兵庫県立大学の授業料等無償化、誰でも無料ではない――令和8年度から全学年対象になる制度の条件
兵庫県立大学では、要件を満たす県内在住者について、入学料28万2,000円と授業料年53万5,800円が全額免除されます。令和8年度(2026年度)からは、段階的に広がってきた支援が全学年対象になりました。
ただし、「兵庫県に住んでいれば誰でも無料」という制度ではありません。学生本人と生計維持者の住所、入学までの期間、学業成績、申請手続きなど、確認すべき条件があります。
何が無償になるのか
県の制度で免除されるのは、次の費用です。
入学料:28万2,000円
授業料:年53万5,800円
入学料は、申請年度に入学した新入生が対象です。入学後に申請し、対象者として認定されると、入学時に納めた入学料が還付されます。
一方、入学時の諸費用、教科書代、実習費、住居費、通学費、生活費まで免除されるわけではありません。学費の大きな部分は軽くなっても、大学生活に必要な支出がゼロになる制度ではありません。
令和8年度から全学年が対象になった
この制度は、最初から全学年を対象にしていたわけではありません。兵庫県の資料では、学部は令和6年度に4年生、令和7年度に2~4年生、令和8年度から全学年へと段階的に対象を広げています。大学院も、博士前期・博士後期の学年を順に広げ、令和8年度には全学年が対象になりました。
県は、兵庫県立大学と芸術文化観光専門職大学について、県内在住者の入学料と授業料を、学部・大学院とも所得にかかわらず無償化する方針を示しています。
ここで大切なのは、「所得にかかわらず」という言葉だけを切り出さないことです。所得以外の要件は残っています。
最大の条件は、本人と生計維持者の住所
学生本人と生計維持者(原則として父母)の両方が、申請年度の4月1日を基準に、3年以上前から引き続き兵庫県内に住所を置いていることが必要です。秋入学の場合は、入学年度の基準日が10月1日になります。
住民票だけでなく、実際に住んでいるかどうかも確認されます。父母の一方が単身赴任などで県外に住んでいる場合には、一定の条件を満たし、勤務先の証明書などを提出できれば対象となる場合があります。
つまり、県内の大学へ進学する人であっても、本人と生計維持者の居住歴を別々に確認しなければなりません。
入学時期や学業にも条件がある
対象となるのは、兵庫県立大学の学部・大学院の正規生です。外国人留学生を対象とした入学者選抜で入学した人は、県の制度では対象外とされています。また、標準修業年限を超えて在学している場合や、標準修業年限で卒業・修了できないことが確定している場合も対象外です。
学部生は、高校等を初めて卒業した年度の翌年度末から、大学へ入学した日までが2年を超えていないことが基本条件です。博士前期課程・博士後期課程にも、進学時の年齢や、前の課程から引き続いて進学しているかという条件があります。
さらに、令和8年度の申請からは学業要件が審査されます。学部生は、卒業できないことが確定している場合、標準単位数の6割以下しか修得していない場合、学修意欲が著しく低いと判断された場合などが対象外になります。警告に2年連続で該当した場合も、支援の廃止につながります。
新入生は前年度の成績がないため、学業要件の判定対象外です。ただし、居住要件や入学までの期間など、ほかの条件までなくなるわけではありません。
申請しないと、無償化は始まらない
県無償化制度は、条件を満たしていても自動的に適用されません。各キャンパスが定める期間内に申請し、大学の審査を受ける必要があります。期限を過ぎた申請は受け付けられないと、大学は案内しています。
主な提出書類は、次のとおりです。
県立大学授業料等無償化制度の申請書
申請チェックリストと、該当者の追加書類
学生本人・生計維持者・扶養親族等が記載された住民票の写し
住所の異動がある場合は、前住所地の住民票の除票
国制度の対象外となる学部生は、JASSOの進学資金シミュレーターの結果
住民票は、発行から3か月以内で、マイナンバーの記載がないものが必要です。必要書類は個別の事情で変わるため、申請要領とQ&Aを確認し、分からない場合は所属キャンパスの窓口へ相談します。
国の制度や大学独自制度との関係
県の無償化制度は、国の「高等教育の修学支援新制度」と別の制度です。国制度の対象になる場合は、国制度にも申し込む必要があります。国制度では、授業料・入学料の減免に加えて、給付型奨学金が支給される場合があります。
一方、国制度の区分Ⅰ、または多子世帯の全額免除区分で支援を受けている人は、県無償化制度の申請が不要と大学は案内しています。制度の組み合わせは世帯状況によって異なるため、「県の制度だけを見ればよい」とは限りません。
予算額だけでは、制度の届き方は分からない
兵庫県の令和8年度当初予算要求概要では、県立大学の授業料等無償化に19億5,739万4,000円を計上しています。資料には、県内在住者の入学料・授業料の無償化、県外生の入学料引き下げ、県外生等への県独自支援が示されています。
しかし、この金額を学生数で割れば、一人あたりの支援額が分かるわけではありません。実際に誰が対象になり、いつ申請し、どの費用が免除され、どの費用が残るのか。制度を読むときは、予算総額から個々の学生の条件へ戻る必要があります。
兵庫県立大学の授業料等無償化は、所得を理由に対象外としない点で大きな制度です。ただし、対象者は要件を満たし、申請して認定された正規生です。進学を考える人は、「無料」という言葉だけで判断せず、本人と生計維持者の住所、入学時期、学業要件、申請期間、残る費用を順番に確認してください。
出典
兵庫県/県立大学の無償化(2026年7月2日更新)
※本稿は、2026年8月10日に確認した公式資料をもとにしています。申請期間や個別の適用は、年度・所属キャンパスの最新案内で再確認します。
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