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大犬空港物語(2)「社員3人ってマジですか?」

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俺の名前は、大谷浩平。
夜の横浜港を歩く。

コロナ禍で送別会はどこも自粛、盛大に見送られることもなく、ただ一人の先輩が「最後に一杯だけ」と誘ってくれた。二人きりで飲んだ、帰り道。湾に浮かぶ無数の光が、あたたかくも冷たくも思えた。
 
従業員数4万人超の企業に勤め、30代で100人を超える部下を持ったこともある。サラリーマンとして、どんな困難も乗り越える自負があったけれど。
小さな地方空港への出向を命じられ、俺という人間の芯を抜き取られたみたいに感じていた。
 
出向先の空港から、シフト表が送られてきた。
空港だから、365日休みなく、誰かが出勤しなければならない。
 
365日、やすみなく。
 
シフト表。
 
俺がシフトだって!?まじかよ。この俺が?土日祝日も働くの?この俺が?
 
シフト表。
 
いや待って。365日やすみなくってわりに、人、少なくない?
 
前任の出向者に聞いてみた。
 
「ちなみに社員って、何人ですかね?」
 
「うん、3人(笑)」
 
「ええええええええええええええええええええええええっ!!!???さ、さんにん!?」
 
「正確には、正社員が3人。臨時社員が3人。それにオレ、全部で7人。」
 
「それで、シフト回るんですか?365日を7人で?」
 
「まあ、なんとかなるよ。」
 
なんとかなるのか?どんな会社なんだよ。
 

作者のひとりごと
第2話を読んでくださって、ありがとうございます。
大犬(おおいぬ)空港は架空の空港ですが、東北の小さな空港をヒントにしています。 そして私の“本業”は、そのモデルとなっている空港のファンクラブ会員を増やすことです。

主人公の「大谷浩平」という名前は、実は私の周りに「小谷さん」と「中谷さん」がいたことから選びました。出向者のドタバタエピソードは、みなさんから聞いた話をつなぎ合わせたり、自分自身の体験をもとにしたりしています。まだ東京でうろうろしている主人公。次回はいよいよ赴任地に旅立ちます。第3話もぜひ読んでいただけるとうれしいです。

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