人口とスポーツの関係
前回、アフリカの人口増加が経済を動かすという話を書きました。
人口が増えれば、市場は大きくなる。企業は育つ。
経済も成長する。
では、人口が増えれば、スポーツも強くなるのでしょうか。
「人口だけでは強くなりません。」
スポーツの強さを決める二つの要素
オリンピックのメダル獲得数については、40年以上にわたり世界中で研究が続けられています。
その中で、一貫して説明力が高い要因として挙げられているのが、
人口とGDP、つまり経済力です。
人口が多ければ、才能が生まれる母数が増えます。
14億人いる国と、500万人の国では、世界トップレベルの才能が生まれる確率は違います。
しかし、人口だけではメダルは増えません。
GDP、つまり経済力も、メダル獲得数を説明する重要な要因であることが、複数の研究で示されています。
なぜでしょうか。
才能を発掘する。
育てる。
栄養を与える。
施設を整える。
コーチを育成する。
海外へ遠征する。
そのすべてに、お金が必要だからです。
人口が才能を生み、経済力がその才能を世界レベルまで育てる。
この二つが組み合わさって初めて、スポーツは強くなるのです。
人口だけでは説明できない。
逆に考えると、人口だけでは説明できない国もあります。
例えば、インド。人口は世界最大級です。
しかし、オリンピックのメダル数は、人口規模から考えると決して多くありません。
ナイジェリアも同じです。約2億3,000万人。
コンゴ民主共和国も約1億人。
才能の母数は非常に大きい。
それでも、オリンピックで継続的に世界トップレベルの成績を残しているとは言えません。
才能がないからではありません。その才能を世界レベルまで育てる環境が十分ではないからです。
一方で、今回のワールドカップに出場し旋風を巻き起こしたカーボベルデは、とても興味深い事例です。
人口はわずか約60万人。
しかし、ワールドカップの代表メンバーを見ると、多くの選手が海外に移り住んだカーボベルデ人や、その子孫、つまり海外在住コミュニティの出身でした。
さらに、カーボベルデ生まれの選手であっても、多くは若い頃にポルトガルなどヨーロッパへ渡り、育成年代を過ごしています。
つまり、代表チームには国内リーグ所属の選手はおらず、ほぼ全員が海外クラブで育成・プレーしている選手たちです。
カーボベルデの成功は、世界中に広がる海外在住コミュニティと、ヨーロッパの育成環境を結び付けた結果なのです。
ここから見えてくるのは、人口だけではスポーツは強くならないという事実です。
人口という「才能の母数」に、
育成環境、
教育、
栄養、
コーチ、
試合経験、
そして投資。
そうした環境が加わって初めて、世界で戦える選手が育ちます。
研究結果も、そのことを示しています。
だから才能は、ヨーロッパで開花する。
ここで、これまで何度も書いてきた話につながります。
ルカク。
数多くのアフリカ出身選手。
ヨーロッパという経済力のある環境で育ち、世界最高峰の選手になりました。
つまり、
アフリカの人口×ヨーロッパの経済力・育成環境
この組み合わせが、世界トップクラスの選手を生み出しているのです。
カーボベルデも同じです。
国内の人口は小さくても、海外に広がるコミュニティとヨーロッパの育成環境を活用することで、ワールドカップの舞台に立つチームを作りました。
これは、人口だけではなく、どこに育成環境があるかが重要だということを示しています。
では、その環境をアフリカにつくれないか。
ここが、私たちが取り組んでいる理由です。
アフリカには、人口があります。才能があります。
足りないのは、環境です。
育成施設。指導者。教育。栄養。試合経験。スポンサー。そして、継続して投資できる資金。
そのひとつの手段として私たちは、カーボンクレジットを活用したパートナーシップを考えています。
スポーツだけではなく、環境も守る。
その仕組みで生まれた資金を、育成へ投資する。
人口 × 経済力・育成環境
という方程式を、アフリカの中で成立させたい。
人口が未来を決めるのではない。
人口は、あくまでも可能性です。
その可能性を現実に変えるのは、
教育であり、環境であり、投資です。
世界最大級の可能性を持つ大陸だと考えています。
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