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第5回|バイト先の「序列格下げ」で火が付いた過剰な競争意識。社会人1年目は過剰適応でヘトヘトに

24歳の春。大学受験浪人と就職浪人を経て、僕は2年遅れでようやく社会人としてのスタートラインに立ちました。

それと同時に始まった、彼女との37平米の1Kアパートでの同棲生活。 「人生で一番幸せな時期」であるはずのその日々の中で、僕の心は、瑞々しい喜びよりも、「気負い」と「プレッシャー」に支配されていました。

「同期には絶対負けたくない。職場で評価されて、同期に差をつけてやる」

プロポーズも指輪も後回しにするほど、僕の余裕を奪っていたのは、愛する人への思いやりではなく、過去の屈辱から生じた過度な競争意識でした。

新生活の輝きの裏側で、すでに崩壊の予兆は、僕の歪んだプライドとともに芽生え始めていたのです。

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学業そっちのけでバイト漬け。土日は全稼働、夜勤アリ。「これはおかしい」と気づくまで

僕は大学1年の冬から、ずっと同じ職場で接客のバイトをしていました。

就職浪人の1年間も含めると、通算で4年3か月ほど。
ずいぶん長く続けたものです。

土日が書き入れ時だったので、基本的に週末は全て出勤。
土日に休みたいときは「理由を説明せよ」という職場でした。

しかも、営業時間は平日が午前4時まで。
金曜と土曜は24時間営業。

夜勤を含め猛烈なコミットを求めるバイト先でした。

その分、時給は高め。
時給が良かったことと、
仲間にも恵まれてそれなりに楽しかったので
4年も続けたわけですが。

バイトの拘束の激しさもあり、大学2年になると僕はほとんど学校に行かなくなりました。典型的な、文系のダメ学生です。

当たり前ですが。
本来なら、学業が主で、バイトは従。
バイトなんか、学業の支障にならない範囲で無理なくやればいいものを、
僕は基本的な価値判断もできなかった…

「大学に入ったら何をやりたいか」
「将来、どんな仕事に就きたいか」
「自分はどんな人間になりたいか」

そういうビジョンが一切なかったために、流されるままにバイト漬けの生活を続けてしまったのだと思います。

ゼミで忙しくなる大学3年のころは、
それでも踏ん張って両立しましたが。
それでもだんだん、
「夜勤も含め週5」みたいな働き方に嫌気がさしてきました。

シフトを減らした僕を待っていた、屈辱の「序列格下げ」。後輩の指示を受ける惨めな立場に


「こんなんやってられるか」という思いが募ってきて、
あえてシフトを減らし、
夜勤もできるだけ避けていました。

この判断自体は、間違っていないといまでも思っています。

そんなある日。

バイト先の事務室には、20人ほどのアルバイトの「格付け表」が貼っているのですが、

僕の序列が、後輩よりも下に「格下げ」されていました。

理由は分かります。
僕は土曜も授業があったので、バイトは17時から。
月曜もちゃんと学校に行きたかったので、
日曜の夜勤は拒否。
そうすると、日曜が日勤になるので、インターバル確保のため土曜の夜勤もナシ。

土日の働き方に制約付きの僕のようなスタッフは、職場から見れば
価値が低いわけです。

大事なのは学業なのだから、
ちんけなバイト先の序列云々なんて、どうでもいい話です。

でも、僕はそういう風に割り切れなかった。
どん底に突き落とされたような気分になりました。


…所詮バイトとはいえ。
人事評価を下げられて、
僕に代わって「チーフ」の立場に立った後輩に指示を受ける日々は、
それなりに屈辱でした。

「同期には絶対負けない」。気負いまくっていた社会人デビュー


そんな経験を経て迎えた「社会人デビュー」のとき。

僕はバイト先での「序列格下げ」のような惨めな思いは二度としたくない、と心に誓っていました。

会社に入ったら、同期には、絶対に負けない。
――と。


ただでさえ、僕は大学受験浪人と就職浪人で人より2年遅れ。
同期と言っても、2歳年下の人が大半のはず。

先に入社して、同期たちへのアドバンテージを築いておきたい。
そんな風に気負いまくっていました。

「周囲の評価が気になってしょうがない」のは、自己愛性パーソナリティ障害あるある…だった

市橋秀夫さんの本「自己愛性パーソナリティ障害 正しい理解と治療法」によると、

・周囲の評価が気になってしょうがない
・人間関係を上下関係でしかとらえられない

これは「自己愛性パーソナリティ障害」の特徴の一つなのだそうです。

なぜ、周囲の評価が気になってしょうがないのかというと。

私のような人間は、一皮むくと、コンプレックスの塊だから。

入社してしばらくは、周りによく見られよう、と肩ひじ張って、
背伸びしまくっていました。

朝弱いくせに、早めに会社に行って、
出社してくる先輩たちには大きな声で
「オハヨウゴザイマス!」とあいさつ。

君は、体育会系なの?と聞かれたこともあります。
全然違うのに。

必死で無理をして、
「元気で感じのいい新入社員」を演じていました。

「元気で感じのいい新入社員」を演じてヘトヘト。家に帰ると疲れ果てて、彼女との会話もおっくうに

当然、
内側にストレスをためまくる日々。


家に帰ると疲れ果てて、
彼女と話をするのもおっくうでした。

彼女は彼女で、職場の人間関係に悩んでいて。

これまでの半年は、お気楽なモラトリアム生活でしたから、
そんな彼女の愚痴にも、「うんうん」と耳を傾けていました。

自分に余裕があるときは、不十分ながらも、
相手の話に共感することもできるのですが、

自分がストレスを抱えていたり、疲れていたりすると、
もうダメ。キャパオーバーです。

「コンプレックスの塊である自分を守ることだけで精一杯」
なので、相手の気持ちにまで心を寄せる余裕がなかったのです。


相手は他でもない、結婚を誓った大切な女性だというのに…

家に帰ったら、とにかく、スイッチをOFFにしたい。
自分の殻に閉じこもりたい。

なぜ、会社では周りの評価を死ぬほど気にするのに、彼女からの評価を「まるで気にしない」のか

先ほど、自己愛性パーソナリティ障害の特徴の一つをこう書きました。

・周囲の評価が気になってしょうがない

会社では周りの評価を死ぬほど気にする僕が、なぜ、
妻からの評価を「まるで気にしない」のか。

会社の人に評価されようとさんざん気を遣って。
不倫相手にも、セックスという果実を食うために優しい男を演じて。

それなのに、なぜ、妻にだけはまるで気を遣わないのか。

これは妻から、何度も聞かれたことです。
僕はこれまで、うまく答えられませんでした。

これも、ASD(自閉スペクトラム症)や自己愛性パーソナリティ障害のことを学ぶうちに、少しわかってきました。

次回は、そのことを書きます。

「彼女とのセックスに、俺はあまり興奮していない」と気づきつつあった話…には、今回もたどり着かず。すみません。

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