兵庫県職員の採用辞退率58.9%|原因と5つの注視点
こんにちは、カネさんです。
2026年4月、兵庫県の大卒程度・総合事務職では、採用試験の最終合格者209人のうち123人が入庁を辞退しました。
実際に入庁したのは86人。辞退率は58.9%です。
前年の46.0%から12.9ポイント上昇し、2026年4月9日の知事記者会見で示された大阪府の30.3%、京都府の45.5%も上回りました。
一方、次年度向けの早期SPI枠では、総合事務職の申込者が前年の991人から1099人へ増えています。
応募者が増えたのなら、採用問題は改善したのでしょうか。
結論から言えば、現時点で確認できるのは「試験に関心を持った人が増えた」という入口の変化です。合格者が最終的に兵庫県庁を選ぶか、入庁後も働き続けるかは、まだ分かりません。
この記事では、58.9%と1099人という二つの数字を混同せず、兵庫県庁の人材確保を判断するために今後何を見るべきかを整理します。
最終合格209人、辞退123人
2026年4月入庁の大卒程度・総合事務職について、採用区分別の数字は次のとおりです。
早期SPI枠:最終合格123人、辞退81人
通常枠:最終合格86人、辞退42人
合計:最終合格209人、辞退123人
辞退率は、辞退者123人を最終合格者209人で割った58.9%です。
209人から123人を引くと、実際に入庁したのは86人となります。
ここで注意したいのは、「123人分の欠員が出た」という意味ではないことです。
自治体は一定の辞退を見込み、採用予定数より多くの最終合格者を出すことがあります。確認すべきなのは、合格者を多く出したこと自体ではありません。
必要な人数を最終的に確保できたのか
合格後に辞退する人がなぜ増えたのか
必要な職種や部門へ配置できたのか
入庁した職員が定着しているのか
この一連の結果が重要です。
前年46.0%から12.9ポイント上昇
前年の兵庫県では、総合事務職の最終合格者150人のうち69人が辞退し、辞退率は46.0%でした。
2026年は58.9%なので、前年差は12.9ポイントです。
記者会見で関西テレビの記者が示した近隣府県の数字は、大阪府30.3%、京都府45.5%でした。兵庫県の58.9%は、いずれも上回ります。
ただし、この比較だけで「兵庫県庁の職場環境が最も悪い」と結論づけることはできません。
自治体によって、試験区分、実施時期、SPIの有無、併願のしやすさ、採用予定数に対して何人を合格させるかが違うためです。
数字だけで原因は断定できない。それでも、前年より上昇し、近隣府県より高かったことは、辞退理由を詳しく検証する必要性を示しています。
SPIで受けやすくなった影響
斎藤元彦知事は会見で、SPIを導入したことで民間企業や他自治体と併願しやすくなったことや、辞退を見込んで多めに最終合格者を出していることを挙げました。
兵庫県では、早期SPI枠と通常枠を併願できます。
受験の負担が軽くなれば、就職先をまだ一つに決めていない人も応募しやすくなります。合格者を広く確保できる一方、最終的な辞退率が高くなることはあり得ます。
これは制度上の説明として成り立ちます。
しかし、早期SPI枠だけでなく通常枠でも42人が辞退しています。SPIや併願のしやすさだけで、辞退全体を説明できるかは分かりません。
県が実態を把握するには、辞退者に匿名で理由を尋ね、少なくとも次のように分けて集計する必要があります。
民間企業を選んだ
国や別の自治体を選んだ
勤務地や異動範囲を考慮した
給与や働き方を比較した
仕事内容や配属への不安があった
組織風土や県政への印象が影響した
進学や家庭事情など別の理由があった
理由を調べなければ、試験制度をさらに変えるべきなのか、職場の魅力や働き方を改善すべきなのかを判断できません。
「親にやめておけ」は統計ではない
4月9日の会見では、県内の大学生協への取材として、兵庫県への入庁に不安を訴える学生や、親から「やめておけ」「他のところにしておけ」と説得された例が紹介されました。
就職先を選ぶ際、本人だけでなく家族が組織の評判や報道を確認することはあります。採用現場でこうした声が報告されたことは、県が無視すべき情報ではありません。
一方、この話は全受験者や保護者を対象とした統計調査ではありません。
一部の事例を「多くの親が兵庫県庁を拒否している」と一般化するのも、県政をめぐる問題が辞退増の原因だと断定するのも行き過ぎです。
