第4回|24歳の春、社会人デビューと同時に同棲開始。手に入れた「幸せな時期」の裏で芽生えた崩壊の予兆
大学卒業後、就職浪人を経て内定を得た僕は、4年半片思いしていた彼女とついに結ばれました。
当時、互いに独り暮らしだった僕ら。
主に彼女の家で過ごす半同棲のような生活は、
とても短かったけれど。
今思えば、「人生で一番幸せな時期」でした。
そして、その幸福のただ中で、僕は静かな違和感を抱き始めていました。
「彼女とのセックスに、俺はあまり興奮していない……」
4年半越しの片思い成就という逆転物語の裏側で、すでに崩壊の予兆は、僕の心の中に芽生えていたのです。
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24歳の春。就職と、彼女との同棲生活開始
24歳の春。僕の生活は一変しました。
まず、社会人1年生になったこと。
大学受験浪人&就職浪人で、2年遅れ。
ようやく、、という感じです。
そして、彼女と2人で暮らすアパートを借りたこと。
お互いの家を行き来する生活を改めました。
新生活が始まる前の3月のうちに、新居を決めて、
引っ越しも済ませました。
彼女と2人で見つけたアパートは、37平米の1K。
まだ、初任給ももらってないのに、
お金は、どうやって用立てたんだったか…
家賃は8万5000円でした。
初期費用は、敷金、礼金、前家賃などで
家賃の6か月分くらいはかかったはず。
単純計算で51万円。
僕自身がまだ稼いでいない中で、
ずいぶん無茶をしたものです。
初期費用51万円を親に無心して感謝もしない。悪意のない寄生癖
お金をどうやって用立てたか思い出せない…
ということは、
大方、僕が親に甘えて出してもらったのでしょう。
これも、僕みたいな「自己愛性パーソナリティ障害」
的な人間の特徴です。
(診断を受けているわけではないので「的」と言っておきます)
甘えられる相手にはとことん寄生して、
お金を出してもらっても、便宜を図ってもらっても、
当然のようにふるまう。
一応、感謝はしているつもりだけど、ろくにお礼もしない。
なんなら、恩を受けたことさえ、ロクに思い出さない。
自分に愛情を寄せてくれる相手から、
無意識のうちに、搾取するのです。
われながら恐ろしいのは、
「無意識」にやってしまうところ。
例えば詐欺師は、
悪意を持って相手からお金をせしめます。
僕のような「自己愛性パーソナリティ障害」的人間は、
悪意がないのです。
相手の好意を、当然のように受け取る。
「かたじけない」「ありがたい」
「いつか、この恩に報いよう」
「恩を直接返せなくても、一生懸命頑張って報いよう」
…みたいなことを、あまり考えない。
「坊ちゃん」には照れがある、僕には想像力がない―感謝しない理由の違い
夏目漱石の「坊ちゃん」の主人公にちょっと近いですが、
これともちょっと違います。
「坊ちゃん」の主人公は、愛媛の中学校教師に赴任するとき、
ばあやの清(きよ)から3円の心付けをもらうのですが、
平然としてお礼も言いません。
「それが、自分を愛している相手を尊重するということだ」
みたいな理屈をこねています。
あえて、お礼を言わない。
あなたの愛は充分に分かっている。
…という、一種の「照れ」がある。
これに対して、
僕がお礼も言わないのは、「照れ」のせいではありません。
想像力がないのです。
相手の気持ちを想像して、
心から感謝する、というプロセスが、
そもそも欠けています。
相手が親やばあやなら、まだ許されるのかもしれません。
ところが僕は、
この先、同じことを妻に対してもやってしまうのです。
それも、長年にわたって。
僕が妻から搾取したのは、お金じゃなくて愛情です。
このことは、おいおい、書いていきます。
プロポーズも、婚約指輪もなし。急激な環境変化で、相手を思いやる余裕を失っていた僕
彼女とは、この時すでに、結婚するつもりでいました。
ちゃんと、プロポーズはしてなかったけれど。
ちゃんとプロポーズもせず、
婚約指輪の一つも用意しなかったことは、
ずいぶん後になって彼女に
「なんでちゃんとしてくれなかったの?」と言われました。
なんでだろう、と考えてみると。
「どうすれば、彼女が喜んでくれるだろう」
という思考が、このころから、どんどんできなくなっていました。
仕事の面でも私生活の面でも、
あまりに急に環境を変えすぎて、
彼女のために心を砕くことが、できなくなっていたのだと思います。
狂気じみた競争意識。バイト先での「序列逆転」という屈辱が僕を突き動かした
原因の一つが、「早く仕事になじまなきゃ」と気負い過ぎていたこと。
前回の記事にちょっと書きましたが、
新生活を始める半年前のこと。
会社から内定を得たとき、会社には
「もう大学も卒業しちゃって暇なので、10月から働きたい」
と伝えたのですが、叶いませんでした。
僕はこの時、
「1日でも早く入社して同期に差をつけたい。同期に勝ちたい」
と強烈に思っていました。
なんでこんな風に思っていたかというと。
大学1年の冬からずっと続けていたバイト先で、
後輩に序列を逆転されて、惨めな思いをしていたからです。
僕が激しい「競争意識」に燃えていた背景にも、
自分の障害、特性がかかわっている…
次回は、そんな話をしたいと思います。
競争意識にかられた挙句、
「彼女とのセックスにあまり興奮していない自分」が、
どうなっていったか――という話ともつながります。
(今回は、そこまでたどり着きませんでした。ごめんなさい)
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