運慶仏をつくる【第7話】玉眼とともにあれ 後編
真鍮パイプとプラパイプを組み合わせてみたんだが…
玉眼づくりの続き。
前回は、プラパイプ状に孔をあけた2本のプラ棒をそれぞれ黒色と金色に塗って、それを入れ子にすることで瞳孔と虹彩を表現しようとしたのだが、うまくいかなかった。
玉眼の表面をコンパウンドで磨くと塗料がとれて金色がほとんど目立たないし、虹彩と白目の輪郭をきれい丸く描くことが難しい。

そんなこんなで困りはてていたときに、救いの光が届いた。
ありがたいことに、読者さんから「1mmの金色のプラ棒を、真鍮パイプにしたら光彩っぽくキラッと光りませんかね?」というコメントをいただいたのである。
なんと素晴らしいアイデア。まさに大乗仏教の真髄、他力本願の精華だ(ちょっと違うか。まぁ、いいや)。
さっそくやってみる。
作戦は次のとおり。

ただ、実際にやってみると、目論見どおりにはならない。
1.2mmのプラ棒の中心に1.0mmの穴をピンバイスで開けて、そこに1.0mm真鍮パイプを押し込めばいいと考えていたのだが、真ん中に孔を開けるのがなかなか難しく、真鍮パイプを押し込もうとすると簡単に割れてしまう。
しかたがない。真鍮パイプとプラパイプの組み合わせはあきらめて、真鍮パイプの外側をウェーブの「黒い瞬間接着剤」でコーティングしてみた。
なかなかいいアイデアだと思ったのだが、これも実際にやってみるとうまくいかない。真鍮パイプを切断するときに、せっかく塗った黒い瞬間接着剤がはがれてしまうのだ。
そこで次のアイデアだ(こうなりゃ、もう意地だね)。
直径1.2mmのプラパイプのかわりに、スチールパイプを使うことにした。黒色のスチールパイプがあればなおよかったのだが、ここは銀色でがまんする。

今度こそは、うまくいきそうだ…
と、一安心したのがいけなかったのか。
左目の黒目の部分(真鍮パイプとスチールパイプの組み合わせ)が、ちょっと飛び出している感じだったので、無理に押し込もうとしたところ、またまた陥没してしまったのである。

やりなおしだ。
こうなったら、56億7千万年かかろうがなんだろうが、玉眼を成就させてやろうじゃないか。
欣求玉眼。精進、精進だ。
【第8話】 慶派玉眼図鑑 につづく
【第6話】玉眼とともにあれ 前編 に戻る
【第1話】まずは「持国天古色彩色」の修復を に戻る
