極めて、数日前から1週間前にバンドとクルーに送るようにしている。だからすべてのショウの前に、皆がセットリストを知っていて、準備できているんだよ。

ステージ・プロダクションについては コチラの記事も参照のこと
(Photo by Wolfe Eliot)

Tate:ここ10年ぐらいのDTは、ずっと固定されたセットリストだったので、あなたが復帰すると、こんなに変化が生まれるんだ!と改めて驚きました。

ポートノイ:まあ、俺がDTでずっとやってきたことだからね。俺はいつもセットリストを書いてきたけど、それは、単に曲を並べる以上のことなんだ。盛り上がりや落ち着き、繋がり、そして君が言ったように開演前や休憩中の音楽。そのすべてがプレゼンテーションの一部であり、俺はずっとそれらを担当してきた。だからバンドに戻るとき、またそういった部分を任せてもらえることを願っていたんだ。彼らが再び俺にやってほしいと思ってくれたのが本当に嬉しかったよ。また戻れて、本当に幸せに思っている。

5⃣ Shadow Manと『Parasomnia』の謎

🔹Shadow Manの巨大人形 誕生秘話

Tate:演出の話で言うと、Shadow Man がステージに現れたとき、まるで Iron Maiden のショウでエディに出会ったような気分でしたよ。あの巨大な人形をステージに登場させるというのは、誰のアイディアだったんですか?

ポートノイ:"The Shadow Man Incident" という曲が、夢に繰り返し現れる影の存在、帽子を被った男についての曲なんだ。スタジオで曲を書いている最中に、おそらくジョン・ペトルーシだったと思うけど、「エディみたいに巨大な人形があったら最高じゃないか?」と言ったんだ。ちょうどその頃、友人でもある Mastodon のライブを観に行ったんだよ。彼らのライブにも巨大なサイボーグ・サスクワッチが出てくる んだけど(※筆者注:おそらく来日公演では実現していないが、Mastodon の海外公演では、巨大なクリーチャーがステージに登場する演出が定番となっている)、その映像をバンドのメンバーに送ったら「これだ! Shadow Man にも同じものが必要だ!」ってなった。まあ、そんなわけで、想像したものが、その半年後に実際にステージに現れるというのは素晴らしいことだよね。そういうアイディアを実現できるのは最高の気分だ。

Tate:なるほど。私は「え、いつの間に現れたの?!」という感じで、なかなか気づけなかったので、彼が現れる瞬間を見逃さないようにしていました(笑)

ポートノイ:彼がいつ現れるかについては、実は非常に戦略的にやっているんだ。"Bend the Clock" の前のタイミングとか、皆がジョーダンの演奏に集中していたり、映像に目が向いたりしているときに、気づかれないよう、こっそり運び出すんだよ。

筆者は岡山公演で、ようやく Shadow Man がステージに現れる瞬間を目撃することができた
(Photo by Wolfe Eliot)

🔹『Parasomnia』エンディングの意味

Tate:ここで、ファンから寄せられた興味深い考察をお伝えしたいです。
"The Shadow Man Incident" の19分28秒に時計が鳴り始め、ライブ映像では目のクローズアップと「Wake Up」という言葉が映し出されます。これは『Metropolis Pt. 2: Scenes From A Memory(SFAM)』との繋がりを感じる、と。では、Shadow Man は(『SFAM』の登場人物である)エドワードなのか、『Parasomnia』のエンディングは何を意図しているのか?というのが彼の質問です。

ポートノイ:とても興味深い質問だね!でも、繋がりはないんだよ。
"Night Terror" をリリースする前、SNSでメンバーが目を開くプロモーション映像を出したんだけど、誰もが『SFAM』の続編、『Metropolis Part 3』になるだろうと思っていたようだ。でも、そんなつもりは一切なかった。あれは純粋に偶然なんだ。"Open your eyes, Nicholas" と "Wake up" の繋がりとかね。『SFAM』は催眠と覚醒に関わるストーリーで、『Parasomnia』は、まったく別の話なんだよ。

