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私がGEMINIを選んだ理由2:知識でなく知恵が優れる


GEMINI LOVEシリーズ(?)の続編

知識ではなく知恵を比べるために、各種AIに聞いてみたベンチマーク問題はこれ


「イカの変色機構」と原子炉物理のドップラー効果が似ているなぁ、と思うのですがなぜだかわかりますか?


なにやら、訳のわからん質問かと思いますが、ややこしい正解は後回しにして、とりあえずこの質問を2段階の関門に分けて考えます。
知識の段階:イカの変色機構ってどんなもの? 原子炉物理のドップラー効果って何?
知恵の段階:・・・で、共通点って何だろう?
イマドキのAIは1段目は楽勝でしょう。でも2段目は、それを超えた知恵の段階。

ベンチマークに参加してもらったAIとその成績は・・・

  • GEMINI:◎ 「幾何学空間、エネルギー空間で断面積を広げる」正解

  • ChatGPT:× フィードバックメカニズムに力点。そこやない!

  • Claude:× これもフィードバックのみに着目

  • Grok:× 正直に「つながりは見つかりませんでした」と降参

  • gpai:◎ イカの変色と原子炉のドップラー効果は、共に「構成要素の分布を広げることで、相互作用の有効断面積(あるいは自己遮蔽効果)を変化させ、系全体の出力を制御する」 ハイ、その通りでございます。

GEMINIは有料版だったこともあって正解。

gpaiは、無料版でも流石に科学技術分野に特化したAIで、めっちゃ丁寧な正解が返ってきました。極めつけのキーワード:自己遮蔽もしっかり。でもAI側が会話につけたタイトルは、なにやらオソロシげ。

老舗のChatGPTは意外に苦戦していますが、これは以前から感じていたことです。ChatGPTは知識の詳細さに傾斜しすぎていて、その反面、大雑把に物事の共通点、筋道をつかむのは、チト、苦手なのかも。
暇人科学者の特性として「Aと、Bは、似ているなぁ」という共通原理を指向する傾向が強く、だから物理方面を職業にしてきましたが、そういうのをGEMINIに聞いてみたところ、非常に上手に両者の共通点をまとめてくれます(少々悔しいくらい)。一方、ChatGPTは豊富な知識にものを言わせて、「でも、こんなに違います!」。最近の下記の議論でも・・・

GEMINIは学卒の域に達しているように思いますが、ChatGPTって優秀な高校生・・・。こんな暇人科学者でも組織運営に携わって幹部人材の抜擢などに参画したことがありますが、まぁ、ChatGPT型の人材は、「やめとこか」というところかも。


後日追記(2026.4.27)
有料記事ですが、ChatGPTの弱点について同様な感想が

>オープンAIは(中略)東大世界史では「知識はあっても、論理関係が弱い」(坂本新一講師)と減点が相次ぎ、得点率は25%だった。
分進秒歩なので刻々と性能は変化すると思いますが、ほぼ同時期に私と同じような感想を持った評価があったようです。

GEMINIに正解できた理由を自慢げに語っていただきました

詳細は、GEMINI回答のリンク先の更問回答で。要点は;

Geminiが、なぜ他のAIと異なり、分野を横断した「抽象的な構造の共通性(アナロジー)」を見抜くことができたのか。その理由は、AIの設計思想が「知識の検索(System 1)」から「論理の構築(System 2)」へと進化している点にあります。
これまでのAIは「百科事典」でしたが、現在の最先端モデルは「物理学者や哲学者の思考プロセス」を模倣し始めています。
「知識は、それが互いに関係づけられない限り、力ではない」
という言葉がありますが、Geminiが今回適切に回答できたのは、まさに「イカ」と「ウラン」という本来出会うはずのない情報を、物理学という共通の土俵(抽象的構造)で戦わせる能力、すなわち「関係性の発見」が向上しているからだと言えます。

設問のめちゃめちゃ簡略化した回答

イカの話と原子炉物理の話を、さらに「扇子」で説明します(???)。
ちょっと薄めの紙が貼ってあって遮光力が十分でない扇子。真夏の強烈な日差しをしのぐのに、さて、扇子を広げて使うか閉じて使うか?
答えは明白で、広げてしまう遮光力が頼りないので、日差しを完全には防ぐ事はできません。それでも完全を目指して狭い面積しか遮光できないよりいいですよね。広げて使った方がより多くの光を遮ることができます。

イカの体には扇子のような開閉ならぬ収縮展開可能な色素胞があって、収縮時は小さな真っ黒の点、でもカバーする空間が狭いので全体は白く見えます。一方、この色素胞を引き延ばすと・・・もうわかると思います。

原子炉の中にはウラン燃料が装荷されていて、稼働中は中性子が飛び交って、次々とウランの核分裂が生じ、熱が出ます。でもウラン燃料の中にも、無駄に中性子を吸収して核分裂に寄与しない色素胞みたいなやつがいます。燃えないウラン、ウラン238。但し、こいつの中性子吸収特性は非常にクセがあり、特定の中性子エネルギーで非常に高い、ちょっとでもエネルギーがずれると全然吸収しない。まぁ、扇子でいうと閉じた状態。この扇子を広げる方法は・・・原子の熱振動によって、原子と中性子の速度(∝エネルギー)に揺らぎができること(世間で普通に言うドップラー効果はこれです。救急車が遠ざかっていくときに音程が下がる、というやつ)。これによって少々外れたエネルギー(速度)の中性子もそこそこ吸収できるようになって、全体としては中性子吸収の能力が上がります。原子炉の出力が上がって核燃料の温度が上がると、この効果のおかげでウラン238は「扇子を広げた状態、色素胞が拡張した状態」と同じで中性子をたくさん吸収するようになり、原子炉の出力は下がって安全な方向に推移するという、安全方向に働くフィードバックメカニズムとして非常に重要です。
ChatGPTなどのAIは、ここに着目してイカの変色も刺激に対するフィードバックと無理やりこじつけて説明していました。

AIの回答で、それでも不満だった点(ささやかなこだわり)

「積分値は変わらないのに効果が変わる」という点をもっと強調してほしかったです。今回の話で、扇子の紙の量も、イカの色素の量も変らない。ウランの中性子吸収確率も、ピークの値は(扇子の紙の厚さと同じで)、広げると薄く・・・ではなくて低くなり、積分値では変わりません。ドップラー効果をご理解いただく上でこの辺を誤解して、積分値も変ると思っている人が相当におられるので、同じ量のイカの色素でも、広げると薄くなるけど光を吸収する効率は上がるよね、っと専門家の育成研修でお話してきました。ここが一番オモシロイと思えるところだと思うのですが。

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