運慶仏をつくる【第5話】 仏像は、お顔がいのち
【第三次修復をはじめてしまった】
けっしてルッキズムではないと思うのだが、やはり仏像はお顔だろう。
人気の高さからいえば、興福寺の阿修羅像を筆頭に、広隆寺の弥勒菩薩半跏思惟像、東寺の帝釈天半跏像あたりなんだろうが、みなさん美少年・美人・イケメンでいらっしゃる。
で、第二次修復が終わった持国天のキットだが、どうにも納得がいかない。
お顔が違う。
心の中の大仏師が「これはだめだ。やりなおしなさい」と叱ってくる。

ずいぶん手を入れたつもりだったのだが、まだまだどんぐりまなこだ。
いわゆる四天王像は眼をかっと見開いている像が多い。興福寺中金堂の広目天なぞは、まさに憤怒の表情なのだが、そんな印象に引きづられてしまったのかもしれない。
2017年に東京国立博物館で開催された「運慶展」の図録 *1 をながめていると、この持国天、憤怒の表情というよりも、へたれの小仏師モデラー(筆者のことだ)を諭そうとしているようにも見える。
この像、最近では湛慶作という説が有力だそうだが、まるで運慶が「まだまだだじゃ。精進しなさい」と長男をたしなめているようでもある。
で、心の中の大仏師の声に従って、小仏師モデラーが再々修復したキットがこれだ。

うーむ。ちょっと黒目が小さすぎるようにも思えるが、LEDを消灯したときにはさほど気にならないというか、むしろこっちのほうが好印象かもしれない。

うーむ、なんということだ。
玉眼がわりにLEDを光らせようというアイデアそのものが間違っていたのかもしれない。実物も彫眼だしね。
まぁ、いい。
これからも精進、精進ということで(第四次修復もありえるぞ)。
*1 『興福寺中金堂再建記念特別展「運慶」』(図録)、東京国立博物館、2017年、148〜167ページ
おまけ
せっかくなので、キット造立から第三次修復までの汗と涙の制作記録をどうぞ。

① キットを無塗装で仮組みした。実物より眼球が大きいが、迫力は十分。
② キット造立時。黒目の輪郭に赤色を入れた。うまくいかず。
③ 第一次修復に失敗し、両眼のLEDが陥没してしまう。
④ 第二次修復を開始。両眼の透明プラ棒を表側から入れざるをえずギョロ目に。

⑤ 上まぶたに盛大にパテをもってみた。まだまだギョロ目だ。
⑥ 下まぶたにもパテを盛って塗装しなおし、第二次修復を完了とする。
⑦ 第三次修復に突入。さらなるパテ盛りでなんとかしようとするが…。
⑧ まだまだ不満はあるが、とりあえず第三次修復が完了。
【第6話】玉眼とともにあれ 前編 につづく
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