ブルガリアンスプリットスクワットの負荷特性〜後ろ脚がもたらすメリットとセッティング〜
臨床のリアルと迷い
ブルガリアンスプリットスクワット(BSS)を、筋トレのメニューに入れている人もいますね。
BSSは、非常に優秀なトレーニングの一つです。
今回は、その後ろ脚がもたらす意味とその効果、バイオメカニクスについての報告がありました。
知見の整理と道標
今回の報告はBSSにおいて台の上に置いた後ろ脚が、前脚の運動に対してどのような力学的影響を与えているかを実験的に検証した研究です。
これまで、BSS中の後ろ脚には総床反力の15〜45%程度の荷重がかかっていることまで知られていました。
結果は以下の通りです。
後ろ脚は「最大の抵抗源」である
前脚の股関節伸展筋群が対抗すべき総外部抵抗のうち、後ろ脚由来の抵抗が占める割合は、ワイドスタンスで70〜97%、ナロースタンスで62〜98%に達していました。スタンス幅によるターゲットの明確化
自然な前傾条件において、お尻への負荷はワイドスタンスの方が有意に高く、太もも前部への負荷はナロースタンスの方が有意に高い値を示しました。上体を起こすと後ろ脚の抵抗が増大する
ナロースタンスにおいて、体幹をより直立させた条件では、後ろ脚の股関節がさらに約10°伸展ポジションへと追い込まれるため、軟部組織の受動的な張力が高まりました。
臨床への落とし込みと深掘り
個人的には、最後の上体の角度の結果は、臨床において有益であると思います。
通常のスクワットであれば、体幹を起こすとお尻への負荷は激減します。
ではBSSにおいては、どうでしょうか。
以下の状態が発生します。
上体を起こして直立に近づけるほど、上半身の重みによる腰へのストレスが減少する。
後ろ脚の股関節が伸展されて発生する受動的張力に対抗するために、前脚の大臀筋は高い筋力を発揮する。
状態を起こしても、臀筋への負荷が下がりにくいということです。
しかし、これは後脚の硬さによるものではあります。
これが硬すぎる場合は、骨盤の前傾による腰椎の過伸展を引き起こしてしまうことがあります。
あくまで、腰部の負担と柔軟性を考慮して、実際の動作を見て決定することが重要です。
上体は無理に直立させず自然な前傾にとどめるセッティングから開始するのが基準となりそうです。
締め
BSSは、意外と後脚の影響を受けるのですね。
後ろ脚は単なる支持基底面を広げるためのツールではなく、負荷の質をコントロールする装置です。
このバイオメカニクス的視点を持って、基準をアップデートしていきましょう。
文献情報
Arakawa, Hiroshi, et al. Rear Leg-derived Moment Contributes to Resistance Against Hip Extension in Bulgarian Split Squats. International Journal of Exercise Science 18.7 (2025): 881-894.
ブルガリアンスプリットスクワットにおける後ろ脚由来のモーメントは股関節伸展動作に対する抵抗に寄与する
ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション
ご覧いただきありがとうございました。
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