『Parasomnia』のコンセプトとしては、リスナーが眠りに落ちるところから始まって、その後の70分間は、一晩の睡眠中に起きるさまざまな夢の話で、最後は目が覚めて、目覚まし時計が鳴るところで終わる。その点では『SFAM』と似たような構造ではあるけど、直接の繋がりはないよ。

じゃあ… 俺からもトリビア・クエスチョンを1つ。あの "Wake up" という声は誰のものか、わかるかい?今週SNSに投稿したよ。

Tate:そうだったんですね!私もかなりの映画好きなのに、まったく思いつかないです…答えを知るのを楽しみにしています。

ポートノイ:答えは、非常に有名な映画監督だ。ある有名な映画からサンプリングしたものなんだ。その映画の中で本人が "Wake up" と言っているシーンを使わせてもらった。まだ訴えられてないけどね(笑)Instagramを見てみて。

6⃣ ドラマーとしての現在

(次のインタビューの時間が迫ってきたため、ここからは駆け足で)

Tate:最後の質問です。DTを脱退した2010年と今の2026年とで、3時間のショウを体力的にどう乗り切るか、何か変化はありましたか?ドラマーのファンからは「ドラムスティックの重さを変えたことがあるか知りたい」という質問も来ています。

ポートノイ:まずスティックの重さは、10年ぐらい前に「Promark 420X」を作ったときに変えたよ。Metal Allegiance や Twisted Sister みたいなメタル系のプロジェクトをやるにあたって、もう少し重いスティックが欲しくて開発したんだ。従来の420より少し大きいのが420Xで、今は両方の選択肢がある。

体力面については… 歳をとるにつれて、3時間のショウは本当にキツくなっているよ。来年で60歳になるし、特にドラマーにとっては身体的に非常に過酷だ。今もひどい腰痛と坐骨神経痛を抱えていて、歳をとると避けられないことだと思っている。不思議なのは、ステージの上にいる3時間だけは最高の気分なんだ。オーディエンスのアドレナリンが、いつも問題なくショウを乗り切らせてくれるんだよね。ステージを降りた、残りの21時間は、ヨタヨタと足を引きずったりして痛みに耐えているんだけどね(笑)

どうか身体に気を付けてほしい…
(Photo by Wolfe Eliot)

7⃣ 日本のファンへのメッセージ

Tate: 最後に、日本のファンにメッセージをお願いします。

ポートノイ:信じられないほどの歓迎を本当にありがとう。『Parasomnia』を大成功させてくれたし、こないだの来日公演を素晴らしいものにしてくれた。日本に行くのを本当に心待ちにしていたんだ。このツアーは約1年半も続いていて、ようやく日本に行けた。待った甲斐があったよ。このラインナップが再び一緒になるのを、皆がどれほど興奮して観てくれているかわかったから。これから少し休みを取って、また数年後に新しいアルバムとツアーで戻れるのを楽しみにしている。2年後ぐらいにまた会おう!

「また会おう!」と手を振ってくれたポートノイ

インタビュー本編は、ここまで。
本インタビューは動画でも公開予定のため、編集が終わるまで、もうしばらくお待ちいただきたい。

ここから先は、インタビュアーとしてではなく、一人の長年のファン/リスナーとしての印象・感想などを書きたいと思う。
ポートノイがZoomを退出する前に、ほんの少しだけ私の想い出話などもすることができた。アウトテイク的な内容になるので、本noteとしては、初めて有料化してみようと思う。
本noteやYouTube は、いっさい広告やスポンサー等に依存せず、独立した立場で運営を続けている。活動の継続を応援してくださる方は(制作支援費として)ぜひ続きを読んでいただけたら嬉しい。
(上記でポートノイが私に出題した「トリビア・クエスチョン」の答えも、↓に書きます。)

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