斎藤知事の再選後、説明責任はどこへ消えた――兵庫県の財政見通しを「過去のせい」で終わらせない

今回の動画では、斎藤元彦知事への批判が再び表面化していることを取り上げました。元支持者とされる人物の反応などを手がかりに、再選後の斎藤県政について「説明が足りない」「財政の見通しが見えない」という問題を考えます。

再選された知事が、過去の県政の問題をどこまで検証し、現在の兵庫県をどの方向へ進めるのか。県民が問うべきなのは、その説明責任です。

そして兵庫県の財政を見れば、斎藤知事が「過去の負担」を説明するだけで終われる状況ではありません。

再選は、説明責任を免除するものではない

選挙で再び信任を得たことは、県政を続ける資格を得たということです。しかし、それは過去の説明が不要になったという意味ではありません。

むしろ再選後は、知事自身がこれまでの県政を検証し、何を継続し、何を改め、どの数字をいつまでに改善するのかを示す責任が重くなります。

斎藤知事は、兵庫県の財政悪化について、過去の高い投資水準、阪神・淡路大震災以降の財政負担、金利上昇、県債管理基金など、複数の要因を説明しています。これらの要因を検証すること自体は必要です。

しかし、過去に原因があることと、現在の責任がなくなることは別問題です。

斎藤知事は2021年に就任し、再選後も県政のトップに立っています。過去の判断を検証する権限と責任を持つ側です。

そこで「前の知事の時代からの問題だ」と説明するだけなら、県民が知りたい現在の答えから逃げていることになります。

兵庫県の財政危機は、もう「過去の話」ではない

兵庫県が公表した2026年度予算の説明では、2026年度から2028年度までの3年間で、およそ530億円の収支不足が見込まれています。

県の財政フレームでは、収支不足額は次のように示されています。

  • 2026年度(令和8年度):130億円

  • 2027年度(令和9年度):180億円

  • 2028年度(令和10年度):220億円

3年間の合計は530億円です。しかも、県の資料は2029年度以降についても厳しい見通しを示しています。

実質公債費比率についても、令和7年度決算で起債許可基準の18%を超え、兵庫県が「起債許可団体」に移行する見通しとされています。

これは単なる会計上の数字ではありません。

借金の返済が県の予算を圧迫すれば、県民サービス、投資、災害対策、教育、福祉のどこかに影響を及ぼします。財政運営の自由度が下がり、県が自分で使い道を決められるお金が減っていくということです。

この状況を、斎藤知事が「前の時代からの負担」と説明して終わらせることはできません。現在の県政が、県民の税金をどのように配分し、どの事業を残し、どの事業を見直すのか。その判断は、現在の知事と県議会にあります。

「用先債」の問題を説明した後、何を変えたのか

兵庫県の「用先債」490億円については、土地売却収入との関係や借り換えの経緯が問題になっています。この点は、別の記事で整理しました。

関連する論点は、兵庫県「用先債」490億円とは|斎藤県政5年の説明責任で扱っています。

ここで重要なのは、用先債の経緯を説明したかどうかだけではありません。

兵庫県の2026年7月15日の知事会見では、用先債の修正によって実質公債費比率が0.8ポイント悪化し、試算によっては単年度で25%、3か年平均で25.2%になるとの説明がありました。県は、実質公債費比率25%の回避を目標に、歳入・歳出改革や投資の見直しを進める考えを示しています。

では、具体的に何を削るのか。何を延期するのか。金利がさらに上がった場合に、どの事業を止めるのか。県民に示されたのは、まだ十分な工程表ではありません。

「説明した」ことと、「説明責任を果たした」ことは違います。

県民が判断できるだけの資料、年度ごとの目標、事業ごとの削減額、金利上昇を織り込んだ複数の試算がなければ、説明は単なる経過報告で終わります。

「止血」という言葉だけでは、県政は検証できない

斎藤知事は、過去の負債を早期に処理することを「止血」と説明しています。将来の負担を膨らませないために、一括処理が必要だったという知事の判断も、県の公式会見で示されています。

しかし、政策の評価は、言葉ではなく結果と比較で行うべきです。

一括処理が本当に最善だったのなら、段階的に処理した場合と比べて、県民負担がどれだけ減ったのかを示す必要があります。処理を急いだことで、当面の実質公債費比率や積立不足がどれだけ悪化したのかも、同時に説明しなければなりません。

「将来のために必要だった」という説明は、どの政策にも使えます。だからこそ、必要性を主張する側には、代替案との比較と、結果の検証が求められます。

さらに、金利上昇や国の制度、震災関連の負担が大きな要因だとしても、行政のトップにはリスクを見積もる責任があります。外部要因を挙げることは、対策の不十分さを免責する言葉ではありません。

斎藤知事に必要なのは、反論ではなく工程表だ

再選後の斎藤県政が本当に財政再建に取り組むというなら、少なくとも次の点を明確にすべきです。

  • 2026〜2028年度の530億円の収支不足を、年度ごとにどう埋めるのか

  • 18%を超える実質公債費比率を、いつ、どの手段で引き下げるのか

  • 25%を超える可能性がある場合、どの事業を止め、どのサービスを守るのか

  • 金利が現在の想定を上回った場合の追加対策は何か

  • 斎藤県政の5年間で実施した改革によって、歳出や将来負担がどれだけ改善したのか

  • 過去の県政の判断と、斎藤知事自身の判断を、どこで区切って検証するのか

これらを示さずに、過去の知事や過去の投資、金利上昇を説明し続けるなら、県民には「責任の所在を過去に移している」と受け取られても仕方ありません。

斎藤知事の再選後に問われているのは、人気が続くかどうかではありません。

厳しい数字を前にして、県民に不都合な情報も含めて公開できるか。自分の県政の判断を、後から検証できる形で残せるか。兵庫県の財政を立て直すために、具体的な負担と改革を県民に示せるかです。

再選は、白紙委任ではありません。

「前の時代からの問題」で終わらせず、斎藤知事自身が、現在の兵庫県政の責任者として、数字と工程表で説明するべきです。

参考資料


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・兵庫県立大学の授業料等無償化、誰でも無料ではない――令和8年度から全学年対象になる制度の条件

https://note.com/poliplus/n/n850ed2d4f155

・神戸の夜景(かまやみひ)アカウント調査

https://note.com/poliplus/n/n8e6beb33b6ba

▼このテーマのまとめ

・兵庫県問題まとめ(総合入口)

https://note.com/poliplus/n/ndae47bad720e

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