「マハサラカムの膝蹴り王」チュージャルンがラストファイト、ローラが女子バンタム級新王者に~(2026年5月23日のRWS)
5月23日にバンコクのラジャダムヌンスタジアムで開催されたRWS(ラジャダムヌン・ワールドシリーズ)では、メインイベントで同スタジアム女子女子バンタム級暫定王座決定戦が行われた。
前女子バンタム級王者バーバラ・アギラーの返上によって、空位となった王座だが、まず暫定王座を4位のローラ・ブルゴス(イタリア)と7位のノンメイ・ロンレーンギーラーカラットが争うこととなった。
アンダーカードでは元ルンピニースタジアム認定ライト級王者、元チャンネル7スーパーライト級王者でもあったベテランのチュージャルン・ダブランサラハムが登場し、WBCムエタイインターナショナル・ウェルター級王者のナイアル・マックグリーフィー(アイルランド)と対戦した。チュージャルンは、この試合でダウンを奪われる判定負け、試合後に引退を表明した。
また、この日は日本からの遠征選手が2名出場、ラジャダムヌンミニマム級6位にランクされる安部焔や、西園晟がタイ選手とノンタイトル戦を戦った。
チュージャルン対ナイアル・マックグリーフィー
19時に始まったRWS、日本選手の連続勝利、そして51勝2敗という好戦績のピンペット・バンチャメークがオーストラリアのモハメド・ダランを判定で下した後、メインの女子バンタム級王座決定戦を前に登場したのが、「マハラサカムの膝蹴り王」、チュージャルンである。チュージャルンはこれまで73勝21敗1分の戦績を残してきた33歳、2015年にルンピニーライト級王者となった他、現GLORY世界フェザー級王者のペットパノムルン・キャットムーカーオとは、4度対戦し、3勝と勝ち越している。2024年のRWSのトーナメントにも出場した他、昨年はヌンランレック・ジットムアンノンの持っていたラジャダムヌンウェルター級暫定王座にも挑んだ(判定負け)。RWSでもタパケーオ、カピタン、ハーキュリス、ペットトンチャイと強豪と対戦してきた他、ONEチャンピオンシップを代表する選手の1人、タワンチャイ・PKセンチャイとの対戦経験(2019年、判定負け)もある。
WBCインター王者のナイアルは21勝5敗1分の25歳、前戦は1月31日のRWSで元ラジャダムヌンウェルター級王者のエルダム・ディンサー(トルコ)を判定で破っている。リング上、180センチのチュージャルンに対し、188センチのナイアルがひと回りもふた回りも大きく見える。
3分3ラウンドで行われた試合は、1ラウンド開始早々にチュージャルンの左フックや右ハイキックがナイアルの頭部に着弾するも、ナイアルにダメージはあまり感じられない。逆にナイアルの中間距離から飛び出してくる右ヒザ、そして右ヒジはパワーも感じられて危険だ。そして1ラウンド50秒、コーナーでパンチをまとめたナイアルは、最後に右ヒジでチュージャルンの顎を打ち抜きダウンを奪った。立ち上がったチュージャルン、このラウンド残り2分を必死にしのぐ。左ハイキック、そして再び右ヒジを喰らい、ふらつく場面もあったが近距離では組合いの展開に持っていって、そのから逆転を狙うパンチを繰り出す。そしてようやくラウンド終了ゴングが鳴らされた。
2ラウンドもナイアルの左ハイキックを頭部にもらうチュージャルン、なかなか逆転の筋が見えない。ラウンド終盤は回転ヒジなども繰り出す。3ラウンドは、ナイアルのローキックで転がされる(ノーダウン)チュージャルン、疲れが見られる。遠い距離からのナイアルの波状攻撃を受け、なかなか距離も詰められないまま試合終了。ジャッジ3者ともに30‐26を付ける判定でナイアルが勝利した。



