【小説】めんこい座敷わらし咲く #0 『あらすじ 僕は男に抱かれているとき、頭の隅で咲くを思っている』
この物語のあらすじです
かつてエリート研究員だった僕は双極性障害が原因で会社の人間関係を徹底的に破壊し、精神病院に入院し、休職後、転落した。
会社の中でも数ある工場の中で、最末端の序列の工場で、一作業員に転落する。
問題はそれだけじゃない。僕の体は幼い頃の脳疾患により、女性ホルモンが過剰で、女体化している。胸が膨らみ、きついブラを締め付けて隠している。
僕は女性ホルモンが過多のせいか、性格が半分女で、半分男のLGBTQ(Q)だ。
男も女も愛す。
男を愛す時は僕は女になり、女を愛す時は男になる。
そんな中、通勤電車で、純潔で美しい女子高生の「咲く」を見かける。
咲くが目で僕にあいさつしてくれるが、僕は無視してしまう。
あまりにもまぶしくて、僕にそぐわない存在だと思うからだ。
物語はこんな僕のみじめな現在から過去の回想に遡り、現在にまた戻り、主に男たちと情を通じ合うことと、咲くの清廉で、人をほっこりさせるユニークなエピソードをザッピングして綴ろうと思う。
さて、この恋愛は実るだろうか?
京都西大路工場
そこは会社のゴミ箱で、7割の人間が精神疾患でここに飛ばされてくる最底辺、最果ての場所だ。
大企業では、正社員を精神疾患が理由で解雇できない。だから、この工場に放り込む。
そこでは、元ヤンキーのような知性や教養のない者がリーダーとして選ばれ、彼らの怒号が飛び交い、人のことを人とも思わない非人間的な統制が行われていた。
トヨタが好きなQC活動で作業員をがんじがらめにし、トヨタ生産方式のなぜなぜ分析で人間を追い詰める理不尽な審判が行われていた。
陰湿な中卒のジジイや、古株のパートのババアたちがよく僕をハメて陥れ、苛めた。
僕は病気から立ち直れていなくて、自己肯定感が低く、自分の職業や、自分の体や、性癖で自分のことが後ろめたくて、人間としての存立が足元からぐらついていた。
咲くとたびたび話しかけるチャンスはあったが、どうしても咲くに話しかけられないのだ。
そのうち、たった一言しか話してないのに咲くは卒業して消えてしまった。
咲くのことを好きになれたのはインスタのおかげだ。
インスタがなければ、ただきれいな子としか思わなくて記憶の彼方に忘れ去ってしまったろう。
咲くのリュックのロゴを検索したら、咲くの高校と、部活がバスケというのがわかった。
この咲くの部活のメンバーが発信するインスタが咲くのことをいっぱい教えてくれた。
咲くのハイライトがあり、そこで咲くはブロブみたいに、学生生活や、プライベート、家族のことを語った。
ただ、咲くというのはコートネームであり、本名はわからなかった。
僕は10歳の第2次性徴期から脳下垂体に腫瘍ができて、女性ホルモンのシャワーを浴びて成長したので、性器だけは男性で、からだは華奢で、丸く、曲線的で、肌は白く、うぶ毛すらない。髪の毛もしなやかで、外見の容姿は完全に女体化した。大変に美しいと人からは言われた。小学校の頃からおっぱいも生えて、高校からはさらに胸が膨み、困った。それをきついブラで潰して隠して、学校や会社に通った。
大人になって、女性にあこがれて女性ホルモンを摂取する人がいるけど、からだの骨格とか、顔なんかにどこか男の名残りがプンプンしてるものだ。
僕の場合は、幼い頃から自分の女性ホルモンを浴びて成長したので、そういう人たちとは違い、ホントに女だ。
中学までは、胸が膨らんでもあまり気にしてなかったし、性別違和はなかったので、僕は普通に男として生きていた。
自分で言うのもなんだけど僕は結構、きれいで可愛かった。
