イタリア古建築をつくる【第12話】 「ローマの松」を植える 前編
【ポポロ広場の外構づくり①】
建設中の家を見るのが、好きだ。
散歩がてらについつい見に行ってしまう。
古屋を解体して、地縄張りから基礎、足場の組み立てと作業が進み、ついに柱が立ち、だんだん家の形になっていく。
そのプロセスを見るのはじつに楽しい。
模型づくりにも通じるものがあると思う。
家が建ったあとも、楽しみは続く。前庭の外構だ。
同じような外観の建売住宅でも外構しだいで雰囲気はずいぶんと変わる。
シンボルツリーに何を選び、まわりにどんな花を植えるのだろうかと、しばらくは目が離せない。
そして、わが家にも庭がある。

ごめんなさい。またウソつきました。
ピッティ宮殿から見たボーボリ庭園です。すみません。
ただ、自宅の前庭には、ほんのささやかな花壇をつくってある。
ボーボリ庭園に対抗したわけではないが、「怪獣庭園」と呼んでいる。怪獣たちの無法地帯だ。近所の幼稚園の通園路に面しているため、園児たちを吸い寄せる強烈な磁場にもなっている。

で、ポポロ広場の模型づくりのほうだが、だいぶ形になってきたので、植栽をすすめていくことにした。
まず、公園周辺の樹木の高さを調べようとしたのだが、Googleマップのストリートビューでチェックしたところ、思わぬ事実が判明した。
公園は、ピンチョの丘の麓にあり、フラットな地形ではないということだ。
例えば、ポポロ聖堂の最も奥の建物(旧修道院)は、たぶん4階(一部5階)建てなのだが、ピンチョの丘に面している裏側の玄関は3階のレベルに設けられている。つまり建物の表と裏で2階分の高低差があるということだ。
つまり、植栽をはじめる前に造成工事を行わねばならない。
そこでプラ棒とプラバンを組み合わせてピンチョの丘を嵩上げしたうえで、ダ・ヴィンチ博物館側の奥に設けられている外階段もつくった。
その作業の最中に、さらにわかったことがある。
裏側の玄関前にある円形の構造物が気になって調べてみたところ、《フォンターナ・デッラ・ヴァスカ》という古代ローマ時代の噴水だった。単純に検索してもフォンターナ・デッラ・バルカッチャ(スペイン階段にあるベルニーニの噴水)のほうが先に出てきてしまうし、現地で重宝した『地球の歩き方』*1 にも載っていないほどの史跡なのだが、せっかくだし、再現しておいた。
これで、ようやく植栽にすすむことができる。
オーバル道路の各コーナーは4カ所とも緑地になっていて、北東と南西のコーナーには樹が何本か立っている。中央のオベリスク(高さ36m)と比べると、高い樹で30mほどのようだが、それでも1/2000だと1.5cm程度だ。あまり込み入ったことはできそうもない。
そこで、プラ棒や鋼線を組み合わせて簡単に幹をつくり、配置してみた。

左上(北東)がピンチョの丘で、ここに3本の松(イタリアカサマツ)を植えた。「ローマの松」だ。幹は0.2mmの鋼線を曲げて芯をつくり、パテで太くしてある。葉っぱをどうするかは検討中だ。
松の手前には、が見える。
その対角上には、2本の糸杉(イタリアイトスギ)を植えた。こちら幹と葉っぱを一体化してつくることにし、タガネでΦ2.4mmのプラ棒を適当に削っていって葉っぱらしくしようとしたのだが、なんだか細長い松ぼっくりのようだ。もうちょっとなんとかしたい。
他の2つのコーナー(右上と左下の三角形の部分)については、低木も植わっているようだが、下草の表現のみで済ませることにしたい。
今回はここまで。次回は、松に葉っぱをつけていくつもりだ。
*1 地球の歩き方編集室『地球の歩き方 ローマ 2025~2026』地球の歩き方 2024
【第13話】「ローマの松」を植える 後編 につづく
【第11話】ベルニーニが気色ばんだ にもどる
【第1話】『サン・ピエトロが立つかぎり』があるかぎり にもどる
