【決算書分析】赤字なのに「資産」が増え続ける会社が、なぜ危険なのか?クリエイターが知るべき会計のカラクリ
お金が無い企業がお金を出してくれる訳がありません。 だからこそ取引先の決算書を見るのはとても大事です。
「でも見方がわからない!」 そんなクリエイターの方、更には就活生の方にわかりやすく解説します。
自営業をやる場合は確定申告の時に出さなきゃいけないものなので、知っておいて損は全くありません。
1. 赤字、黒字
これは簡単ですね。 赤字はマイナス、黒字はプラスです。 「赤字は儲かってない企業、黒字は儲かってる企業」と大雑把に見るのが第一歩です。
2. 固定資産、流動資産
これはその会社が持ってる**「資産」**です。 お金になりうる価値のあるもの、と考えてもらっていいでしょう。 現金そのものの場合や、土地、機材、はたまたキャラクターIPなど、形の無い物も存在します。
【ここでクリエイターが知っておくべき注意点】 クリエイターとは切っても切れない「著作権、著作物」は、ここの無形固定資産という枠に入りやすいです。 不動産などと同じく、これから利益を産み出すものは「資産」として計上し、将来にわたって収益を出してもらおう、というお話です。
現在だとVtuber関連がわかりやすいと思います。 お金を使ってVの身体(モデル)を作ってもらった場合、それを「費用」ではなく「無形固定資産」に計上する。そしてその身体をつかって収益を産む……と考えてもらえるとわかりやすいと思います。
3. 固定負債、流動負債
負債、と聞くと一瞬嫌な感じがしますが、その会社がどれだけお金を使ったか、どれだけ融資を受けているかという指標になります。 融資は大きいほどその会社の信用にも繋がったりしますので、必ずしも悪い物とは限りません。むしろ固定負債が多いのに黒字がある会社は、お金(借金)を上手くテコにして収益化出来ている証拠です。
ただし、「赤字続きなのに負債だけが増えている」場合は要注意です。 これは成長投資ではなく、単に食いつなぐための借金を重ねているだけの可能性があるからです。
ここからが本題:その「資産」は本物か?
基礎はわかりましたね。では上記を踏まえた上で注意点です。
「当期純損失(赤字)を出しているが、資産総額は増えているから成長している」
これは健全でしょうか、健全ではないでしょうか。 ここまで読んだ方は既に疑問に思うはずです。
「大きな資産があるのに、収益がたっていない」 つまりそれは、過大評価された資産であるということです。
コンテンツ産業において売上の伴わない「資産の増加」は、成長の証ではなく、「損失の先送り」である可能性が極めて高いのです。 このからくりを詳しく説明します。
① 魔法の杖?「費用」を「資産」に変える会計処理
費用処理(健全なパターン) 原稿料や制作費は、支払った期の「売上原価(費用)」として計上します。売れなければ即座に赤字として表面化するため、早期に撤退や対策が可能です。
資産計上(危ないパターン) 制作費を「費用」ではなく、将来収益を生むための**「無形固定資産(ソフトウエア仮勘定など)」**として計上するケースがあります。
【何が起きるか?】
財布から現金は出ていっているのに、
PL(損益計算書)上では赤字にならず、
BS(貸借対照表)に「資産」として積み上がります。
これにより、見かけ上の赤字幅を小さく見せることができますが、実態は「本来計上すべき赤字を、貸借対照表の中に隠している」状態に他なりません。
例えるなら、「5億円の豪邸(資産)を持っているのに、家計(収支)は毎年5000万円のマイナス」という家庭のようなものです。 外見は立派でも、改善のために更にお金がかかり、いずれ破綻します。 ここを見誤ると「資産はたくさんあるからこの会社は大丈夫!」とはならなくなるのです。
② 「流動資産」の膨張は、キャッシュフロー悪化のサイン
「固定資産ではなく、流動資産(すぐに現金化できる資産)なら安全では?」 そう思うかもしれませんが、内訳を見なければ騙されます。
コンテンツ企業における流動資産の増加が「現預金(キャッシュ)」によるものなら健全ですが、多くの場合、増えているのは「棚卸資産(在庫・仕掛品)」です。
棚卸資産(在庫)とは: まだ公開されていない原稿、制作途中の作品データなど。
リスクの本質: 製造業であれば在庫は売れば金になりますが、エンタメ作品の「売れない在庫」は、市場価値がほぼゼロです。
こんなことを言うと心が痛みますが、何度も打ち切りをくらった作家さんは嫌と言うほどわかってるはずです。 売上が伸びていないのに流動資産(在庫)ばかりが膨らんでいる場合、それは「制作費という貴重な現金を、換金性のないデータに変えて倉庫に積み上げている」ことを意味します。 これはキャッシュフローを圧迫し、黒字倒産の要因にもなり得ます。
③ いつか爆発する時限爆弾「減損損失」
資産計上された制作費や在庫は、永遠にそのままではありません。 監査法人などが「この作品群、計画通りに収益を生んでいない」と判断した瞬間、「減損(げんそん)」という処理が強制されます。
これは、積み上げた資産の価値を一気に切り下げ、損失として計上する処理です。 「資産計上」で数年かけて隠し続けてきた赤字が、ある決算期に「特別損失」として一気に噴出します。この時、企業の財務基盤は壊滅的なダメージを受けます。
結論:クリエイターは「資産」ではなく「キャッシュ」を見よ
「うちはIP資産をたくさん保有している」という言葉の裏には、「売れない在庫を大量に抱えている」という実態が隠されているかもしれません。
特に赤字企業においては、以下の2点を確認することが自己防衛になります。
固定資産・流動資産が年々膨らんでいないか?
その資産の増加に見合うだけの「売上の急成長」があるか?
もし、売上は横ばい(または微増)なのに、資産の項目だけが肥大化しているなら、その会社は「含み損」という名の爆弾を抱えている可能性があります。 数字は嘘をつきませんが、その見せ方はいくらでも操作できるのです。
しっかりを見る目を養いましょう。 今なら決算書をAIに投げるだけでもある程度読んでくれます。 数年分読み込ませれば大体実態もわかるはずです。
両方ともnoteマネーにピックアップされた記事です。
信憑性はあると思いますのでご参考までに✨
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