必要なのは、印象の強い証言だけで結論を出すことではなく、辞退者調査でどの理由が何%だったのかを確認することです。
1099人の応募が示すもの
2026年度の早期SPI枠では、総合事務職の採用予定45人程度に対し、1099人が申し込みました。申込倍率は24.4倍です。
前年の申込者は991人だったため、108人増えています。
警察事務、教育事務、小中学校事務を含めた事務系職種全体では、採用予定70人程度に対して1325人が申し込みました。
これは、兵庫県の仕事に関心を持つ人がいなくなったわけではないことを示しています。応募を集めるという採用活動の入口では、一定の成果が見えます。
しかし、1099人は入庁者数ではありません。受験前の申込者数です。
前年の早期SPI枠では、総合事務職に991人が申し込み、782人が受験し、最終合格者は123人でした。その123人のうち81人が辞退しています。
つまり、申込者が多くても、次の段階で人数は変わります。
試験に申し込む
実際に受験する
最終合格する
採用の意思を示す
実際に入庁する
入庁後も働き続ける
1099人という数字だけを見て、採用問題が解決したと判断するのは早計です。
県が始めた採用制度の見直し
兵庫県は2026年度、職員採用制度を複数見直しました。
防災コースの新設
大卒程度の通常枠に「総合事務職(防災コース)」を新設しました。2027年4月の採用予定は3人程度です。
防災部門を軸にジョブローテーションを行い、将来の災害対応を担う人材を計画的に確保・育成する狙いがあります。
経験者・技術職の受験拡大
経験者向け試験では、SPI3を会場に集まるペーパーテスト方式からテストセンター方式へ変更しました。
総合土木職と建築職では大学3年生の受験を可能にし、採用候補者名簿の有効期間を延ばして、大学院進学後に採用される道も設けました。
Rejoin Hyogo
転職、育児、介護などを理由に県を退職した元職員が再び働ける「Rejoin Hyogo採用制度」も新設されました。
受験しやすくすること、専門性のある人材を早い段階で確保すること、経験者を呼び戻すことは、いずれも人材確保の選択肢を広げます。
一方で、入口を広げるだけでは、合格後の辞退や入庁後の離職は解決しません。試験制度の改革と、働く組織としての改革を分けて見る必要があります。
応募から定着まで見る五つの指標
兵庫県職員の採用が改善したかを判断するには、年度ごとに次の数字を並べる必要があります。
申込者数:県庁の仕事に関心を持った人
受験者数:申し込みから実際の受験に進んだ人
最終合格者数:県が採用候補として選んだ人
実入庁者数:最終的に兵庫県庁を選んだ人
定着率:入庁後1年、3年、5年で働き続けている人
2026年度の早期SPI枠では、最初の指標である申込者数が増えました。
今後の焦点は、受験、合格、2027年4月の実際の入庁へつながるかです。その後は若手職員の離職率や定着率も確認しなければなりません。
人材確保は、採用担当部局だけの問題ではありません。
防災、福祉、土木、税務、許認可など、県民生活を支える仕事には人が必要です。現時点で辞退率の上昇が県民サービスの低下を引き起こしたと断定する資料はありませんが、人材が継続的に確保できるかは県政運営の土台です。
まとめ
2026年4月入庁の総合事務職では、最終合格209人のうち123人が辞退しました
辞退率は58.9%で、前年より12.9ポイント上昇しました
会見で示された大阪府30.3%、京都府45.5%も上回りました
次年度向け早期SPI枠の総合事務職は、申込者が991人から1099人へ増えました
1099人は申込者数であり、実際の入庁者数ではありません
県は防災コース、試験方式の見直し、Rejoin Hyogoなどを始めました
改善の判断には、辞退理由、実入庁者数、若手職員の定着率が必要です
58.9%は、兵庫県庁に誰も関心を持っていないことを示す数字ではありません。1099人は、採用問題が解決したことを示す数字でもありません。
応募した人が受験し、合格後に県庁を選び、入庁後も働き続けられるか。
入口だけでなく、その先まで数字をつなげて公表することが、採用改革を評価する出発点になります。
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▼このテーマのまとめ
・兵庫県問題まとめ(総合入口)
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