碧き海 晴れ渡る空 反映し 木々も揺れずと 心洗われ┃特別養子縁組┃初顔合わせ前の心境①
打診の翌日に児童相談所から改めてかかってきた電話の内容は、〇〇さんの所に委託するのを乳児院の方も検討されているようなので、よかったら赤ちゃんに会ってみませんか…とのことだった。まだ生まれて1週間。そんなにすぐに会えるとは思ってもいなかったので、嬉しすぎてたまらなかった。
赤ちゃんのいる乳児院へ行くには、だいたい1時間半くらいだろうか。街を外れ、山の見える田舎道を通り、百人一首でも詠われるあの由良川の横を通っていく。
初めて見た時は、これが川なの?…と驚くほど、私がそれまで知っていた、ゴロゴロの石に水しぶきを立てながら、勢いよく水が流れていく川とは違い、海に近く幅が広いので、本当に流れているのかと思うくらい流れが見えない。
道を進むと海が開けて見えてくるその景色は、水平線が見えるほど遠くまで広がる海に、晴れた日は青空の色が反映され海も碧く美しい。何度も見たことのある大好きなその景色も、高まる思いからか、いつになく美しく感じるのだった。
人生で、これほどどん底に突き落されたことはないと思えたあの面接から3日後。まさかこんなにも早くに、それも、生まれて間もないふにゃふにゃの赤ちゃんに会えるなんて、本当にドキドキの初顔合わせとなった。
けれど、委託の検討を受けつつもやはり慎重な主人。他にも候補の家族が何件かいるかも知れないし、たとえ委託が決まったとしても、半年の監護期間があるし、まだ我が家に来ることが確実に決まったわけでもないんだから落ち着きなよ…と、何度も念を押されて平常心を装いつつも、心の中は嬉しい思いでいっぱいだった。
私たちのもとに本当に来てくれるのだろうか、本当に心から喜んでもいいのだろうか、自分達が幸せになっていいのだろうか…と、まだ決定でもないのに、そんな思いがふとよぎる時もあった。
面接の時には、厳しく何度も「そんな0歳の乳幼児だけ希望なんて、いつになっても来ませんよ!せめて2歳まで、もう少し枠を広げた方がいいです!」とのことを言われたので、2歳まで受け入れ枠を引き伸ばし、ハードルを少し下げてしまっていたが、希望とは違うからそうしたくないことを、その時は心の底から言えなかった。
けれど、やはり何だか腑に落ちず、これで0歳の子ではなく2歳の子を実際に迎えることになったら、きっと後悔するだろうと思っていた所に、この話がきたのだから、人生何が起きるかは本当に分からない。
そんなどん底の面接の話…
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まだ決定ではないと分かっていながらも、やはり心の中で喜んでは、色々なことを想像してしまう浮かれ気味の私。けど、少し落ち着いて客観視した時に思うのは、やはり生みのお母さんが、十月十日、大事に身籠りながらどんなことを思っていたのか、それをどうやって聞き出せるか、子どもが大きくなった時に、どう伝えることができるのかを知りたくて、色々と考えていた。
今の時代は、戸籍を完全に移す特別養子縁組里親も、戸籍を移さず成人まで養育する養育里親も、血縁関係がないことをきちんと伝えるのが主流になってきているそうで、元々その説明を受ける前から私達は、真実告知(血縁関係の無いことを子どもに説明すること)を3歳くらいにはするとは決めていた。
その真実告知にて、生みのお母さんから子どもへお手紙があったらいいな…とふと思えたが、嬉しさと入り混じる、他の家族ではなく自分達の所に迎えるという大きな責任。きちんと真実告知ができるかどうか…そのようなことも色々と聞かれるのだろうな…と思いながら、美しい海を横目に乳児院に車で向かって行った。
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次は【 初顔合わせ前の心境② 】
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