見出し画像

アキレス腱損傷後のリハにこだわろう


臨床のリアルと迷い

アキレス腱損傷後のリハビリテーションは、装具が外れ全荷重可能となってから、片脚でのヒールライズ(つま先立ち)を開始するのが一般的です。
その時期は、リハビリテーションでいう中期〜後期に入ります。
その後のスポーツ復帰等を目指すなら、健側の筋力により近づけたいところ。
しかし、回数ベースでは回復しているように見えても、スポーツ復帰後のパフォーマンスが戻らなかったり、下腿三頭筋のボリュームに左右差が残ったりするケースがあります。

アキレス腱後のリハビリテーションはそういった観点から難しいものです。
今回は、その悩みに対する一助となりそうな報告を紹介します。

知見の整理と道標

アキレス腱損傷後のリハビリテーションにおける筋力の指標を検証した統合的レビューです。
この報告では、ヒールライズにおける従来の回数による評価だけではなく、客観的なデータに基づくアプローチの必要性を提示しています。

治癒プロセスにおける中期(6〜12週)は、コラーゲンへと成熟・再構築が進む重要な時期です。
この時期の負荷管理には、組織に加わる力学的刺激を細胞へ伝える「メカノトランスダクション」の視点が不可欠となります。

しかし、従来の評価方法には以下のようなばらつきと限界が存在します。

回数と仕事量の乖離

術後12か月の時点で、反復回数のみに基づく肢対称性指数(LSI)は95%であったのに対し、踵の挙上高さを考慮した「総仕事量(体重 × 総移動距離)」でのLSIは76%にとどまるというデータがあります。
つまり、回数が同じでも、挙上高さが低下している(=仕事量が不足している)ことを見落とすリスクがあります。

長期的な筋力欠損

アキレス腱断裂後、健側比で最大30%もの長期的な筋力欠損が持続することが報告されています。

解剖学的な走行の重要性

腓腹筋とヒラメ筋は、膝関節角度を明確に区別して評価・トレーニングする必要があります。

臨床への落とし込みと深掘り

重要なのは、「こだわれ」ということです。
「ただ回数を数えるリハビリ」から「運動の質と特定の筋肉を狙い分けるリハビリ」への転換が必須となります。

何にこだわるか。

  • 仕事量

  • 筋肉

  • 期分け

です。

具体的には、下腿三頭筋を例に、以下のような臨床が考えられます。

仕事量

ヒールレイズの回数だけでなく、最大可動域で可能な回数の比較。

筋肉

解剖学的配置に基づいた狙い分け。具体的には、膝を伸ばした状態での底屈運動による腓腹筋の評価・トレーニングと、膝を屈曲した状態での底屈運動によるヒラメ筋の評価・トレーニング。

期分け

初期(〜6週)は強度は低く抑えて反復回数を重視
中期(6〜12週)に入ってからは徐々に回数を減らし、最大筋力を高めるため負荷強度を高める。

締め

毎日の仕事の中で、こういったこだわりを常に持つことはとても大変だと思います。
まずは、上記の3点に注意を置いてみましょう。

参考文献

Toland, Chris, et al. An Integrative Review of Strength Milestoning in Mid-Stage Achilles Tendon Rehab. Biomechanics 5.3 (2025): 59. doi: 10.3390/biomechanics5030059.

アキレス腱リハビリテーションの中期段階における筋力マイルストーンの統合的レビュー

ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

ご覧いただきありがとうございました。

ー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●ーー●

投稿はこちらのXで随時報告しております。ぜひフォローをお願いします!

クリエイターページはこちらから!

関連の文献もご覧ください!

いいなと思ったら応援しよう!

PT Type B 皆さまのご支援は、AIへの課金、書籍やPCの購入など、日々の業務や良質な記事をお届けするための活動資金として大切に使わせていただきます。今後とも応援いただけると嬉しいです!