【娘25歳子育てのやり直し】ママに分かってほしい
娘が自分のいら立ちをぶつける先は、いつもわたしだった。
わたしにしか曝け出すことができなかったのだろう。

スマホにはいつもこんな訴えが届いていた。
娘からの着信があると、心臓から血液が引いていくような感覚を覚えた。
こんな日は、帰宅するとだいたい床に倒れているか、死にたいと泣きわめくかのどちらかだ。
こんな姿をあまり夫は見たことがない。
家で見る娘は意外と元気そうにしていることが多いので、一面しか見ていない夫は「娘はなぜ働かないんだ」としか思えないようだった。
ママに分かってほしい。
どうして分かってくれないんだ。
違う、そうじゃない。
なんで分かんないの?
まだ分かんないの?
過食は続いていた。
2年間で20㎏体重が増えていた。
ある日、娘が髪の毛をブルーに染めたいと言って美容室に行く準備をしていた。
着替えてメイクして鏡に映る太った姿を見て急激に気持ちが落ち、目をカッと見開いて「死にたい!」を連呼して倒れそうになった。
「これがずっと明日も続くのかと思って不安でどうしようもない」という言葉に、続いたっていいじゃないかと答えてしまった事で更に火がついて私を非難し始めた。
どうしてそんなことを言うんだ!
大丈夫だよって言えばいいのに!
助けて!
ギュっと抱きしめて大丈夫と声をかけ続け、いつの間にか「ごめんね…ごめんね」しか私は言えなくなってしまった。
ギューっと娘の体を抱えて倒れないよう支えていると、すーっと娘が落ち着いてきて、もう大丈夫と正気に戻ってくれた。
そういう事なんだな、 回り道してたなと気づいた。
それと同時にやっぱり私が悪かったんだと思い知る。
二人でジムに通ってみようかと提案してみた。
本当は行きたかったんだと思う。
でも、お金のかかることを言い出せない。
只でさえ大学入学金や授業料などを無駄にしてしまっている。
働いてもいないのに…そんな気持ちがあったと思う。
ジムではパーソナルトレーニングを娘だけ受けることになった。
食事ケアなども行い2週間経ったころ、ウソみたいに食べる量が減って3食きちんと摂っていた。
トレーナーがつかない日もジムに出かけて運動していた。
少し体重が落ちてくると嬉しそうに意欲満々に通ったけれど、停滞期が来た途端に行けなくなってきた。
それでも、持ち直して3か月の契約期間を全うできた。
以前よりも痩せたけれど、自分の思う姿ではない。
相変わらず、常にいらだっていた。
高校の同級生がバイトが楽しくて仕方ないと言うのを聞いた娘。
大学にも通いながらバイトもがっつり、どうしてそんなに沢山のことができるんだろうと話し始めた。
『きっと同年代の子がたくさんいて楽しいからなんだろうね。
自分はずっと仲間が欲しかった。
ママには(コミュニティが)あるよね、そういうのがとても羨ましい。
今まで自分にはそういうのがなかったんだ。
大学のサークルに入って、やっと自分にも何かの仲間になれたと思ったのに(大学を辞めたから)できなかった。
辛いんだよ』
そう言って、泣き出してしまった。
自分からそんな事を言い出したのは初めてだった。
大丈夫だよ、遅いことは全然ないんだよ、これから機会は幾らでもあるよと言うしかなかった。
集団の中でうまくできない娘を不憫に思うこともあったけれど、 今まで不満を聞いたこともなかったで、親が勝手に可哀想に思ってるだけで娘にとっては気になる事ではないんだと決めつけていた。
はっきりと本人の言葉を聞いてしまい、やっぱりそうだったのかと胸が苦しくなった。
【娘25歳子育てのやり直し】読んでいただきありがとうございます。
マガジンにまとめていますので、初めからぜひ読んでみてください。
