いよいよAIが攻めてきた(第2部):我々はどうすればよいか
〜ホワイトカラー大崩壊:そのとき私たちは〜
前回の第1部では、アメリカで生まれた「AIエージェント」という超優秀なAIが、これまでのパソコン作業やさまざまな仕事を人間の代わりに終わらせてしまう時代がきたことについてお話ししました。
「指示された通りに資料を作成する」「マニュアル通りに仕事をする」「電話やメールで顧客対応する」といった、私たちが当たり前だと思っていたオフィスワークの多くが、これからはAIに丸投げされていきます。
ほんの一握りの、全体の5%くらいの上位のデキる人たちは、AIを鍛えたり部下のように使いこなして、AIの荒波も上手にサーフィンして今よりも何倍もの高いお給料をもらうでしょう。
一方で、波間に沈むかもしれない残りの95%の「普通に頑張ってきたひとたち」には、一体どんな現実が待ち受けているのでしょうか?
今回は、綺麗ごとをいっさい抜きにして、これから数年の間に起きるかもしれない「ちょっと目を背けたくなるような影の部分のリアル」について、何がおこるのか一緒に考えていきたいと思います。
始まりは、静かにやってくる「リストラの嵐」
「AIエージェントが導入されたから、明日から会社に来なくていいよ」 そんなドラマのようなクビの宣告は、日本ではおそらく起きません。日本の法律は働く人を守るようにできているからです。
その代わり、企業はもっと「静かで、じわじわ」とリストラを進めていきます。
たとえば、「AI推進部」や「業務効率化検証グループ」といった、名前は立派だけど実際には何をやるところかわからない部署が作られます。そこに、AIエージェントに仕事を奪われた中堅やベテランの社員たちが、異動していくのです。
チームの中心で忙しく仕事をしていた中堅やベテランの社員が、AIエージェントの稼働後から、「AIエージェントが出した仕事の成果のチェック(検証)」を毎日するようになります。
最初の頃こそ、AIエージェントの誤った回答を「馬鹿だなぁ」と笑って訂正していたものの、AIエージェントの学習が進むにつれ、指摘する間違いも無くなっていきます。「この仕事は、この先どうなるんだろうか……」と自問自答し始めたころ、追い打ちをかけるように「すべての人間より完璧な検証用AIエージェント」が導入され――。
会社の中に居場所がついに無くなる・・・。そんなプレッシャーの中で、会社は少しずつ、自主的に辞めることを考えるように仕向けていく。これが、これから日本の社会で繰り広がれるリストラの嵐のリアルな姿かもしれません。
リストラした「大企業」を待つ、まさかの大どんでん返し
こうして「人間を減らして、儲けを出す!」と考える企業ですが、実は、彼らも生き残りに必死です。というのも、この先ものすごい「大どんでん返し」が待っています。
これまでの銀行や保険会社、あるいは巨大なITベンダーといった大企業がなぜ強かったかというと、「何千億円もかけて作った巨大なシステム」と「それを動かす何千人もの社員」がいたからです。これが、小さなベンチャー企業が絶対に真似できない「お城の壁」になっていました。
しかし、AIエージェントの時代になると、この強みが「ただの重荷」に変わります。
想像してみてください。どこかの若い3人の若者が、最新のAIでフル武装して、大企業のシステムと全く同じことができる、軽くて便利なサービスを「わずか1ヶ月」で作ってしまったとします。しかも、システムの維持保守も3人でやればタダみたいなものです。
そうなると、彼らはとんでもない作戦を仕掛けてきます。圧倒的な価格破壊です。
大企業が「AIエージェントを導入してリストラしてコストを削ったから、月額10,000円だったサービスを7,000円に下げても1,000円の利益が出るぞ!」と喜んでいる横で、新興のベンチャー企業が「うちはAIだけで回してるんで、中身は同じで月額5,000円で出しても2,000円の利益がでるんで」といったような世界になるかもしれません。
中身が同じなら、お客さんはみんな、あっという間に安いベンチャー企業に乗り換えてしまいますよね。
大企業はブランド力で最初は耐えるかもしれませんが、図体が大きい分、どれだけリストラしても過去の遺産(レガシー)を維持するための固定費が重くのしかかっています。
顧客を奪われ、慌てて値下げ競争に巻き込まれた大企業は、あっという間に利益が消し飛び、数年後には赤字に転落、そのまま斜陽化していき……。
そして新興の企業が次々と勃興して、それらが大きく成長し、次の日本を背負っていく。
その図式が国際間でも繰り広げられます。リストラして身軽になろうとした大企業も、ぼやぼやしていたら新しいライバルたちに取って代わられてしまう。こんなことが起こるかもしれないのです。
第二部の終わりに:シニアたちはどうすればいいか
ここまで、本当に冷酷で、ハラハラするような悪い未来のお話ばかりをしてきました。気分を暗くさせてしまったら、ごめんなさい。でも、そんなに暗い未来は来ないかもしれません。今日(5/26)ですが、AI普及により雇用崩壊すると言っていた、オープン・AIのサム・アルトマンがAIの急速は開発と普及は世界的な雇用崩壊には繋がらないと言ったというニュースが飛び込んできました。未来のストーリーは何通りもあるようですね。
さて、ここで一つ、静かに考えてみてほしいのです。
AIの時代が到来し、世の中が大きく変わろうとしています。AIのメリットを見るとその素晴らしさに目が眩みそうですが、その光が強ければ強いほど、影もまた濃くなります。
あらゆる世代に新しい秩序と混乱をもたらす時代がきたのだと思いますが、シニアたちはなすすべもなく立ちすくむだけなのでしょうか。われわれシニアはこのAI時代をどのように生き延びればいいのでしょうか。
――実は、シニアの世代は、最大の受益者になるかもしれません。なぜそう思えるのか。
次回、最終章となる「第3部:シニアの世代は最大の受益者か」
AI時代の幕開けとともに、最後の希望をお話しします。
