日本の少子化と、スポーツの未来
ここまでアフリカの話を続けてきましたが、今日は一度、日本に目を向けたいと思います。また、前回は世界のハングリー精神の話をしましたが、それに追うようにある問題が少子化です。
生まれる子どもが減っている。
2025年、日本で生まれた子どもの数は70万5,809人でした。10年連続の減少となり、過去最少を更新しました。
合計特殊出生率については、確定値の公表を待つ必要がありますが、低水準が続くことは確実視されています。
地方へ目を向けると、その現実はさらに鮮明になります。
全国で最も出生数が少ない鳥取県では、2025年に生まれた子どもの数は3,000人を下回りました。
一つの県で、1年間に生まれる子どもの総数が、それだけしかいない時代になっています。
主要競技は、いま何人でプレーしているのか。
子どもが減れば、競技人口も減ります。しかし、その減少は想像以上です。
サッカー(10代)
10代の実施人口は、
2001年:約339万人
2025年:約237万人
24年間で約102万人減少しました。
野球
野球はさらに深刻です。
小学生年代の男子軟式野球(スポーツ少年団)は、
2010年:約18.8万人
2025年:約10万人
まで減少しました。
さらに、中学校の軟式野球部員は、
2011年度:約28.1万人
2021年度:約14.4万人
と、ほぼ半減しています。
中学校の運動部全体・中学校運動部の加盟人数も、
2009年度:約233万人
2018年度:約200万人
へ減少。
将来推計では2048年度には約148万人となり、
ピーク時から約37%減少すると予測されています。
その減少は、少子化だけでは説明できない。
ここで、一つ重要なことがあります。
「子どもが減っているのだから、競技人口が減るのは当然。」
しかし、数字を並べると、別の現実が見えてきます。
例えば、日本の15歳未満人口は、2011年から2021年までの10年間で約1割減少しました。
一方で、中学校軟式野球部員は、同じ10年間で約5割減少しています。
つまり、競技人口は、子どもの人口減少をはるかに上回るスピードで減っている。
これは少子化だけでは説明できません。
限られた子どもたちが、その競技を選ばなくなっている。
屋外競技を取り巻く環境。部活動の変化。
他競技や他の活動への興味の広がり。
さまざまな要因が重なり、競技人口は子どもの数以上のスピードで減少しています。
つまり今、日本のスポーツが直面している課題は、
「子どもが減ること」だけではなく、「選ばれなくなること」なのです。
その中で、比較的減少が緩やかな競技もある。
野村総合研究所の将来推計を見ると、
主要チームスポーツの多くが今後も減少すると見込まれています。
その中で、比較的減少が緩やかとされているのが男子バレーボールでした。
なぜでしょうか。
一つの理由として考えられるのが、屋内競技であることです。
屋外スポーツが、命の危険になる時代。
日本の夏は、もはや「暑い」では済まされません。
熱中症は命に関わる問題になっています。
そのため学校体育館へのエアコン整備も急速に進められています。
安全にプレーできる屋内競技へ人が流れているのは当然のことでしょう。
サッカーや野球のような屋外競技は、少子化に加え、気候変動という新たな課題にも向き合わなければなりません。さらに部活動の地域移行も進んでいます。改革自体は必要です。
しかしその一方で、子どもたちが気軽にスポーツへ触れる入口が減る可能性もあります。
入口が狭くなれば、競技人口も縮小していきます。
日本国内で、人材を奪い合っている場合ではない。
ここで視野を世界へ広げます。
人口減少局面にある国は、
日本、韓国、イタリア、中国など、一部の国です。
一方、アフリカはこれから世界で最も人口が増える地域になります。
例えばザンビア。
2023年には約2,000万人だった人口が、
2100年には6,000万人を超えると予測されています。
さらに東アフリカや南部アフリカの高地は、日本の真夏のような極端な暑さではなく、
一年を通して屋外スポーツに適した地域も少なくありません。
サッカーと野球が、野球とバスケットボールが、バスケットボールとラグビーが、
限られた日本の子どもたちを奪い合う時代ではありません。
競技の垣根を越えて、どう育てるかを一緒に考える時代です。
そして、その視野は日本だけではなく、世界にも広げるべきだと思っています。
野球界も、動き始めている。
野球界も競技人口の減少に危機感を持ち、アフリカへ目を向け始めています。
私たちが関わっているウガンダの選手が、日本のプロ野球球団と育成契約を結んだように、アフリカは、新たな才能の可能性として注目され始めています。
海外と協力しながら競技力を高める。
そして、新しい価値を生み出し、競技を持続可能にしていく。
そんな時代が始まろうとしています。
日本とアフリカは、ライバルではない。
私は、アフリカから日本の仕事や才能を奪いたいとは思っていません。
日本とアフリカが、お互いに成長できる仕組みをつくりたい。
人口が減っていく日本。人口が増えていくアフリカ。
この二つをつなぐことで、日本のスポーツは新しい未来を描けると信じています。
少子化は、避けられない現実です。
でも、それを嘆くだけでは何も変わりません。
視野を世界へ広げることで、新しい可能性は必ず見えてきます。
ON AFRICA
