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グリップで変わる上腕二頭筋・腕橈骨筋への効果



臨床のリアルと迷い

太くたくましい腕を目指して、日々腕の筋トレをしている方は多いと思います。

臨床においても、腕にはいくつかの筋が存在し、それぞれ似たようで少し違った作用があるので、トレーニングやリハビリテーションの方法を変えていると思います。

肘の屈曲を行う運動において、グリップ選択で狙った筋肉が最適に働いているのか、疑問になったので、今回調べてみました。

知見の整理と道標

今回紹介するのは、10名の競技ボディビルダーを対象に、ケーブルバイセップスカールを3種類のハンドグリップ(回外、回内、ニュートラル)で行った際の、上腕二頭筋、腕橈骨筋、三角筋前部の筋興奮(sEMG)を分析した研究です。

主な結果は以下の通りです。

屈曲時の筋興奮

  • 上腕二頭筋
    回外>ニュートラル>回内の順で高かった。

  • 腕橈骨筋
    回外が最大。回内とニュートラルには有意差がなかった。

  • 三角筋前部
    回外よりも回内およびニュートラルで高かった。

伸展時の筋興奮

  • 全ての筋肉において、屈曲時よりも興奮レベルが低下した。

  • 上腕二頭筋と腕橈骨筋では、グリップ間の有意差が消失した。

  • 三角筋前部は、伸展時も回外に比べて回内グリップで高い活動を示した。

バイセップスカールにおいてグリップを変更することは、肘屈筋群への刺激と、肩関節を安定させるための協調を変化させる可能性が示唆されました。

臨床への落とし込みと深掘り

このデータから、考えられることは以下のとおりです。

「腕橈骨筋=前腕中間位」を再考する

腕橈骨筋の興奮が回外グリップで最大でした。
回外位が腕橈骨筋にとってストレッチされた状態であり、より大きな力学的刺激を受けた可能性があると解釈されています。

逆に、ニュートラル位や回内位では、手首の安定化のために他の前腕伸筋群(手根伸筋など)の関与が高まり、結果として腕橈骨筋への依存度が下がった可能性があるのです。

ただ難しいのは、回外では、上腕二頭筋の関与が高まるから腕橈骨筋への依存度も下がる気がします。
その辺をどのように解釈すべきか、悩ましいところですね。

また、前腕中間位で行うハンマーカールには手首の負担を減らすという別のメリットもありますので、状況に合わせて使い分けてください。

回内・ニュートラルグリップ時の肩

屈曲時に、上腕二頭筋の活動が低下する回内・ニュートラルグリップにおいて、三角筋前部の活動が有意に高くなりました。

これは、上腕二頭筋長頭が上腕骨頭を安定させる役割を持ち、その活動が下がった分を補うため、三角筋前部が代償的に働いて骨頭を安定させようとした結果と考えられています。

肩関節に不安定性がある患者様などは、回内グリップやニュートラルグリップでのバイセップスカールには注意が必要です。
意図せず肩の負担を増やし、痛みを誘発する可能性があります。

締め

自分の記事ではよく言いますが、まずは目的を明確にすることが重要です。
上腕二頭筋、腕橈骨筋の純粋な強化を最優先するなら、回外グリップでのコントロールされた動作が基本となりそうです。

「このグリップだとこの筋肉の負担が減り、ここが代償されるから」まで言語化して説明できれば、患者様の信頼もより深まるはずです。

参考文献

Coratella, Giuseppe, et al. "Biceps Brachii and Brachioradialis Excitation in Biceps Curl Exercise: Different Handgrips, Different Synergy." Sports 11.3 (2023): 64. doi: 10.3390/sports11030064.

バイセップスカールエクササイズにおける上腕二頭筋および腕橈骨筋の興奮:異なるハンドグリップ、異なるシナジー

ではでは。
#整形外科 #理学療法士 #リハビリテーション

ご覧いただきありがとうございました。

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