求心性収縮と遠心性収縮の違いと使い分け
臨床のリアルと迷い
筋肉の収縮にはいくつかの種類がありますが、代表的なものは「求心性」と「遠心性」です。
求心性収縮とは「筋肉が力を発揮しながら短縮する(筋肉の付着部が互いに近づく)動作」です。
遠心性収縮とは「筋肉が力を発揮しながら短縮する(筋肉の付着部が互いに近づく)動作」です。
よく「遠心性収縮は重要である」ということを耳にします。
では、それぞれの収縮は、上記の収縮方法以外に、どのような違いがあるのでしょうか。
そして、なぜ遠心性収縮が重要なのでしょうか。
そこを理解することで、トレーニングの方法などにも応用できそうです。
知見の整理と道標
2023年、レクリエーションレベルの女性アスリート20名を対象に、ハムストリングスに対するレジスタンストレーニングが筋収縮特性に与える急性的な影響を、テンシオマイオグラフィ(TMG)を用いて検証しています。
この研究では、求心性収縮群(CON)と遠心性収縮群(ECC)の筋収縮特性の変化が確認されました。
トレーニング前後での比較となります。
電気刺激の伝達から筋肉が動き出すまでのタイムラグ(Td)
CON群:1.9ms短縮
ECC群:4.1ms短縮
実際に筋肉が収縮する「収縮時間(Tc)」
CON群:2.2ms短縮
ECC群:10.3ms短縮
筋肉が膨らむ速度「放射状変位速度(Vrd)」
CON群:20mm/s向上
ECC群:44mm/s向上
筋腹の最大変位(Dm)
CON群:0.24mm増加
ECC群:0.89mm減少
臨床への落とし込みと深掘り
まずは上記の結果をどう考えるかですね。
簡単にいうと、より早く大きく反応するためには遠心性のトレーニングが有効であるということです。
爆発的な俊敏性を高めたいなら遠心性
スポーツの切り返しやダッシュ、あるいは転倒を防止するための素早い一歩をターゲットにするなら、遠心性収縮を意識したトレーニングが有効です。
脳からの信号を素早く筋肉に伝え、一瞬で最大張力を発揮するという「動的効率」は、遠心性のトレーニングの方が引き上げられそうです。
しなやかさを担保したいなら求心性
最大変位(Dm)の変化に着目すると、求心性トレーニングはDmを増加させており、これは筋肉に適度なしなやかさや柔軟性(遊び)を残す特性を示唆しています。
関節の可動域にも意識したい局面では、求心性の方が良い効果を発揮しそうです。
どうトレーニングを組み立てるか
これらをどのように組み立てていきましょうか。
基本的には、CONで重りを持ち上げ、ECCでコントロールしながら下ろすという往復運動から始めるのがいいでしょう。
その上で、今必要な課題に合わせて、下ろす時間を4~5秒かけて遠心性を強調するのか、あるいは求心性の推進力を引き出すために挙上局面を意識させるのか。
自主練習の指導などにも応用できそうですね。
締め
筋肉を大きくすることと、筋肉のキレを取り戻すことは別物です。
収縮様式の違いがもたらす筋特性の変化を理解した上で、トレーニングに活かしていきましょう。
参考文献
Pakosz, Paweł, et al. Comparison of concentric and eccentric resistance training in terms of changes in the muscle contractile properties. Journal of Electromyography and Kinesiology 73 (2023): 102824. doi: 10.1016/j.jelekin.2023.102824. PMID: 37696055.
筋収縮特性の変化における短縮性および伸張性レジスタンストレーニングの比較
ご覧いただきありがとうございました。
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