↓ ↓ チュージャルン対ナイアルの試合動画
チュージャルンが引退表明
試合の後、チュージャルンは自身のSNSで引退を表明、スポーツニュースでも「マハラサカムの膝蹴り王」の引退はすぐに取り上げられた。チュージャルンが引退にあたって述べたコメントは以下の通り。(Odasaiによる翻訳、一部意訳も含む)
私、チュージャルン・ダブランサラカムは、ムエタイ選手としてのキャリアを終えることをここに表明します。
約20年間、私はチュージャルン・ダブランサラカムというリングネームを名乗り、ニラン・ヨサポル警察中佐と共に活動してきました。中佐は、私のトレーニングキャンプの責任者として、そしてあらゆる面で私を導き、常に最高の尊敬の念を抱く父親のような存在でした。 現役生活において、私は勝利、敗北、そして引き分けを経験してきました。
私が勝った時は、中佐は電話で祝福してくれました。私が負けた時も中佐は電話をくれて、怪我をしていないか尋ね、戦い続けるよう励ましてくれました。これは、私の最初の試合から最後の試合まで、ずっと変わらず続いていました。
今日、私は自らが定めた道を歩むために、このキャリアを終えなければならないことに、深い悲しみを感じています。でも、私の心はいつもダブランサラカムと共にあります。ランドさん、ニラン・ヨサポル警察中佐、ジョー・ダブランサラカムさん。ムエタイ選手「チュージャルン・ダブランサラカム」をこんなにも大切に育ててくださり、本当にありがとうございます。
現役生活を振り返った時に、他にも、忘れられない人がいます。アンおばあちゃん、そしてお世話になったサムアン・ウィリヤ先生。先生は、私がかつて所属していたウィリヤ・ファーム・ボクシングキャンプの代表です。
この地方(マハラサカム県)出身のボクサーを支え、最後の試合まで試合の機会を与えてくださったペッチインディー・プロモーションにも感謝いたします。
チュージャルンは、RWSトーナメントをはじめ、近年のRWSよく出場している常連の印象があったが、ナイアル戦を含めて5連敗となっていた。RWSトーナメントなどで何度か試合を見たが、身体が強く、粘り強いイメージがある。常連選手の離脱は寂しいが、チュージャルンの第二の人生の成功を祈りたい。


バーバラが王座返上
暫定王座決定戦と発表されたローラ対ノンメイ、試合に先立ち正規王者のバーバラ・アギーラ(ブラジル)がリングに上がり、妊娠と王座返上を発表した。バーバラは2024年のRWSトーナメント、女子バンタム級トーナメントに優勝し、現女子フライ級王者のマリー・ルーメットとの決定戦を制して、第2代女子バンタム級王座に就いた。防衛戦での体重超過で一度王座を手放すも、再び決定戦で王座を取り戻していた。

ローラ対ノンメイ(女子バンタム級暫定王座決定戦)
正直、4位ローラと7位ノンメイの王座決定戦は、チャンピオンシップとして物足りない印象。1位ブアチョンプーと元王者の2位ソムラッサミーの間で決定戦は行われるべきと思う。3位のモーゲンはバーバラと決定戦で王座を争った選手だが、その選手たちを差し置いて、4位と7位の王座戦である。それも考慮してなのか、バーバラの王座返上があってもこの試合は「暫定」王座戦のままのようだ。(後日、正規王座に格上げされるかもしれない)
ローラは元アマ世界王者、プロ入り後は1度RWSに出場しており、プロ戦績18勝1敗の35歳である。ノンメイはこれまで22勝11敗、出身地のコラートでキャリアを積み、ラジャダムヌンノックアウトなどの興行にも出場してきた18歳である。
2分5ラウンドで行われた試合は172センチのローラに対して、ノンメイは159センチと身長差、体格差がある。ローラが前に出てプレッシャーを掛けて、グイグイ攻める。ノンメイは時折、果敢に飛び込んで左右の大きいフックを振るい、ミドルキックも魅せるがローラのパワーに押される展開が続く。3ラウンド2分20秒過ぎ、ローラの右前蹴りを胸に受けて、ロープに飛ばされるノンメイ、ボディに右ヒザを突き刺され、ダウンを奪われる。立ち上がったノンメイだが、ローラの右横ヒジの連打にノンメイは再びダウン、レフェリーはノーカウントで試合を止めた。
ローラの次戦、元王者ソムラッサミーとの対戦を見てみたいが、ソムラッサミーは8月にオーストラリアでの試合が決まっているようだ。



↓ ↓ ローラ対ノンメイの試合動画

※ラジャダムヌンスタジアムで現地観戦、写真は著者撮影のものとYOKKAOのFACEBOOKより。Photo taken by Odasai and from YOKKAO facebook page.
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