中学校1年の時、体育祭で、今写真を見たらヤバいと思う。体操服の半パンから伸びる脚がきれいで、胸が少し膨らんでいた。二の腕がにょきっと伸びて可愛い。
鉢巻をした前髪がおさげになり、はしゃいでいる顔が可愛い。
そのへんの女子中学生よりよほど可愛い女の子だった。
結構周囲に対する露出が多かったらしい。
その写真を撮った直後、悪い上級生に目を付けられ、僕は体育準備室に連れていかれた。
マットに押し倒されて、性的な暴行を受け、望まぬ初体験をした。
最初はPTSDがきつかったけど、その体験から性的指向が歪んだのかもしれない。
考え方が女性ホルモン過剰のせいか、半分女だったので、男性に優しくされれば頬が熱くなり、すぐ好きになる癖があった。
高校の頃の彼や、イタリアで仕事をしている時に付き合った彼などと情を通じた。
イタリアでは同棲して、結婚も考えたし、女性として開放的に生きた。
一方で、女性にも興味があり、30歳を過ぎて工場の女性、西太后と初体験する。
しかし、同時に咲くのことで頭が虚ろになり、やがて西太后は心を病み僕から離れることになる。
咲くのことはずっとまぶしかった。
咲くが卒業して、ぷっつりと見かけなくなる。
咲くの高校3年間、18歳までは僕は直接、咲くを目にした。
あれからもう6年になる。すでにインスタは咲くの卒業時で更新されていないが、アカウントは残っていて閲覧できる。
咲くがインスタに残した記事を僕は繰り返し、繰り返し読んだ。咲くのことを考えない日はない。
咲くは見た目通り、清廉潔白でキラキラのお茶目な女子高生だと思うだろうが、そんなんじゃない。結構、毒のある子だった。
その毒が僕を完全に殺した。
小4の時、担任のおばはん先生と抗争して、毒殺を試みて失敗し、みんなの前で処刑されたことを白状する。
最近のアニメに、黙示録とか、ルシファーとか、7つの大罪とか高尚なタイトルがつけられてるが、民百姓のわらしが安易に見るものではない。自分のような出自の良い座敷わらしだけが使えるのだ。それはテレビ局がわざわざ咲くをいぢめるために有害な電波を流しているに違いないと主張し、そのうちラッパが鳴るわよ!とキレている。
一方で、咲くは父親おもいで、父親が映画「砂の器」に感化されて、お遍路に行きたいという。
父は村の子供らに石つぶてを投げられたい。善良な村人にコメをめぐんでもらいたい、それを洞窟で火を起こして食いたいと要望する。
咲くは忠実にプロデュースする。
とにかく普通でない事ばかり書いている。
電車で見かける清純な感じとはまた違う。
その、いちいち言うことが僕を殺した。
咲くのことを想いつつも、僕も生身の人間だ。
その間、僕より若い男、ボクサー崩れが途中入社してくる。
彼はエクセルとかパワーポイントとか何のスキルもなかったので、僕がいちから手取足取り教えてあげた。
彼の可愛い顔とか、厚ぼったい唇、筋肉の動きを間近で見て、彼の匂いをたっぷりと嗅いで、僕は刺激された。
彼は工場で上司のパワハラに遭い、適応障害で休職する。彼は僕のLINEに死にたいとのメッセージを毎日、頻繁に入れる。
僕は懸命に声掛けして彼を救った。
彼が死んだら僕も死ぬつもりだった。
やがて、僕たちは、口をむさぼるように吸い、肌を合わす関係になった。
僕の心は女だったし、ボクサーは僕を女神として崇拝した。
この子が生涯のパートナーになるだろうと思っていた。
ところが、咲くが高校を卒業して6年後のことである。
24歳になった咲くを偶然にインスタで発見する。
僕は、インスタの情報をヒントに、必死に咲くを探し、遂に出会えた。
僕は再起をかけて咲くと生きる決意をする。
次回:#1 京都西大路工場 リンク
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